健康・ヘルスケア
2024.2.12

「メンタルクライシス」に陥らないための心の処方箋|ジェーン・スーさんから『美的』読者へスペシャルメッセージ

「この先、今の仕事で大丈夫か不安…」「人間関係に疲れぎみ…」「結婚の予定もないけれど、人生このままでいいのかな…」etc.仕事でもプライベートでも悩みが尽きない美的世代が直面する悩ましい現実。この時期、メンタルの不調に陥りやすかったり、不安や焦燥感で頭がいっぱいな女性が実は多数なんです。人気コラムニストのジェーン・スーさんと今話題の精神科医・藤野先生にお話を伺いました。

メンタルクライシスに陥らないための心の処方箋

コラムニスト/ラジオパーソナリティ
ジェーン・スーさん
『女のお悩み動物園』(小学館)ほか著書多数。堀井美香さんとパーソナリティを務めるポッドキャスト番組『OVER THE SUN』も好評。

人気コラムニスト ジェーン・スーさんから悩める『美的』読者へ!Special message♡


月に一度、インスタのストーリーで質問を受けつけています。驚くことに、少なくはない数の質問が「〇〇で不安です」「××が心配です」という言葉で締めくくられています。みんな不安で心配で悩んでるんですね。

でも、どれもこれも、「今悩んでも答えは出ないから仕方がないよ」と、肩を抱いてあげたくなるようなことばかり。仕事や家族の具体的な悩みもあるけれど、ほとんどが将来や自分の可能性に漠然とした不安を感じて怯えているか、過去に捕らわれて足がすくんでいるか。
 
アラサー当時、私も将来のことを漠然と案じたことはある、とは思います。でも、長くは悩まなかった。なぜなら、目の前のことで精一杯だったからです。大失恋したときだけは未来を案じて途方に暮れたけれど、すぐに結論が出るわけがないから考えても仕方ないと今なら思います。
 
ちょっと想像してみてください。目の前に飛んでくるお皿をキャッチして机の上に置く作業をしていたとしたら、今の悩みはあなたを落ち込ませるでしょうか。

「そんなこと考えてる暇はない!」ってなるかもよ。そりゃ寝る前には「いつまでこんなことしてるんだろう」とは思うかもしれないけれど、疲れてスーッと眠りに落ちる方が先かも。
 
マインドフルネスという言葉があります。「今ここ」に集中する瞑想がよく知られていますが、私はせっかちなので瞑想は難しい。でも、いつもマインドフルネス状態。なぜなら、相変わらず目の前のことで精一杯だから!
 
具体的なトラブルなら、解消する方法を模索して行動に移す。でも、漠然とした不安にからめとられそうになったら、体をせわしなく動かすことをオススメします。ウォーキングとかジョギングとかヨガではなくて、何か考えながらではとてもじゃないけどできないこと。例えばボクササイズとか、ローラースケートとか!
 
悩むには、悩む時間が必要。つまり、時間がなくなれば、消え失せる場合もある。騙されたと思って、一度やってみてほしい。とにかく、今までトライしてみようなんて思ったこともない、せわしないやつを!

美的世代のメンタルクライシスに効く処方箋

\SNSやテレビでも話題の精神科医・藤野智哉先生がアドバイス!/
日々のストレスを上手に受け流して、自分で自分を労ってあげることがプチうつ症状を改善する近道でした。

精神科医
藤野智哉先生
ふじの ともや/1991年生まれ。秋田大学医学部卒業。精神鑑定などの司法精神医学分野にも興味をもち、現在は精神科病院勤務の傍ら医療刑務所の医師としても務める。最新刊が好評発売中のほか、著書多数。


『「誰かのため」に生きすぎない』
著/藤野智哉 ¥1,650 
ディスカヴァー・トゥエンティワン

自分だけの“しんどいサイン”を知ることがメンタルケアの第一歩

最初に、メンタルケアの誤解についてお伝えさせてください。それはプチうつ症状がひどくなってからケアに取り組む人が多いということ。 実は「しんどいかも…」という早めの段階で気づいて休むことが大切 で、これも立派なケアなのです。

美的世代には心がモヤモヤしてしまう外的要因がいくつか考えられます。そこに日常生活で感じるストレスが加わり、プチうつ症状が発生しやすい状態に。だから精神科医としては、早めの段階でメンタルクリニックを訪れてほしいのです。虫歯だって痛くなる前に治療した方が早く治せますよね。ただ“しんどいサイン”は人それぞれ違って、しかも自分に目が向いていないとそのサインに気づくことは難しいのです。年を重ねるにつれ常識に縛られたり、誰かの価値観に振り回されたりして自分を見失いがちです。だからこそ自分がどんな人間で、どんなことができて、どんなことに幸せを感じるかということをじっくり考える時間が大切に。

心については強さ弱さで語られることが多いのですが、ストレスを上手に受け流したり、他人に助けを求めたりすることも「強さ」だと知ってください。 ストレスをしなやかに受け流す力を身につける ことは、無理に心を鍛えるよりよほど大事。心のモヤモヤって、誰かが消してくれるものではないんです。面倒だけれど、自分で向き合うしかないもの。“セルフラブ”メソッドを参考に、自分を労ってあげる練習をしてみてくださいね。

 

心がモヤモヤする主な外的要因とは?


冬の時期は 照時間が短くなる ため

日光を浴びることで、“幸せホルモン”とも呼ばれるセロトニンの分泌が促進されるが、日照時間が短い冬はその恩恵が少なく、落ち込みやすくなりがち。また、寒暖差によって自律神経が乱れやすくなることも要因に。

 
SNSによって 情報に振り回されて いる

SNSがもはや当たり前の美的世代にとって、インスタグラムなどから入ってくる情報は気にしすぎると要注意。人の良い面ばかりを見てしまうことで“他人の幸せ”に振り回され、意図せず、自己肯定感を下げることも。

 
美的世代が陥りやすい クウォーターライフクライシス

クウォーターライフ(20代後半~30代前半)は自分のキャリアや結婚・出産など、アイデンティティが揺らぎやすい時期。そんな中で、理想と現実のギャップに不安を覚えたり、他人と比べて焦燥感を抱いたりして疲弊する人が急増。

 
女性にとってストレスフルだった コロナ禍の余波

リモートワークへの急激なシフトで、家事の負担が増えたという女性の声も多数。また、会社の人員削減の対象になってしまったことで孤独感を深めてしまい、心身のバランスをくずしてしまったことなどが理由として上げられる。

 

『美的』2024年3月号掲載
イラスト/市村 譲、山中玲奈 構成/宮田典子、長島理子、有田智子 

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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