美的クラブの多くが体験「パニック発作」不安に振り回されないコツとは?
勤務中や飲み会中、移動の電車や遊園地で、突然、呼吸が苦しくなったり、動悸が激しくなるなどのパニック発作。実は美的世代に多いことがアンケートでわかりました。そんなつらい状況を抜け出すヒントを「心と体」の両側からアプローチ!
不安を力に変えるためのセルフケア
\美的クラブの本音を深掘り!/
人によって症状はさまざま…。不安な気持ちにまつわる、たくさんの体験談が寄せられました!(2024年7月実施・n=80)
Q.職場や日常生活でパニック発作を経験したことがありますか?
美容師 26歳
R・Wさん
保険会社勤務 35歳
N・Tさん
出版社勤務 28歳
N・Mさん
医療事務 27歳
Y・Uさん
エンジニア 31歳
J・Kさん
ライター 34歳
Y・Tさん
フリーランスPR 30歳
M・Oさん
\ぼく、おもち!みんなの不安な気持ちを“大丈夫な気持ち”にするお手伝いをするよ〜♡/
「おもち」とは?
使う人が励まされるLINEスタンプ「大丈夫なきもちになる」シリーズのメインキャラクター。もっちり&ふくふくボディが尊い♡ 最新情報はX(@kajipanline)をチェック♪
不安になってもいい!その裏に隠された本当の気持ちに気づこう
強い不安感から動悸や冷や汗、呼吸困難などのパニック発作に悩まされている患者さんは、どうしても「不安にならないようにする」ことに重点を置きすぎてしまいます。ところが、逆に 不安はなくそうと思えば思う程、高まっていくもの なのです。
私のカウンセリングは“森田療法(※)”という精神療法がベースになっていて、患者さんに「不安になってもいい」ということを理解していただき、 不安があったとしてもそれと共に生きる 考え方を進めています。不安な感情はコントロールできませんが、 不安に対する意識や行動を変えることは可能 だという部分にアプローチをすることで、不安は和らぐもの。この概念を知っておくだけでも、日頃から不安になってもいい!その裏に隠された本当の気持ちに気づこう不安に引きずられない選択が可能になるはずです。
しかし、そうは言っても行動に移すことで周囲に迷惑をかけたり、笑われたりするのでは…とためらう人も多いでしょう。そんなときは 何事も「実験してみよう」という発想に切り替えてみてください 。日本人は特に、実験を成功させなければいけないと思い込みすぎています。しかし、失敗があるからこそ実験なわけです。だから失敗したって別にいいし、そもそも 不安の80%は取り越し苦労 という調査結果もあります。残された20%のうち、16%は準備さえすれば大丈夫で、本当に心配すべきは4%に過ぎません。
つまり、不安は抱えたままでも大丈夫! 不安の裏には「本当にしたいこと」が隠れている もの。試験に落ちるのが不安→合格したいから落ちるのが不安、という具合です。どうしたら自分が幸せで快適に過ごせるかに焦点を当てて行動することが、不安を力に変える秘訣です。
森田療法(※)とは?
精神科医の森田正馬が自らの闘病体験を基に創始した、日本独自の心理療法。「不安」を排除するのではなく自然な感情として理解し、不安感情の裏側にある「本当にやりたいこと、なりたいもの」に着目することで、適切な行動を見つけていくという対処法。
不安になりやすい外的要因
脳内の神経伝達物質「セロトニン」が少ないと不安になりやすい
脳の興奮や恐怖、不安といったストレスを抑えて精神を安定させる脳内の神経伝達物質「セロトニン」が少ないと、不安がエスカレートしやすい傾向に。特に日本人は不安遺伝子の保有率が高いとされ、セロトニンが不足しがちだと、不安傾向が増幅する。
【年齢】
美的世代は偏った食生活やつい何度もダイエットをしてしまいがち…。すると、セロトニンの材料になるたんぱく質やブドウ糖の摂取が不足し、不安に陥りやすくなる要因に。
【環境】
職場などでのハラスメント、ライフイベントで環境が大きく変わることによるストレスのほか、人前での失敗体験や恐怖体験などがトリガーとなって不安症を発症することも。
【思考】
「笑われてはいけない」「人に好かれないといけない」など、その人の性格というより、ものの見方や捉え方のクセが強くなりすぎると、よけいに不安に捕われやすい傾向に。
不安に振り回されないコツ
コツ1 不安は幸せに暮らすためのモチベーションになる!
強い不安の裏には“本当にしたいこと”が隠れています。例えば「良い人に見られたい」からこそ「恥をかいたらどうしよう」と不安になるのです。つまり、不安はより良く生きるための行動のモチベーションと考えてみましょう。
コツ2 予期不安は大きくなりがち!考えすぎずに「まず行動」
これから起こるかもしれないことを心配して、悲観的な未来を想像してしまうのが「予期不安」。予期不安が大きくなりすぎる前に、自分なりの対処法を準備しておきましょう。その後は“案ずるより産むが易やすし”の精神で行動に移すことが大切。
コツ3 「こうあるべき」という自分だけのこだわりをやめる
「先輩として手本であるべき」など“こうあるべき”という思考こそが不安の元凶。この思考に捕われすぎると、理想と現実のギャップで焦りや不安が生じます。理想どおりに生きることはまず不可能、という現実を受け入れて、理想に近づく行動を心掛けて。
『美的』2024年11月号掲載
イラスト/かじぱん 構成/宮田典子、有田智子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
東京大学医学部を卒業後、同大付属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローなどを経て、現在「和田秀樹こころと体のクリニック」院長。著書に『不安に負けない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥウェンティーワン)ほか多数。