老眼の進行は遅らせられる?老眼鏡をかけると老眼が進むって本当?【女医に訊く#212】
老眼も近視と同じように症状が進行することはあるのでしょうか? 老眼を回避したり進行を食い止めたりすることはできないのでしょうか? 老眼対策について、眼科専門医の近藤美鈴先生に教えていただきました。
老眼って進行するもの?
老眼は40歳前後からはじまるとのことですが、近視のように症状が進行してしまうことはあるのでしょうか?
「残念ながら、老眼は年齢とともに進んでいきます。最初は弱い度数の老眼鏡で間に合っていたのが、だんだん度数を強めていくことになるのです」と話すのは、眼科専門医の近藤美鈴先生。
老眼は老化現象のため、回避したり進行を食い止めたりすることできませんが、老眼の症状を感じにくくしたり進行を遅くしたりすることは可能です。特に、老眼の症状がまだ表れていないという方は、早めに対策をして、近くのものがしっかり見える状態をより長い期間キープしましょう。
おすすめの老眼対策とは?
前回、「老眼は誰でもなるものであり、特に目を酷使している人は、老眼のような症状が早く出やすい」というお話をしました。スマホやPC画面などを見続けていると、目のピント調節をする筋肉が肩こりのようにガチガチに固まってしまい、ピントが上手く合わなくなってしまうのです。
「大切なのは目を休めること。スマホやパソコンを使うときは、1時間に1回は5分〜10分、目を休めてあげるといいですね」(近藤先生)
近藤先生によると、休憩中は遠くを見たり、目のストレッチをしたりするのがおすすめとのこと。目の筋肉を動かして、こりをほぐしてあげましょう。
【目のストレッチ】
1)まずは遠くの目標物を決めます。
2)次に、顔の前に程よく手を伸ばし、親指を上にあげたグッドの形を作ります。
3)親指にピントを合わせ片目で親指を10秒見ます。
4)同じ目で遠くの目標物を10秒見ます。これを片目につき10セット行います。
老眼鏡をかけると老眼が進むって本当?
「老眼鏡をかけると老眼が進むよ」と言われたことはありませんか? 実は、あの噂は間違い。目の筋肉に負担をかけないためには、老眼鏡をかけた方がいいのです!
「老眼鏡をかけたから、老眼の症状が進むということはありません。むしろ、老眼鏡をかけずに頑張って見る方が眼精疲労につながりますから、老眼鏡を使って筋肉に負担をかけないように見る方がいいと思います」(近藤先生)
とはいえ、手元が見えにくくなってきたら、すぐに老眼鏡をかけなければならないというわけではあません。まずは点眼治療などからはじめるケースもありますから、見え方が気になる方は、早めに眼科を受診しましょう。
文/清瀧流美
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先進会眼科大阪副院長。日本眼科学会認定眼科専門医。フェムトセカンドレーザー LenSx認定医。角膜内リング(ICRS)認定医。フェムトセカンドレーザー iFS認定医。フェムトセカンドレーザー IntraleseFS60認定医。エキシマレーザー Visx認定医。眼瞼けいれんボツリヌス療法認定医。Laser Vitreolysis インフォームドドクター。高知医科大学卒業後、同大学付属病院、渭南病院、早明浦病院、高知県立安芸病院を経て、2010年岡眼科クリニック入職。白内障、緑内障、網膜疾患、小児眼科、円錐角膜、屈折矯正など、多岐にわたって診療を行っている。