健康・ヘルスケア
2022.5.25

おできとイボはどう違う? シミがイボになるって本当!?【女医に訊く#198】

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「美白ケアやシミ治療をしても消えないシミがある」「シミが盛り上がってきた!」……もしかしたら、それは老人性イボかもしれません。老人性イボができる原因や治療について、形成外科専門医の西嶌順子先生にうかがいました。

おできとイボはどう違うの?

「おできは毛包の中に過剰な皮脂や髪の毛が入って、それが炎症で赤くなって腫れて見えるもの。医学的には癤(せつ)と呼ばれ、中心に膿の塊を伴います」と話すのは、形成外科専門医の西嶌順子先生。

西嶌先生によると、おできは初期の頃から腫れや痛みがあり、しこりのような感触があるのが特徴。内服薬などで治すこともできますが、悪化してしまった場合には、排膿処置などの外科的な対応が必要になることもあるそう。

一方、老人性イボは医学的には脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)と呼ばれる良性腫瘍。直径数mmから2~3cm、灰褐色~黒褐色のやや隆起したしこりで、通常かゆみや痛みはありません。

「老人性イボは中高年の顔面、頭部など露光部によく見られますが、背中や胸腹部、大腿など日光の当たらない部位にも発生します。手のひらや足の裏には生じません。主に40代以降に出現し、加齢とともに増えるため、80歳以上ではほぼ全員に認められます」(西嶌先生)

シミがイボになる!?

美白ケアしても、なかなか消えないシミ(老人性色素斑)。よーく見てみたら、茶色い部分が周りの皮膚よりわずかに盛り上がってはいませんか? 実はこれ、シミから盛り上がってイボになったもの。老人性イボは老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)という別名があるように、老化や紫外線による光老化が原因で生じるもの。その発生メカニズムは、シミと同じなのです。

「表皮の奥の基底層にはメラノサイトというメラニンをつくる細胞がいて、それが過剰にメラニンをつくったり、皮膚のターンオーバーが滞ったりするとシミができます。さらに、表皮基底細胞の遺伝子に異常が起きると、増殖して皮膚表面から盛り上がるようになり、脂漏性角化症というイボになるのです」(西嶌先生)

ただし、シミとイボでは治療法が異なるので要注意! 気になるシミを見つけたら、形成外科医または皮膚科医に相談してみましょう。

イボの予防法と治療法は?

「老人性イボの一部はシミから生じることがあるため、予防法はシミと一緒です。紫外線対策、外的刺激の回避(摩擦レス)、ビタミンCなど抗酸化作用のある栄養摂取が予防につながります。加齢に伴い、背中や腹部など紫外線にさらされにくい部位にもできてきますが、その場合の予防法は残念ながらありません」と西嶌先生。

老人性イボは必ずしも治療を必要とする疾患ではありませんが、美容上の問題や皮膚がん(基底細胞がんや有棘細胞がんなど)の疑いがある場合は、治療の対象となります。また、短期間に全身に出現し、急速な増大をきたし痒みを伴う場合は、Leser-Trelat(レーザー・トレラー)兆候と呼ばれ、内臓の悪性腫瘍との合併を疑います。

「老人性イボの治療は大きく分けると、①液体窒素による凍結療法(保険適応)、②手術による切除(保険適応)、③レーザーによる切除(自費診療)の3つがあります。ちなみに当院では、診察で良性と考えられる場合は、1回の治療できれいに治りやすく、手術に比べ治療時間や通院回数が短いCO2レーザーで切除することが多いですね」(西嶌先生)

どの治療法にもメリットとデメリットはあります。詳しくは、形成外科医または皮膚科医に相談してみましょう。

形成外科専門医

西嶌順子先生

文/清瀧流美 撮影/フカヤマノリユキ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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