自己肯定感が高い人、低い人の違いとは?必要なのは「健全な自己愛」
最近よく耳にする「自己肯定感」。高い人と低い人は何が違うの? その特徴や高めるために必要なことを精神科医 Tomy先生に伺いました。
「自己肯定感」とは……
あるがままの自分で大丈夫という確信をもっていること
自己肯定感が高い人は、人からの承認を求めない
「自己肯定感を言葉どおりに捉えると、 “自分自身を肯定できている感覚”。 ここで言う“自分”とは、他人からの評価を気にして無理をしたり、誰かと比べて優劣をつけたりつけられたりしない、 “あるがままの自分” です。自分は “自分らしければ大丈夫” という確信をもっているのが、自己肯定感の高い人ということになります。よく、他人に認めてもらいたいという “承認欲求”が満たされている人 が自己肯定感の高い人と勘違いされがちですが、本来は逆。そもそも自己肯定感の高い人は 他人の評価はどうでもよく、 誰かに認めてもらいたいといった感情はわかないのです」(Tomy先生・以下同)
自己肯定感の低い人は、他人の評価=自分の価値
「自己肯定感の低い人は、他人から高く評価されているとか、社会から求められているなど、
第三者的な要因がないと、自分のことを認められません。
自分の言動や行動は他人の評価が基準。その思考をスイッチしない限り、常に人の顔色をうかがいながら自分に無理を強いてばかりでつらくなります。
また、他人と自分とを
比較して優劣をつけたがる
のも、自己肯定感の低い人です。その根底にも、自分を認めてもらいたいといった
承認欲求
が潜んでいます。
常に他人より優れている自分をアピール
しようとするから、心休まるときがなく、疲れてしまいます」
自己肯定感を高めるには、健全な自己愛が必要!
では、自己肯定感は高い方が良く、低いとダメなのでしょうか。
「自己肯定感が低い人を否定するわけではありません。ただ、高い方が 他人の評価に一喜一憂することがないので楽に過ごせますよ 、ということです。もし今、自己肯定感が低いことでつらい思いをしているなら、思考をリセットしてみてはいかがでしょうか。
自己肯定感を高める上で必要なのは 『健全な自己愛』 です。自己愛といっても、鏡を見ながら“私がいちばんキレイ”と思っているようなナルシスティックなものとは違います。他人と比べた自分に 優越感を覚えているのはゆがんだ自己愛。 健全な自己愛とは、評価のために自分を取り繕ったりせず、 ありのままを認める 感情です」
自己肯定感が高い人は……
- 「自分は自分」とマイペース
- 自分の意見を素直に言える
- 来る者を拒まず、去る者を追わず
- 他人のことをとやかく言わない
だから
楽に生きられ、幸せ度が高い!
自己肯定感が低くなる要因
- もともとの性格
- 育ってきた環境
- 大きな挫折による自信喪失
ただし
自己肯定感を育てることはできる
「自己肯定感の高低には、幼少期から培われてきた価値観や性格などが影響しています。その根強い部分をいきなり変えるのは難しいけれど、まず自分の素直な考えや意思、こうしたいという感覚を大切にすることで、自己肯定感を少しずつ育てていくことはできます」
『美的』2022年3月号掲載
イラスト/Yumika 構成/つつみゆかり
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、産業医。コラムニスト。“人生の気づき”を毎日つぶやくツイッター「精神科医Tomy@PdoctorTomy」が人気。新著に自身初の小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)