【自律神経を学ぶ③】頑張りすぎない朝夜習慣で自律神経をピースフルにコントロール♪
自律神経は24時間オートマティックに作動するので、持ち主の意思で交感神経・副交感神経のスイッチを切り替えることはできません。ただし、そのときの体や心の状態や環境に反応するため、誘導は可能です。つまり、日中は交感神経が優位なアクティブモード、夜にかけては副交感神経が優位なリラックスモードといった理想の流れを乱さないように生活のリズムや環境を整えれば、自ずと自律神経も整ってくるはず。その具体的なメソッドを、せたがや内科・神経内科クリニック院長・久手堅司先生に伺いました。
交感神経のスイッチを入れる朝のルーティン
目覚めたらベッドの中で耳ストレッチ
目覚めたら、耳たぶを水平方向に引っ張って10秒キープします。耳を上下や前後に動かしたり、回したりしてもOK。耳のストレッチで血行が促され、自律神経が整います。
朝日を浴びる
ベッドから立ち上がったら窓へ直行。朝日を浴びて体内時計をリセットします。目から入る光の刺激によって、交感神経のスイッチがオン。日光には、睡眠を司るホルモンのメラトニンの分泌を抑え、覚醒ホルモンのセロトニンの分泌を促す働きがあります。
コップ1杯の白湯を飲む
起き抜けにコップ1杯の白湯を飲むのもおすすめ。内臓温度が上がって基礎代謝が高まる上、体が潤い、活性化されます。胃に刺激が伝わって、胃腸の動きも活発に!
副交感神経を優位にし、快眠へ導く夜のルーティン
夕食は入眠の3時間前にすませる
胃の中に消化しなければならない物が残っていると、消化作業にエネルギーが使われて良質な睡眠を得られません。食べたものが消化されるまでにはおよそ3時間ほどかかるので、就寝予定の時間から3時間逆算した時間までに夕食をすませるようにしましょう。自律神経が整う食事の内容や食べ方については、次週詳しくお話しします。
就寝の90分前に、湯船に首まで15分浸かる
良質な睡眠の条件は、就寝後の最初の90分に深い眠りに入ること。睡眠は体温と密接な関係があり、体温が下がっていく段階で深い睡眠に入ることができます。そのため、就寝の90分前くらいに入浴して、しっかり深部体温を上げておけば、入眠時の体温下降がスムース。シャワーではなく、湯船に首まできちんと浸かって15分ほどリラックスしましょう。半身浴なら30分が目安です。このとき湯の温度を高く設定すると、交感神経のスイッチが入ってしまうので、38〜40℃程度のぬるめが◎!
スマホを寝室に持ち込まない
スマホやパソコンの使用は、少なくとも就寝の1時間前までに切り上げましょう。夜が更け、リラックスモードになっている時間帯に、ブルーライトの強い刺激が目に入ると、脳が朝だと勘違いして覚醒してしまいます。スマホは寝室に持ち込まないように習慣づけるのがベスト!
完璧を追求しないことも大切!
上記の朝晩ルーティンのほか、日中も、前回の【自律神経を学ぶ②】で紹介したような姿勢や骨格のリセット、胸・腹式呼吸などを行うことで、自律神経の乱れを防げます。とはいえ、そういったルーティンや生活習慣は、パーフェクトを目指す必要はありません。常に100点を取ろうとして自分を追い込むと、かえってそれがストレスになり、自律神経のバランスが乱れ、体や心の不調の要因に。「70%できればOK!」くらいのラクな気持ちで取り組むことが、自律神経のバランスUPの秘訣です。
\お話を伺ったのは/
せたがや内科・神経内科クリニック院長
久手堅 司 先生
くでけん・つかさ/医学博士。日本内科学会・総合内科専門医、日本神経学会・神経内科専門医、日本頭痛学会・頭痛専門医、日本脳卒中学会・脳卒中専門医。1996年北九州大学法学部法律学科卒業、2003年東邦大学医学部医学科卒業。東邦大学医療センター大森病院などで臨床経験を経て2013年に開業。「自律神経失調症外来」「肩こり・首こり外来」など複数の特殊外来を立ち上げ、多くの患者のニーズに応えている。著書に『最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方』(クロスメディア・パブリッシング)、『毎日がラクになる! 自律神経が整う本』(宝島社)など。
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。