骨太な場合、骨を細くすることはできないってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日常生活で生まれる美容や女性のライフスタイルの疑問を医師や専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は「骨と美容」について。骨太な場合、骨を細くすることはできないってホント? ゆりクリニック院長で医師の矢吹有里さんにお話を伺いました。
Q:骨太な場合、骨を細くすることはできないってホント?
「骨が痩せる」という話がありますが、骨も筋肉などと同じように痩せると細くなるものではないのでしょうか。それとも、太さそのものは変わらないの? さっそく、この疑問についてゆりクリニック院長・医師の矢吹有里さんに聞いてみました。
A:ホント
「体を支える骨のアウトラインは変わりません。骨がしっかりとした、いわゆる骨太な人の骨が、細く華奢になるということはないのです。ただし、顔は別。痩せると骨そのものが減少するケースがあります。なぜなら、顔の骨と腕や足、背骨、骨盤などといった体を支える骨とでは、種類が違うのです」(矢吹有里一さん・以下「」内同)
パーツによって骨の種類が違う
「上で少し触れた通り、骨には種類があります。顔の骨はいくつかの骨が組み合わさってできており、眼球や耳、口腔など、感覚器を守るための構造をしています。また、首から下の骨は、肺や心臓を守る胸郭という骨組みになっています。
体を支える骨は、外部が皮質骨という骨表面を構成する硬く緻密な骨で、骨密度が低下してもスカスカになるだけで、大きさ自体が小さくなる(細くなる)ことはありません。内部は海綿質と呼ばれる網目状の構造で、皮質骨とともに、この海綿骨もスカスカになり、骨の強度が失われた状態が骨粗鬆症です。
ちなみに、骨密度の計測は、背骨は海綿骨、大腿骨は皮質骨をメインに行います」
顔の骨が痩せると小顔になる?
「いいえ。顔の骨が痩せると、骨と皮膚をつなぐ靭帯がゆるみ皮膚がたるんできます。たるんだ皮膚はフェイスラインを四角くする原因に。顔の骨が痩せても引き締まった顔にはならないので、小顔になることはありません」
骨が太い、細い、は生まれつき?
「はい。骨の太さは遺伝の要素が多く、生まれつきと言えます。骨格がガッチリしていることを気にされる人もいますが、骨が丈夫なことは生まれもった財産と考えて、ぜひ大事にしてもらいたいです」
若いうちは骨密度を気にする必要はない?
「いいえ。現代人は20代や30代でも骨密度が低い方が多くなっています。骨は成長期に十分な栄養をとり運動をすることでたくさんつくられ、およそ20歳で人生最大の骨密度を獲得します。それ以降はいくらカルシウムをたくさん摂ったり、運動をしたりしても骨密度が上がることはありません。現状を維持するのみ、となります。成長期にダイエットをしたり、運動の機会が少なかった方は、20代でも骨密度が低い可能性があります。女性の場合は30代後半まではエストロゲンの影響で骨密度はキープされますが、そのあとはエストロゲンが減少するとともに骨密度が一気に減少します。骨密度をキープするためにも、無理なダイエットはせず、筋力の維持も心がけるようにしましょう」
骨も生まれ変わる?
「はい。骨も肌の新陳代謝と同じように、古くなった骨は壊され、そこを新しい骨で埋めるということが行われており、これを骨のリモデリングといいます。そして、このサイクルを正常に保っているのがエストロゲンなのです。
古い骨を壊して新しい骨をつくるというサイクルは約3~4か月で、全身の骨は3~4年くらいで生まれ変わっています。その新陳代謝をサイクルを保つためには、エストロゲンのほかに栄養と運動が欠かせません。成長期に過激なダイエットや偏食だった人は骨密度が低い可能性があるので、今からでも骨を育む生活を心がけるようにしましょう」
骨にはやっぱり牛乳がいい?
「はい。牛乳には骨の材料となるカルシウム、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、体内に取り込んだカルシウムを骨に沈着させるビタミンK、さらには良質なたんぱく質でもあるため、手軽に骨を育む栄養素を摂取できます。腸が弱い人やカゼインタンパクに対するアレルギーの人以外は、骨のためにもライフスタイルに牛乳を飲む習慣を取り入れるのもよいでしょう」
文/土屋美緒
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
ゆりクリニック 院長/「骨太な未来プロジェクト」 アドバイザー
東京女子医科大学卒業後、慶應義塾大学整形外科学教室に入室。その後、各地の急性期病院に勤務し、東京都済生会中央病院整形外科医長を経て、2017年、東京・田町に「ゆりクリニック」を開院。骨粗しょう症予防を美容医療の視点から考える「骨美容(R)」を提唱。メディアなどでも広く啓発活動を行っている。日本専門医機構整形外科専門医、日本骨粗鬆症学会認定医。日本抗加齢医学会専門医。
■骨太な未来プロジェクト