「妊娠」についての基礎知識|セルフチェックや出生前検査etc…赤ちゃんを産む前に知っておきたいこと
妊娠のセルフチェック法から、出生前検査、インナーケアやボディケアまで、ゆっくりと胎児を育む大切なこの時期に、知っておきたい情報をピックアップしました。
国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター 母性内科 医長
三戸 麻子先生
みとあさこ/内科専門医。’11年より国立成育医療研究センターに入職、日本初のプレコンセプションケアセンター設立に尽力。
妊娠
01.基礎体温が高いままが妊娠のサイン
「普段から基礎体温をグラフ化する習慣があれば、早いうちに妊娠に気づくはず。サインは高温期の長さです。 2週間以上高温のままで生理が来なければ 、妊娠の可能性が高いと判断できます」(片桐先生)
排卵を境にぐんと上がった体温が、下がらないまま2週間を超えていると、受精卵が子宮に着床したサイン。
02.出生前検査は受けた後の選択を話し合ってから!
「出生前検査を 安心のために受けるのは間違い ! 異常があったら出産を諦めるためなのか、異常のある子を迎える準備のためなのか…。 何を目的にその検査を受けるのか、まず考えましょう 。血液検査で陽性が出たら羊水検査に進みますが、その段階でも、望まない結果の場合の選択を 事前に話し合う ことが大切です」(片桐先生)
03.胎児の成長に欠かせない5つの栄養素は、妊娠初期に特に大事
たんぱく質 は筋肉や臓器を作るために重要。酵素やホルモン、免疫物質の合成にも役立ちます。目安は50g/ 日。 葉酸 は普段の食事に+400μg/ 日。妊婦に多い鉄欠乏性貧血の予防には、妊娠初期で12.5~14.5mg /日の 鉄分 が必要です。胎児の骨や歯の形成を助ける カルシウム 、便秘を予防する 食物繊維 も積極的に!
04.自分で尿をチェックして妊娠を判定できる
「自分で妊娠の有無をチェックするとき、最も信頼性が高いのは 妊娠検査薬 です。受精卵が着床した後、胎盤内で作られる hCG(ヒト絨毛性(じゅうもうせい)性腺刺激ホルモン) が尿中に含まれていたら陽性。反応が出たら、すぐに産婦人科を受診しましょう」(片桐先生)
少量の尿もキャッチしやすく、99%以上の正確さでhCGを検出
採尿部が大きいため、尿がかけやすく、ハネにくい。
ロート製薬 ドゥーテスト・hCGa 2回用 第2類医薬品 ¥1,320
05.妊娠安定期前から妊娠線予防ケアを習慣に
妊娠して皮下組織に脂肪が急激に増えると、その外側の真皮や表皮が伸びてきます。 妊娠線は、皮下脂肪の拡大に追いつかない真皮が裂けてできる もの。一度伸びると完全には元に戻らないため、できる前からしっかり保湿して、予防しておきましょう。
妊娠中の肌を柔らかくしなやかに!
突っぱりが気になりがちな妊娠期の肌に潤いを与え、しなやかさとハリを保つ。
クラランス ボディ パートナー 175ml ¥9,350
妊娠中の保湿ケアから産後の引き締めまで!
植物オイルをブレンド。急激に変化するおなか周りの肌をしっとり柔らかに整える。
ヴェレダ マザーズ ボディオイル 100ml ¥4,180
不妊治療後に出産したR・S(38歳)さんが証言!
娘の誕生で体外受精のつらさが吹き飛びました
「33歳のとき、不妊治療専門の病院で受けた検査でFSH※1が高く、卵巣機能が著しく低下していることがわかりました。そこで体外受精を勧められ、トライしたんです。連日の通院、注射、腟坐薬※2、そして採卵、着床失敗…、すべてがつらかった。それでいったん治療をお休みしていたら、なんと自然妊娠! でも、残念ながら初期流産※3でした。その後、転院して3度の採卵と2度の移植を行い、昨年3月に娘を出産。本当につらかったですが子供を授かれたことで、娘の授乳期が終わったら、また第2子のための不妊治療を始めようと考えています」
【WORD解説】
※ 1 FSH・・・脳下垂体前葉から分泌される性腺刺激ホルモン。卵巣機能が低下するとFSH値が高くなる。
※ 2 腟坐薬・・・採卵日前日に排卵するのを抑えるために使用(ボルタレン坐薬)。腟に挿入するタイプ。
※ 3 初期流産・・・妊娠12週未満の早い時期の流産。ほとんどの原因は胎児の遺伝性疾患や先天性異常。
R・Sさんの不妊治療HISTORY
’19年8月 クリニックの指導でタイミング法
’20年10月 体外受精→着床せず
’20年11月 自己流タイミング法
’21年2月 自然妊娠 初期流産→手術
’21年7月 転院して人工授精
’21年12月 体外受精専門のクリニックに転院し体外受精
’22年2~5月 3度の採卵
’22年6月 2度目の移植で着床
’23年3月 出産
『美的』2024年5月号掲載
撮影/松原敬子 イラスト/斎藤充博、きくちりえ(Softdesign) 構成/つつみゆかり、大瀧亜友美、有田智子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
はなおかかなこ/産婦人科医、生殖医療専門医・指導医。2014年開設のはなおかIVFクリニック品川にて、 日々不妊に悩む患者と向き合う。