健康・ヘルスケア
2025.1.20

野菜で温活できるってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】

日常生活で生まれる美容や女性のライフスタイルの疑問を医師や専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は「野菜で温活」について。野菜で温活できるってホント? 食糧学院 学院長で医師の馬渕知子さんと管理栄養士の仁田友香さんにお話を伺いました。

Q:野菜で温活できるってホント?

「冷えは万病のもと、美容の敵」という考えのもと、温かい食べ物や飲み物を選ぶことで体を冷やさないように心がけている人も多いと思います。実は、野菜を積極的に摂ることじたい、温活に繋がるというウワサがあるのです。本当でしょうか。さっそく、この疑問について食糧学院 学院長で医師の馬渕知子さんと管理栄養士の仁田友香さんに聞いてみました。

A:ホント

「体を温める作用がある栄養素を含む野菜を食べる、免疫力を高める野菜を食べる、腸内環境を整えてくれる野菜を食べる。この3つが野菜で温活のポイントになります」(仁田さん

野菜で温活する方法とは

「腸が栄養素をしっかり吸収できるようになると、温活の効果が高まります。そして、冬が旬の白菜などは免疫力アップが期待できます。かぼちゃなどの色の濃い野菜、根菜は、腸内環境を整えてくれる効果が高い野菜です。生姜など体を温める効果がある野菜を取り入れるのはもちろん、これらを積極的に日々の食生活に取り入れることで、腸内環境も整い、結果的に温活になる、というしくみです」

体を温める野菜を食べる

「ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、食物繊維、ビタミンB群などが豊富に含まれている食材は血流を促し、また栄養成分をスムーズに分解させ熱を生み出す動きを助けてくれます。たとえば、糖質を分解する酵素を作り出すためにはビタミンB群が必須です。ビタミンB群は8種類ありますが、野菜にしか豊富に含まれないものもあれば、血液をつくるために必要なビタミンB12などは動物性の食材にしか含まれていません。ですから、食事はバランスよく摂るのが大事です。きのこ類に多く含まれる、ビタミンB3(ナイアシン)は血流を良くすることで体を温めることに役立ちます。温め効果のある野菜の代表格であるショウガやネギ、ニンニクなどの摂取もよいでしょう」(馬渕先生

「ビタミンB1は糖質代謝において重要な役割を果たしています。ビタミンB1は糖をエネルギーに変換するための補酵素としてはたらきます。エネルギーへの変換は熱を発生させるため、体を温めてくれます。ビタミンB1は身近な野菜では玉ねぎやブロッコリーなどに多く含まれています。ビタミンCやビタミンB群は水溶性で過剰摂取したとしても体内で蓄積されずに排泄されるので、積極的に摂取してもらいたいです。タンパク質もビタミンB群があってこそははたらくものです。

旬の野菜というのはその時期においしくなるだけでなく、ビタミンなどの栄養素の量も増えることがわかっています」(仁田さん)

Point

・糖質を分解して熱を作る→ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、食物繊維、ビタミンB

・血流を良くする→ビタミンB3

・糖質をエネルギーに変換するもの→ビタミンB1

・排出されやすいので積極的に摂取するもの→ビタミンC、ビタミンB

免疫力アップが期待できる野菜を食べる

「根菜や色の濃い野菜、冬が旬の白菜などは温活の効果があり、免疫力向上にもつながる野菜です。オレンジ色ならニンジン、緑色ならブロッコリーやピーマンなどの色が濃い野菜は、ビタミンAやビタミンEなどの抗酸化作用が高く、免疫力向上にもつながります。冬が旬の白菜やブロッコリー、カリフラワーなどの野菜はビタミンCが豊富なので、免疫力を高め、風邪予防も期待できますよ」(仁田さん)

腸内環境を整えてくれる野菜を食べる

「大根、にんじん、ごぼうなどの根菜類は食物繊維が豊富で、腸内環境を整えてくれます。ヒトの体は食事から摂った糖分を燃やして、体温を維持しています。栄養素をしっかり腸で吸収できることが体を効率よく温める方法で、それには腸内環境を整えることが重要。加えて、女性は男性に比べると貧血の人も多く、筋肉量が少ないため、体が冷えやすいですから、内側から温めることはとても大事です」(仁田さん)

温活に控えたほうが良い野菜の食べ方

「レタスなどの葉物野菜は水分やカリウムを多く含んでいるため、利尿作用があり、体を冷やしやすい可能性があります。温活を考えるなら冬は、生の葉物野菜がメインのサラダなどは控えたほうがよいでしょう」(馬渕先生)

フルーツは体を冷やすから冬は食べないほうがいい?

「いいえ。これはフルーツにもよります。冬が旬のりんごやみかんは体を温める要素を持ったフルーツです。りんごは腸の善玉菌を増やすと言われているペクチンを含んでおり、みかんにも血行を良くする成分が含まれているので体を温めてくれます。りんごに関してはシナモンをかけて温めたりすると、水分も抜け、加熱によりペクチンも活性化するので温めて食べるのもおすすめです。加熱したリンゴの定番、アップルパイも水分が抜けるのでフルーツでも体を温められるレシピです。夏が旬のフルーツは水分やカリウムなど、体を冷やす可能性があるため、温活を考えると、沢山食べることは控えたほうがよいでしょう」(仁田さん)

「フルーツを食べるタイミングに気を付けるというのも手です。就寝中は体温がやや下がるので、たとえば寝る前にはフルーツを控えてみる。日中の活動が盛んなときは、好きなフルーツを気にせず食べるなど、そのときの状況で食べる食材を選択してみることが大切なのです。今は季節問わず、さまざまなフルーツが出回っていますから、冬にフルーツを食べたいときは、昼なら好きなものを食べてOK、朝や夜に食べるなら、りんごやみかんなどがおすすめです」(馬渕先生)

野菜で温活するときの注意点は?

「根菜類や色の濃い野菜は体を温める栄要素を持っています。ただ、野菜だけでは力不足な面もありますから、卵や肉、魚などタンパク質源を一緒に摂るのがおすすめです。冬は温かいスープや温野菜にすると、より体も温まります」(馬渕先生

「タンパク質を含んでいる野菜もありますが、野菜だけで必要なタンパク質量をまかなうことは難しいです。タンパク質は多くの熱を産生するため、馬渕先生もおっしゃっていたように野菜とタンパク質を一緒に摂ることは温活においてとてもよい方法です。

野菜は1日で350g摂取するのが目標とされていて(厚生労働省 健康日本21)、その量はちょうど両手にいっぱいくらいです。しかし、現代人の実際の野菜摂取量は280gといわれています(平成30年厚生労働省「国民健康・栄養調査」)。不足している70gは中くらいのブロッコリーなら1/3株、白菜なら葉っぱ約1枚分ほどです。作って食べるのが難しい場合は野菜ジュースなどに頼っても大丈夫! 欠食するよりよっぽどいいです」(仁田さん)

体を冷やしそうな夏野菜も温めればOK

「野菜の成分は変わりませんが、体を冷やしやすい夏野菜は温める、または組み合わせ次第でそのまま食べるよりも体を冷えにくくすることに期待がもてます。夏野菜は水分やカリウムを多く含んでおり、水分を補いつつ、利尿作用で熱を持った体を冷やしてくれるはたらきがあるものが多いです。そのためそのまま食べるより、温野菜にしたりスープにするなどひと手間加えることがおすすめです。
あとは肉や卵などの体をあたためるタンパク質と合わせるのもよいです。キムチも発酵食品ですし、唐辛子に体をあたためる効果があるので、プラスするとプラマイゼロよりちょっとプラスにしてくれるのでよいですよ」(馬渕先生

生の野菜をバリバリ食べたいときは?

「冬でも生の葉物野菜をバリバリ食べたくなるときってありますよね。そういうときはドレッシングを選ぶのも手。油が入っているものや生姜などの香味野菜入りのものを選ぶとよいです。「油」は太りやすいイメージもありますが、適度に摂ることで野菜に含まれている脂溶性ビタミンの吸収を助けてくれるので、代謝アップに期待。またバルサミコ酢など酢は血流をよくする働きに期待が持てるので、ドレッシングとして酢を活用するのも◎」(馬渕先生

 

医師・学校法人 食糧学院 学院長

馬渕知子(まぶち・ともこ)

管理栄養士/キユーピー株式会社 食と健康推進プロジェクト

仁田友香(にった・ゆか) 

文/土屋美緒

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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