目の下がピクピク痙攣するのはなぜ?ドライアイを改善するIPL治療とは?【女医に訊く#215】
目の下の痙攣や目の充血、目の痛み、目のかすみ、白目の変色などに困ったことはありませんか? それらはドライアイが原因かもしれません。眼科専門医の近藤美鈴先生に、目の疲れによるトラブルと治療法について教えていただきました。
目の下が痙攣するのはなぜ?
目の下がピクピク痙攣したことはありませんか? すぐに治まるものの、なぜあのような痙攣が起こるのでしょう?
「片目だけ痙攣するとか、目の下の方だけピクピクする場合は、目の疲れ・眼精疲労からくることが多いですね」と話すのは、眼科専門医の近藤美鈴先生。
近藤先生によると、パソコンおよびスマホの長時間使用や、度数の合わないメガネ・コンタクトレンズの使用などにより目が疲れると、片方の目がピクピク痙攣することがあるそう。
「目の痙攣は、目だけではなく体の疲れや精神的な疲れ、睡眠不足なども関わってくることがあります。これら疲れによる痙攣は1~2週間程で改善してくるものですが、それを超える場合は、眼瞼痙攣(がんけんけいれん)や脳神経に関わる病気の可能性もあります。痙攣が長期間続くようでしたら、眼科や脳神経外科で精査を受けた方がいいでしょう」(以下「」内、近藤先生)
眼精疲労とは?
「眼精疲労の症状には、目が重い、目の奥が痛む、目がかすむ、ピントが合わなくなるなどがありますが、ドライアイが関連していることが多いです。ほかにも頭痛や肩こりなど、体に症状が出る方もいます」と近藤先生。
先生によると、眼精疲労の治療法には、電子機器の長時間使用を控える、目を休める、睡眠不足を解消するなど生活を改善するほか、ドライアイ治療を併用するのがいいそう。
「蒸しタオルなどを使って目を温めるのもおすすめです。目の周りの血流が良くなると、ドライアイの予防にもなりますよ」
また、白目が黄色くなるのは炎症や紫外線、結膜の充血の影響があります。紫外線の強い日はサングラスをかけ、目が充血したときは、目薬でしっかり消炎しましょう。
「白目に茶色っぽいシミのようなものができた場合は、レーザーで除去することができます。気になる方は眼科医に相談してみましょう」
目の充血を防ぐには?
パソコンを長時間に渡って操作し続けていると、目が真っ赤になったり、チクチク痛みを感じたり…。1日中、目薬が手放せないという人も少なくないはず!
「パソコンやスマホ使用中の充血は、ドライアイが原因だと思われます」と近藤先生。
目をうるおす涙は、まばたきにより分泌されます。ところが、パソコンやスマホ、ゲーム機などの使用中は画面を注視するため、無意識のうちにまばたきの回数が減り、涙の分泌が減ったり、蒸発が亢進したりして、目はどんどん乾燥していきます。すると、結膜に炎症を起こしたり目の筋肉が疲れたりして、充血してしまうのです。
「目の充血は目の疲れ・眼精疲労とも密接に関係しています。電子機器を使用するときは、意識してパチパチまばたきをすることで、涙の分泌を促しましょう。さらに、ドライアイ用の目薬や消炎効果のある目薬を利用していただくといいと思います」
ドライアイを改善するIPL治療とは?
これまでドライアイの治療法は目薬しかありませんでしたが、近年、瞼の下に光を照射することで、マイボーム腺の詰まりや炎症を改善し、蒸発亢進型ドライアイを改善するIPL(Intense Pulsed Light)治療という新しい世界標準のドライアイ治療が日本でも可能になりました。
「IPL治療は月1回、合計4回程度の照射を推奨しています。症状によっては回数を増やす方もいらっしゃいますが、ほとんどの方は4回の照射でドライアイ症状の改善や点眼の回数が減るなどの効果がみられます」
近藤先生によると、目の疲れ・眼精疲労を訴える人も、実はその原因の多くがドライアイから来ており、充血の有無にかかわらず、まずはドライアイをしっかり治療した方がいいとのこと。ただし、IPL治療を受けられる眼科は限られています。事前に調べて受診しましょう。
文/清瀧流美
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先進会眼科大阪副院長。日本眼科学会認定眼科専門医。フェムトセカンドレーザー LenSx認定医。角膜内リング(ICRS)認定医。フェムトセカンドレーザー iFS認定医。フェムトセカンドレーザー IntraleseFS60認定医。エキシマレーザー Visx認定医。眼瞼けいれんボツリヌス療法認定医。Laser Vitreolysis インフォームドドクター。高知医科大学卒業後、同大学付属病院、渭南病院、早明浦病院、高知県立安芸病院を経て、2010年岡眼科クリニック入職。白内障、緑内障、網膜疾患、小児眼科、円錐角膜、屈折矯正など、多岐にわたって診療を行っている。