健康・ヘルスケア
2024.4.4

【卵子凍結経験談】山口真由さん「卵子凍結という選択をしたことに後悔はない」

指原莉乃さんの“採卵済み”宣言で注目を集める「卵子凍結」を始め、「プレコンセプションケア」「不妊治療」など、将来子供を産みたいと考えている方々へ、専門家による「今知っておきたい情報」を紹介します。

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信州大学特任教授

山口真由さん

経験者の山口真由さんが証言!卵子凍結は体、メンタル、経済的に負担の大きい選択です

高額をかけて長期保管しても、結局使用しないケースは多いと聞きます

信州大学特任教授で、情報番組のコメンテーターとしても活躍する山口真由さんが、卵子凍結という選択をしたのは’20年36歳のとき。友人との会話で海外の卵子凍結の話題が出て、ふと自分のAMHを測ってみることにしたのが、きっかけだったと話します。

「AMHの数値が0.43で、 卵巣年齢50歳 というまさかの結果だったんです。そこで初めて自分の出産のタイムリミットを意識しました。将来、子供をもたない人生を送るという覚悟もできず、眠れなくなる程の焦燥感を覚え…、真っ先に頭に浮かんだのが卵子凍結でした。

いろんなセミナーに参加して知ったのが、卵子凍結は35歳までがひとつの区切りだということ。特に、 37歳後半からは出産率ががくんと下がる らしいんです。当時36歳の私にはもう迷ったり、ほかを選択したりする余地が残されていない。一刻も早く卵子凍結を! と、切実でした」

いざ卵子凍結をするとなったときのクリニック選びについては…
「当時は、日本産科婦人科学会が 社会的適応 (健康な女性が将来の妊娠に備えて未受精卵を凍結すること)を推奨していないこともあって、卵子凍結を行っているクリニックは多くありませんでした。しかもアメリカだとクリニックごとに体外受精の成功率を開示することが法律で義務づけられていますが、日本はそれがありません。

正直そんな中でのクリニック選びは難しく、結局は 保管費用 の安さが決め手になりました。私の年代では年齢と同じ数の卵子の凍結が望ましいそうですが、保管費用は凍結容器1本ごと。 保管期間が長くなると高額に なってしまいます。それで保管料の安さを優先して選びました」

採卵に向けた生活に入ってからは、つらいことも多かったそう。
「仕事をしながらだったので、毎日クリニックに通うことができず、自己注射で排卵を誘発させる方法に。自分で誘発剤を生理食塩水に溶かして注射するんですが、毎回失敗しないようにすごく神経を使っていました。

一方、採卵は排卵予定日に合わせてクリニックに行く必要があって、それが地方での講演と重なったときはどうしようもできずにイライラ…。 体だけでなく、精神的な負担がかなり大きかった です。そんなに頑張っても、初回で採れた卵胞はわずか2個。目標の採卵数ははるかに遠く、今周期はいくつできるんだろうって、頭の中は常に卵胞に支配されていました。仕事とは違って理詰めで解決できない、験(げん)担ぎ的な状態がストレスでしたね。

結局、 1年半程かけて15個を凍結 。せめて20個は採取したかったのですが、5回目に採れた2個のうち1個が空胞だったことで心が折れてしまい、もうここでストップしようと決心しました」

昨年39歳で第1子を出産した山口さんですが、凍結した卵子は今も保管を続けています。
「大変な思いをした苦労の結晶なので、 使用可能なリミットまで は廃棄しないでおくつもり。それが何歳かは、使用年齢と着床率に関して客観的なデータがないということもあって、はっきり決めているわけではありません。

実際には、卵子凍結はしたけれど自然妊娠で産んだとか、何年も保管しているうちに生殖可能な年齢を過ぎてしまったなどの理由で、 凍結卵子を使用しないケースが多い と聞きます。つまり、これまで卵子凍結のために背負ってきた身体的、精神的、経済的負担がムダになるということ。

この先、卵子凍結を選択するなら、そういった先の展開まで見越して、 自分なりにゴールを決めておく のが良いでしょう。

凍結した卵子を使用する際のリスクについても考えなければなりません。まず凍結卵子は、融解する段階で数%は死んでしまいます。さらに、 融解後は、受精、着床、妊娠とステップが進むごとに成功率は下がります 。また、融解は凍結容器ごとに行うので、受精に使用しなかった胚は再凍結へ。そうすると融解と凍結の費用が1回ずつよけいにかかります。その後、再度融解した場合、初回に比べて着床率が下がるかもしれません」

それでも、卵子凍結という選択をしたことに後悔はないとも。
「卵子凍結は 未来の自分に子供をもつというオプションを残せる 点で、あのときの自分にできたベストな選択だと思っています」

『美的』2024年5月号掲載
影/松原敬子 イラスト/斎藤充博、きくちりえ(Softdesign) 構成/つつみゆかり、大瀧亜友美、有田智子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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