【チェックリスト付き】日常生活に支障を来す不安や恐怖…あなたは大丈夫?|心療内科や精神科、薬に頼るのも◎
普段、強い不安を感じてつらくても、身体的な病気とは違って、病院に行くのはハードルが高いという人が多いのでは?でも、実際、日常生活や社会生活に支障を来しているのなら、心療内科や精神科を受診するのが解決への近道です。今回は、池袋オリーブメンタルクリニック 院長の松島幸恵先生に伺いました。
不安や恐怖が日常生活に支障を来す期間が長引く場合は心療内科か精神科へ!
いずれかの症状が2週間~1か月続いたら、専門医に相談を!
- 眠れない日が続いている
- 趣味やレジャーも、不安や恐怖が優先して楽しめない
- 人のちょっとした言動が気になって、苦痛だ
- 神経が過敏になり、不意なことに動揺する
- 自分に自身がもてず、人に迷惑をかけているように感じる
- 人の目が気になり、怖いと感じる
- 頭にモヤがかかったようで、集中力が低下している
クリニックでの不安症治療は、薬物療法と不安を段階で克服していく暴露療法が定番!
「セルフケアで紹介した暴露療法は、クリニックでも不安症治療の定番です。まずは患者さんに不安を感じる場面(いつ・どこで・誰と・何をする)をリストアップしてもらい、それらを不安度の高いものから低いものへと並べ替えて一覧表にします。最も不安を感じる場面を100点、不安を感じない状態を0点として、30〜40点くらいの場面からチャレンジを開始。段階的に難易度を上げていきます。レベルアップする度に先生に褒められると、どんどん自信がついて、やる気もアップするので、セルフで行う場合よりも結果が出やすいというメリットがあります。
また、偏った考えを正し、物事を柔軟に、ポジティブに考えられるようにサポートするのも、クリニックで行う暴露療法のひとつ。例えば“電車に乗ったら死ぬ”といった極度の不安に苦しめられている方に対し、“電車に乗ったら遠くに行けて楽しいですよね”と、思考の転換を促します。不安症になりやすい人の多くは、自分の偏見に気づいていないので、そんな小さな助言が意外に効果的だったりするのです。
そのほか、日常生活への支障が大きい場合は、薬物療法も選択肢に。その方のレベルに合わせた抗不安薬で、不安や緊張を緩和します」
薬で早期に不安のレベルを下げておくと後が楽!
「不安症は薬物療法に反応性の高い疾患群です。ただし、市販の抗不安薬や精神安定剤は、避けるのが賢明。医師の指示どおりに服用すれば、多くの場合、不安の軽減を実感できます。早期から飲み続けて不安のレベルを下げておけば、重症化も避けられます」
不安を和らげる医薬品の例
SSRI:選択的セロトニン再取り込み阻害薬。抗うつ剤。脳内の神経伝達を改善し、意欲を高めたり、憂鬱な気分などを改善する。
ペンゾジアゼピン系:脳の興奮などを抑えることで不安、緊張、不眠などを改善。抗不安作用に加え、鎮静・催眠作用、筋弛緩作用を併せもつ。
漢方薬:不安を低減させる漢方としては半夏厚朴湯や加味逍遥散などが代表的。その人の体質に合った漢方が処方される。
『美的』2022年12月号掲載
イラスト/Yumika 構成/つつみゆかり
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
まつしまさちえ/聖マリアンナ医科大学卒。都内の病院勤務を経て現職。精神科専門医。産業医。精神保健指定医。