美的GRAND
健康・ヘルスケア
2022.4.29

【biiku】まずは親が“生理は恥ずかしい”から自由に!山本未奈子さんインタビュー(前編)

GRAND世代の親と、ティーンの子供の美容と健康を考える新プロジェクト biiku(び・い・く)。始動にあたり、3人の子を持つ母であり、起業家・美容家の山本未奈子さんにインタビュー。山本さんが着目するティーンの親の“課題”とは? 全2回でお届けします。

biiku06_2“生理は恥ずかしいことじゃない。親の意識改革が先決”山本さん

美容ブランドのシンプリスや吸水ショーツブランドのベアを手がける山本未奈子さんは、起業家・美容家としてもおなじみ。18歳、10歳、8歳と、3人の子供を持つお母さんでもあります。

シンプリスは、シンプルなケアで内外両面からキレイと健康を狙うトータルビューティブランド。ベアは、昨今話題のフェムテックで、機能と快適さにこだわる吸水ショーツを提案しています。いずれも、女性の悩みや願いを見つめることから生まれたブランドです。「女性の幸せを追求したい」という山本さんの目に、「子供の美と健康」はどう映っているのでしょうか? まずは「生理」を典型に、私たち自身が知らないうちに捕らわれてしまっている「思い込み」について。

生理の悩みNo.1は「におい」。でも、私たち世代は誰にも相談できなかった

山本さん:今、年齢を重ねるっていいな、と心から感じています。成功、失敗、どちらともいえないこと。仕事でもプライベートでも「経験を重ねたから見えてくること」は、たくさんありますよね。
吸水ショーツのベアは、まさに私個人の体験…多忙のあまりトイレに行けなくて、服を汚してしまった“よくある失敗”や、ビジネスパートナー・髙橋くみ自身の経験とアイデアから始まりました。そして、製品化の過程でリサーチをすると、とにかく「生理をタブー視するムード」を感じたのです。
月経時の悩みの第1位はなんだと思いますか? 「におい」です。
多くの方が、そうそう!と頷くかもしれませんが、その悩みを誰かに相談したことはあったでしょうか? 大げさでも何でもなく、生理は世界の人口の半分が経験するのに、日本の私たちは「悩みがあっても誰にも相談できない」環境にあります。
理由は簡単です。私たちは、生理という話題にフタをされて育てられたからです。

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2022年3月、子供たちの春休み期間中に開催されたBe-A Japanの親子セミナー「学校では教えてくれない、生理とカラダのこと」
(伊勢丹新宿店)。登壇者・右が山本さん、左はBe-A Japan 代表取締役COO高橋くみさん。取材ルポは後日公開。

初経は知っていても「閉経」は知らない。生理教育はさらっとしすぎ?

ここ数年、ダイバーシティが注目されたり、#metooなどの影響で、SNS上で声を上げやすくなったこともあり、TV番組で「生理そのもの」が取り上げられるなど、生理がオープンに語られるように。山本さんがベアの吸水ショーツを発表したのは20207月。翌2021年は、女性特有の悩みを解決する製品やサービスが次々に登場して「フェムテック元年」といわれています。
そんな時代の空気感もあってか、「私は自分の親世代とは違い、生理のことは客観的に受け止めている」と感じている人も多いかもしれません。しかし、現実は…?

山本さん:生理や性に関する違和感が、もうひとつあります。子供が通う学校をはじめ、子供を取り巻く情報網において、性教育や生理教育が、さらっとしているのです。体の構造や第二次性徴の説明はあっても、生理は痛みや不快感、イライラを伴うこと、しかもそれは「ごく当たり前」であることには触れません。体育と生理が重なったときはどうすればいいか、具体的な指導もナシ。
男の子にいたっては、生理について「ほとんどなにも知らない」といっていいでしょう。
実際、初経を迎える年齢の女の子とお母さんを対象にセミナーを行うと、学校で生理について教えてもらったという子でも、月経血が「どこ」から出てきているのか、その器官をなんと呼ぶのか、ナプキンの使い方や捨て方、さらには生理には終わり(閉経)があることを知らない子がほとんどです。

“生理に限らず「無意識の思い込み」はもったいない”山本さん

学校では教えてもらえないとなると、誰が教えるのか?という問題が浮上。もちろん、最も身近な経験者であるお母さんの出番ですが、「当時、親から教えてもらわなかった私たち」は、今でこそ豊富になった情報からPMSやピルの知識を得ましたが、「教えてもらった経験がない」ため、話すタイミングは? 用語や内容はどこまで正確に? 我が子を相手に「どう教えるか?」悩んでしまいます。
山本さんは、この「悩んでしまう」背景に、根本的な問題があると指摘します。

山本さん:私たちは、そうとは知らずに「生理は隠すもの」という考えに捕らわれてしまっているのです。私の場合、母がとても厳しかったので反面教師にしている部分があり、私自身は3人の子供に対し、生理や性についてオープンに話すようになりました。そのおかげか、長男は、体調の優れない私に「生理痛なの? 大丈夫?」と声をかけてくれますし、長女はごく自然にボーイフレンドのことを話してくれます。
あらためて、性や生理は、恥ずかしいことでしょうか?
生理をはじめ、「親の固定概念から、子供にも同じ経験をさせてしまう」のは、本当にもったいないと思います。まずは、私たち親が意識改革をして「生理は隠すもの」という思考の連鎖にストップを。オープンに語り合えたら、親も子も、もっと楽に、もっと自由になれると思います。

>>後編はこちら

山本未奈子:1975年生まれ。美容ブランドのシンプリスなどを展開するMNC New York及び吸水ショーツブランドのBe-A Japan代表取締役 CEO。モットーは、「(まずは)女性を幸せにする」。美容家としても活動する。著書多数。18歳、10歳、8歳、3児の母。
SIMPLISSE https://www.simplisse.jp/
Bé-A https://withbe-a.com/
Instagram @minako_yamamoto

『美的GRAND』2022年春号掲載
構成/佐野有子

 

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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