翌日のだるさや気分低下は半身浴が原因? 自律神経治療の名医が教えるベストな入浴方法
半身浴をして、たっぷり汗をかいているのに、体調がイマイチになるだけでなく、ガマンして入っているのに思うように体重が落ちないと感じている人が多数います。
また、体がだるくなったり、肌トラブルが気になるようになったと感じている人も。
そこで、“半身浴より全身浴がオススメ”と語る、東京脳神経センター理事長であり、医学博士の松井孝嘉先生を直撃。ここでは、原因不明の心身不調など自律神経治療の名医で知られる松井先生が教える、ベストな入浴方法を紹介します。
半身浴で首を冷やすと、うつにつながる⁉
松井先生:原因不明の体調不良やうつに悩まされる人は、スマホの普及から激増しました。スマホの画面を見続けると、どうしても前にうつむく姿勢をとってしまいます。これが首の後ろの筋肉に大きな負担をかけ、筋肉がこわばってきます。この“首こり”が現代人の抱える不調の原因になっていることが多いのです。
“首こり”になると、血液の循環が悪くなり、筋肉内に疲労物質が蓄積する一方に。こりを感じて叩いたり揉んだりしているうちに、繊細な首の筋肉がダメージを受けこわばっていくという負のスパイラルに陥る
松井先生:すると、疲れやすくなり、笑顔も出なくなり、見た目もどんどん老けて見えてしまいます。この首こりを放置すると、不眠、食欲減退、便秘・下痢(過敏性腸症候群)、倦怠感、やる気がなくなる、うつっぽくなるなどさまざまな不調を引き起こします。
この原因のひとつは、首の後ろに自律神経の副交感神経のセンターがあるからなのです。副交感神経とは、心身の疲れやダメージを回復させようとする働きをします。首がこってしまうと、副交感神経が働かなくなってしまうんですね。
松井先生:人気の半身浴は、首を湯船の外に出すだけでなく、洗髪後の髪の毛の水分蒸発などで体温を奪い首を冷やしてしまうのですから、首こりが悪化してしまう傾向があります。
ですから、私は患者さんに、汗や汚れを流すだけのシャワーや下半身だけを温める半身浴ではなく、首まで湯船に浸かる全身浴を勧めています。これだけで、首こりにまつわるさまざまな不調は改善されていくはずです。
心身&自律神経のバランスを保つための入浴のコツ
そこで、松井先生に、首こり予防のための入浴方法について伺いました。
松井先生:ポイントは4つあります。
その1:お湯の温度は40~41℃で、ちょっとぬるめと感じるくらいがベスト。
その2:首の後ろをお湯の中に浸からせること。
その3:湯船で温まる時間の目安は10分。
その4:湯上りには、首の後ろと髪を乾かし、冷やさないようにする
これにより、副交感神経の働きが高まり、リラックス感が増します。すると、1日あったイヤなことなどがサッパリするはず。『美的』読者の皆さんにお伝えしたいことは、副交感神経と原因不明の心身の不調・美肌は表裏一体となっていることです。首を温めることを意識して生活すると、自然に肌も美しくなっていくはずですよ。
松井式 ドライヤー健康法とは?
首こりの原因のひとつは、首を冷やすこと。だから、髪を洗ったらすぐに乾かすことが大切。
松井先生:ドライヤーを当てる時に、髪を乾かすだけでなく、首の後ろに温風を当ててください。すると、心も体もふんわりとリラックスするはず。私は、お風呂上り以外にも、
風邪をひきそうなときや、イライラしたり集中力がなくなったと感じたときに、首の後ろを温めるようにしています。そうすると、自然に心が落ち着きます。
といっても、自己流のストレッチは逆効果です。
首の筋肉は、ゆるめることが大切。揉んだり叩いたりしてはダメです。そこでおすすめのストレッチ方を紹介しましょう。
【おすすめのストレッチ】
STEP1
両手を頭の後ろで組み、後頭部と首の境目あたりにあてます。
STEP2
それから、両手に頭の重みを預けながら、ゆっくりと後ろに倒し、楽な姿勢で30秒キープ。できれば15分に1回行うのが理想的です。
ストレッチはムリせず、ゆっくりと続けることが大切です。もしも症状がひどい場合は、専門医に相談することをお勧めします。
松井孝嘉先生
東京脳神経センター理事長。松井病院理事長。医学博士・脳神経外科医。1967年東京大学医学部医学科卒業。頭頚部外傷・デッドボールを研究し、野球用耳付きヘルメットを開発・実用化。米国ジョージタウン大学にて世界初の全身用CTスキャナの開発に従事し、日本への導入・普及に尽力。78年に「首こり病(頚筋症候群)」を発見、2005年に診断法と治療法を確立。これが世界で初めて自律神経失調症の治療法となる。著書は『首は絶対にもんではいけない!』(講談社)ほか多数。
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