カラーやパーマ、ヘアスタイリングは薄毛につながる?薄毛を予防する食事とは?【女医に訊く#188】
ブローやカラーリングに負けない美しい髪をキープするには、髪はもちろん頭皮もすこやかに保つことも大切です。抜け毛や薄毛の原因にもなる頭皮トラブルを防ぐには、毎日どんなことに注意しをすればいいのでしょうか? 発毛診療医・美容皮膚科医の高橋栄里先生にお話をうかがいました。
カラーやパーマ、ヘアスタイリングは薄毛につながる?
もうすぐ春。気分を変えて、いろいろなヘアスタイルにチャレンジしたいけれど、ヘアカラーやパーマ、ブローなどで髪が傷まないか心配なところ。ヘアダメージが薄毛につながることはあるのでしょうか?
「カラー剤やパーマ剤などは髪が傷み、頭皮ダメージの原因となりえます。頭皮や髪質にあったカラー剤を選択し、ダメージを最小限に抑えるよう気をつけましょう」と話すのは、発毛診療医・美容皮膚科医の高橋栄里先生。
スタイリングも注意が必要です。高橋先生によると、毎日きつく結くことで頭皮に負荷がかかったり、毎日同じ分け目にしていることで皮膚が露出して紫外線によるダメージを受けたりする可能性があるというのです。
「自宅では髪を下ろす、分け目を定期的に変えるなど心がけて、頭皮に負担がかからないようにしましょう」(高橋先生)
髪のハリやコシを保つために生活習慣で気をつけるべきこととは?
「女性の薄毛については、医学的に全てが解明されているわけではありません。男性の場合は原因がはっきりしているので治療法もありますが、女性の場合はいろいろな原因が複合的に絡み合ってくるため、薄毛が進行してから治療しても、いい状態になるには難しいかとも」と高橋先生。
だからこそ薄毛対策は、予防が大切。髪にハリやコシがなくなる原因の一つは、毛髪を育む細胞の老化です。老化を予防するには、規則的な生活、栄養バランスの取れた食事、良質な睡眠など、生活習慣を見直して、頭皮の健康を保つ正しいケア方法を知る必要があります。
「髪だけとか頭皮だけに着目するのではなくて、健康的な体づくりをしていくと、健康的な髪が生えやすくなります。上質な睡眠を摂る、極端なダイエットに気をつけるなど、日常生活でできることからスタートしてみるといいでしょう」(高橋先生)
美髪を育む食事とは?
現代人の食生活では、ビタミンやミネラルといった髪を育むために必要な栄養素が不足しがち。美しい髪をキープするには、ヘアケアも大切ですが、内側からのケアも重要です。
「ダイエットをするにしても、ビタミンBやビタミンC、ビタミンA、ミネラル、たんぱく質など、髪の毛を育てるための必要な栄養素は欠かさないよう考えて食事を摂っていただきたいですね。サプリメントを活用して、髪に必要な栄養を効率的に摂取するのもいいと思います」
細胞が若々しい状態を保ちやすくするには、細胞の糖化にも注意が必要です。
「糖化というのは細胞の老化を促進させるものですし、活性酸素を助長するきっかけにもなります。焦げた食べ物や揚げ物、甘い物の摂取を控えたり、食べる順番(野菜→肉・魚→炭水化物)に気をつけたりするなどして、糖化を防ぎましょう」(高橋先生)
薄毛が気になってきたら、誰に相談すればいい?
抜け毛や薄毛の治療については、専門のクリニックを受診するのがおすすめですが、ちょっと気になってきたかも…という段階で受診するのは、ためらう人も多いはず。そんなとき頼りになるのは、かかりつけの美容師さんだと高橋先生は言います。
「かかりつけの美容師さんは、ヘアスタイルにもよりますが、毎月あるいは2〜3か月毎の頭皮状態や髪質などを全部把握しているデータをもっているはず。そのため最近ちょっと薄さが気になるからヘアスタイルを変えてカモフラージュしようとか、ちょっと髪が傷んでいるからトリートメントやアウトバス系のケアを強化しようとか、小さな変化を客観的に教えることができるのです」(高橋先生)
まずはかかりつけの美容師さんに相談し、抜け毛や薄毛が気になってきたら専門のクリニックに相談してみましょう。
文/清瀧流美
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イークリニック麻布 院長。日本臨床医学発毛協会発毛診療医。日本毛髪科学協会認定毛髪診断士。日本臨床抗老化学会認定医。都内美容皮膚科の院長を経て、発毛診療医として大手AGA専門クリニック院長を務めたのち、診療顧問に就任。2019年に美容皮膚科、発毛治療ができる「イークリニック麻布」を開院。毛髪と美容のプロフェッショナルとして活躍中。著書に『女性の白髪・薄毛の悩みがなくなる方法』など。