トイレが近くなるのはエイジングサインってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日常生活で生まれる美容の疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は、“尿トラブル”について。トイレが近くなるのはエイジングサインって…ウソ? ホント? 四谷メディカルキューブ女性泌尿器科の藤﨑章子医師にお答えいただきます。
Q:トイレが近くなるのはエイジングサインってホント?
年齢を重ねるにつれ、トイレが近くなってきた。出先では、すぐにトイレの場所を確認してしまうなど、お悩みの人も少なくないのでは? 実は、トイレが近くなるのは、エイジングサインというウワサが。本当なのでしょうか。さっそく、この疑問を藤﨑医師にぶつけてみました! 果たして答えは…?
A:ホント
「急な尿意で我慢できず何回もトイレに行ったり、場合によってはもれてしまう症状をを“過活動膀胱”といいます。過活動膀胱による頻尿は、年齢とともに増えるとされています」(藤﨑医師・以下「」内同)
頻尿の主な原因
「一般的には、1日8回以上トイレへ行くと“頻尿”といわれています。しかしながら、本人が困っていなければ血尿などがない限り治療する必要はありません。
原因としては、先ほど挙げた過活動膀胱の他にも膀胱炎や多尿、腫瘍、心因性のものが挙げられます。診察していて美的世代で多い印象があるのは、過活動膀胱と多尿です。多尿とは、飲水量が多いために尿量が増えることです。美容目的で水分をガブガブ飲み、なおかつトイレの回数が多いという人は、多尿の可能性もあるかもしれません。
また、膀胱や子宮などの臓器を支える役目のある骨盤底筋の筋肉量が低下するために頻尿が起こるという説もあります。もちろん関連はあるのですが、一概に筋肉だけが原因とは言い難く、様々な変化によるものと考えていただきたいです」
頻尿のセルフチェック
「血尿や排尿時に痛みがないことを前提に、まずは尿量が多くないかをチェックします。体重にもよりますが、1日の尿量が2000ml以上ある場合は、尿量が多いとされています。ですが、毎回紙コップで尿量を測るというのは、なかなかハードルが高いですよね。そこで、簡単に確認できるひとつの目安として、尿の色を見てみましょう。通常、尿は薄い黄色になりますが、多尿の人の場合は、排出される水分も多いため、尿の黄色みが薄まります。頻尿を自覚されており、トイレへ行くたびに一定の量の尿が出ている、なおかつ尿にほとんど色が付いておらず、透明に近いという場合は、水分摂取量が高い可能性があります。
水分摂取量が多くないか、カフェインを摂りすぎてないかなどを確認し、当てはまる場合は調整してみてください」
- 1日の尿量が2000ml以上ある場合は、尿量が多いとされている
- 簡単に確認できる目安のひとつに“尿の色”がある
- 多尿の場合は、排出される水分が多いため尿の黄色みが薄まる
頻尿のセルフケア
「頻尿の人の場合は、少しでも気になったら、尿がたまっていないのにトイレへ行くというケースも多いため、トイレへ行く習慣をやめて、膀胱に一定量の尿が溜められるように“膀胱訓練”を取り入れます。まずは1日5分程度トイレへ行くのを我慢し、1週間後には10分、15分と排尿までの時間を徐々に増やしていくことで、膀胱の容量を大きくすることが期待できます。
また、冷えが原因でトイレが近くなってしまう人の場合は、冷たい飲み物は飲まない、身体を冷やさないよう下着や肌着を替えてみるなど、身体を温める習慣を身につけるとよいですね。
その他には、肛門・尿道・腟全体を締めて、緩める、を繰り返す“骨盤底筋トレーニング”も効果的でしょう。しかし、間違った方法でトレーニングしても意味がありません。トレーニングを継続しても改善しない場合は、きちんと泌尿器科を受診することをおすすめします」
Point
◆トイレへ行く習慣をやめて、膀胱に一定量の尿が溜められるように“膀胱訓練”を取り入れる◆1日5分程度トイレへ行くのを我慢し、1週間後には10分、15分と排尿までの時間を徐々に増やしていき、膀胱の容量を大きくする
◆冷えが原因の場合は、冷たい飲み物は飲まない、身体を冷やさないよう下着や肌着を替えてみるなど、身体を温める習慣を
◆肛門・尿道・腟全体を締めて、緩める、を繰り返す“骨盤底筋トレーニング”も効果的
クリニックの治療法
「まず症状の確認、検査をしたうえで治療法の決定をします。意外かもしれませんが、水分摂取量の把握やカフェインを減らす、太り気味の方は減量するといったことも重要になってきます。基本は内服ですが、過活動膀胱とは数か月間薬を飲んだから治って薬が不要になるというものではありません。
薬を飲みながら、正しい骨盤底筋トレーニング、水分摂取の仕方や減量など他の治療も並行して行い、そこでもしかしたら成果が出てきて、薬が減るといった可能性もあります。上手に付き合っていくことが大切です」
文/木土さや
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四谷メディカルキューブ 女性泌尿器科、オザキクリニックLUXE新宿院、きつかわクリニックにて女性泌尿器科、婦人科形成術を専門に勤務。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医。日本排尿機能学会排尿機能専門医。日本性機能学会専門医。日本東洋医学会漢方専門医。医学博士。