メニエール病・突発性難聴ってどんな病気?2週間以内に受診が必要な理由とは?【女医に訊く#205】
重症化すると日常生活もままならない状態になりることもあるメニエール病や突発性難聴。芸能人やスポーツ選手の罹患者も多いため、病名だけは知っているという方も多いのではないでしょうか? メニエール病と突発性難聴について、耳鼻咽喉科専門医の岩崎朱見先生に教えていただきました。
メニエール病ってどんな病気?
めまいを起こす病気のなかで、前回ご紹介した「良性発作性頭位めまい症」に次いで多いのが「メニエール病」です。メニエール病は内耳の病気。自分や周囲の景色がグルグル回っているように感じる回転性のめまいの発作が何回も繰り返し起こります。
「前回もお話したとおり、耳には音を聴くところ(聴覚機能)と、体のバランスを取るところ(平衡機能)があります。メニエール病はバランスと一緒に聴こえも悪くなる病気です」と話すのは、耳鼻咽喉科専門医の岩崎朱見先生。
メニエール病は、めまいの発作と同時に耳鳴りがする、耳が詰まったような感じがする、低音域が聴き取りづらくなるなど、聴覚の症状を伴うのが特徴。1回の発作は10分ほどで治まることもあれば、数時間続くこともあります。
メニエール病の原因はストレス?
前回ご紹介したとおり、内耳には平衡感覚をつかさどる「三半規管」や「耳石器」と、聴こえをつかさどる「蝸牛」があります。三半規管や耳石器、蝸牛は筒状になっていて、その内側は内リンパ液で満たされています。
「メニエール病は内耳の内リンパ液の水ぶくれ(内リンパ水腫)が原因で起こります。蝸牛が浮腫むと聴こえが悪くなるし、三半規管や耳石器が浮腫むとめまいが起きるのです」と岩崎先生。
「内耳が浮腫む原因は、さまざまな原因がありますが、ストレスのことが多いです。ストレスには、心のストレスと体のストレスがあります。心が元気でも働きすぎや疲れ・寝不足では、体のストレスになりますし、適度に働いていても心にストレスがかかることもあります。睡眠不足もストレスになりますから、ストレスをため込みやすい人は注意しましょう」(岩崎先生)
聴こえが気になったら2週間以内に受診!
「耳の治療のキーワードは2週間。耳鼻科医としていちばん困るのは、難聴が1か月前からあるのに放っておかれることですね」と岩崎先生。
めまいの症状とともに耳鳴りや耳が詰まった感じ、聴こえないという症状が起こった場合、メニエール病のほかにも突発性難聴が疑われます。突発性難聴は片方の耳が突然聴こえなくなる病気。回転性のめまいが生じますが、メニエール病と違って繰り返されません。
突発性難聴の治療は時間との闘いです。発症からできれば1週間以内、遅くても2週間以内に薬物療法を行う必要があります。
「突発性難聴やメニエール病の場合、低音部の聴力だけ落ちることもありますから、聴こえているから大丈夫と思わないでほしいですね。検査の結果、耳垢が原因だったとしても取ればいいんです。聴こえが気になったら放っておかず、早めに耳鼻科を受診してください」(岩崎先生)
文/清瀧流美 撮影/黒石あみ(本誌)
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人形町耳鼻咽喉科めまいクリニック院長。医学博士。日本耳鼻咽喉科学会認定専門医・指導医。めまい平衡学会認定めまい相談医。日本耳鼻咽喉科学会認定補聴器相談医。厚生労働省認定補聴器適合判定医。身体障害者福祉法第15条指定医。耳鼻咽喉科難病指定医。東京医科歯科大学医学部卒業後、同大学医学部付属病院耳鼻咽喉科医院・助教の後、中野総合病院、JCHO東京高輪病院、都立駒込病院の医長などを経て現職に。地域の方の役に立てるようなクリニックであると同時に、めまいで悩む方の役に立てる診療を目指している。