近視や遠視でも老眼になる?老眼の症状が早く出やすいのはどんな人?【女医に訊く#211】
スマホの文字が読みにくくなってきたな…と感じても、疲れているだけと放置してはいませんか? 老眼の自覚症状にはどういうものがあるのでしょう? 近視や遠視でも老眼になるものなのでしょうか? 眼科専門医の近藤美鈴先生に教えていただきました。
夕方、手元の文字が見えにくくなる…これって老眼?
食品表示ラベルや洗濯表示タグなどの小さい文字が読みにくく感じたり、夕方になるとスマホの文字がぼやけて見えたりしたことはありませんか? 手元が見えにくくなったら老眼がはじまっているのかもしれません。
「目の中には水晶体というレンズがあり、そのレンズが膨らんだり縮んだり調節してピントを合わせています。ところが、水晶体は40歳を超えてくると硬化してきて、ピントを調節しにくくなってきます。これが老眼のはじまりです」と話すのは、眼科専門医の近藤美鈴先生。
「老眼の自覚症状としては、今まで見えていたスマホや新聞、本の文字などが見えにくい、長時間見ていると目が痛い、ぼやけるなどがあります。近くが見えにくくなるのです」(近藤先生)
老眼ってみんななるもの? 何歳くらいでなるの?
老眼は近くが見えにくくなるということですが、近視や遠視の人は老眼にはならないのでしょうか?
「近視の方も遠視の方も、40歳前後からみなさん同じように老眼がはじまります」と近藤先生。
「ただ、近視の方は手元にピントが合うため、メガネやコンタクトを外していれば、近くは見えるんですね。そのため老眼がはじまっていても自覚しにくいのです。逆に、遠視の方は元々ピントが合いにくい目をしていますから、割と早く老眼の症状を自覚する方が多いですね」(近藤先生)
近視の人はメガネやコンタクトをしているときに、手元がちょっと見にくい、ぼやける、疲れるなどの症状が出てくれば、それは老眼のサインです。早めに眼科医に相談しましょう。
老眼の症状が早く出やすいのはどんな人?
みなさんは毎日、スマホやパソコンの画面を長時間見続けてはいませんか? 長時間、同じところを見ていると、ピント調節の筋肉が疲れてしまって、ピントが上手く合わせられないという状況になります。
「このように目を酷使している人は、老眼になりやすいというか、老眼のような症状が出やすい」と近藤先生は言います。
「逆に、老眼の症状が出にくいという方は、あまり目を使わない、遠くを見ることが多い方です。そういう方はピント調節機能が元気ですから、老眼の症状を感じにくいというのがあると思います」(近藤先生)
近くを見続けていると、ピント調節をする筋肉が固まってしまって、遠くを見たときにその筋肉を上手く緩められなくなってしまいます。スマホやパソコンを使用するときは、ときどき遠くを見て、ピント調節をする筋肉を動かすようにしましょう。
文/清瀧流美
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先進会眼科大阪副院長。日本眼科学会認定眼科専門医。フェムトセカンドレーザー LenSx認定医。角膜内リング(ICRS)認定医。フェムトセカンドレーザー iFS認定医。フェムトセカンドレーザー IntraleseFS60認定医。エキシマレーザー Visx認定医。眼瞼けいれんボツリヌス療法認定医。Laser Vitreolysis インフォームドドクター。高知医科大学卒業後、同大学付属病院、渭南病院、早明浦病院、高知県立安芸病院を経て、2010年岡眼科クリニック入職。白内障、緑内障、網膜疾患、小児眼科、円錐角膜、屈折矯正など、多岐にわたって診療を行っている。