健康・ヘルスケア
2023.6.4

妊活前のヘルスケア「プレコンセプションケア」って知ってる?

プレコンセプションケアって最近聞くけど、いったい何? 知りたいポイントを荒田尚子先生に教えてもらいました。

今話題のプレコンセプションケアって何??

Q.美的クラブに聞きました!「プレコンセプションケア」について知っていますか?

子供を望む人だけでなく女性の健康に必要なケア

美的世代の9割以上が「まだ知らない」と答えたプレコンセプションケア。「妊娠可能年齢にあるすべての女性に必要なケア」と、国立成育医療研究センター母性内科診療部長の荒田尚子先生は話します。

「プレコンセプションケアは、簡単にいうと『妊娠前のヘルスケア』です。やせている女性が増えたことや、出産年齢の高齢化などから、ハイリスクの妊婦が増加しています。若いうちから生活習慣や体の状態を管理することは、元気な赤ちゃんを授かるチャンスを増やすだけでなく、生まれてくる子供たちの将来の健康にもつながります。また“若い世代の男女が将来、より健康になること”もプレコンセプションケアの目的のひとつ。妊娠を予定している人だけでなく、若い男女の健康管理にとって大事なケアと考えてほしいです」。

まずは今の自分を知ること、健康や妊娠・出産に関して正しい知識を得ることのふたつが大事だとアドバイス。

「その上で、生活習慣の改善や、定期検診の受診など自分に必要なケアを行いましょう。また、年齢を重ねる程、妊娠率が低下することは知っておいてほしい知識のひとつ。今の自分に必要な知識や情報を得て、これからの人生を考えるきっかけにしてみて」

POINT|自分の体を見える化


「まずは、自分の生活習慣や体の状態を正しく把握することが、プレコンセプションケアの第一歩です。ノートや携帯などに、体重や運動習慣、食事内容などを記録してみましょう。これらの記録は生活習慣病のリスクや、ハイリスク妊娠の可能性などを知る手がかりになります。生活習慣を改善しながら、半年ごとに記録を更新し、検診の際にも役立てましょう」(荒田先生)

体重(BMI)
BMIは肥満度を表す指標。BMI値から、現在の体重を評価しよう。計算方法は、「体重[kg]÷(身長[m]×身長[m])」。理想値は22で、18.5未満がやせ気味、25以上が肥満となる。

運動実施(分/日)
適正体重を維持するためには、定期的な運動が欠かせない。早歩きやヨガなど、現在行っている運動の内容や時間についてメモして。1週間に150分程度の運動が理想的。

ストレスケア(実施しているケア)
自分なりのストレス解消法を記録。ストレスケアを行っていない人は、軽い運動や腹式呼吸、音楽鑑賞などから始めよう。ノートに今の気持ちを書き出すジャーナリングもおすすめ。

基礎体温計測
基礎体温を測って、グラフ化すれば、体調のリズムを知ることができる。低温期と高温期が二相に分かれていない場合、ホルモンバランスの乱れか、無排卵月経の可能性も。

バランス良い食事
まずは3日分の食事内容を書き出して、日々の食生活を振り返ってみよう。栄養の偏りは、やせすぎや肥満の原因に。妊娠を希望しているなら、葉酸の摂取状況もチェックして。

 

\特に大事なのが体重管理/


「健康の維持や、ハイリスク妊娠の予防のため、体重管理が必要です。特に若い世代で増えている“やせ”は、貧血や閉経後の骨粗鬆症のリスクを高めたり、赤ちゃんの出生体重低下の原因となったりする場合があります。BMI25以上の肥満も同様に、病気や不妊のリスクが高まる可能性が。BMI値20~24を目指して、体重管理を行いましょう。食べる量が少ないだけでなく、食事のバランスが悪いことも、やせすぎや肥満の原因に。まずは食事内容から見直してみて」(荒田先生)

 

母親の低体重によって、まれに発育不全を引き起こす新生児も


出典:国立研究開発法人 国立成育医療研究センター

出生体重が2,500g以下の低出生体重児の割合が少なかった1970年代と’80年代は、最終身長の平均値が高い傾向にある。一方で、低出生体重児が増加し始めた’90年代から、身長の低下が見られる。

 

国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター 母性内科診療部長

荒田 尚子先生

 

『美的』2023年5月号掲載
イラスト/本田佳代、きくちりえ 構成/青山貴子、 大瀧亜由美、有田智子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

この記事をシェアする

facebook Pinterest twitter

関連記事を読む

あなたにおすすめの記事