白癬菌によって起こる水虫…最大の原因は靴のムレ! 対策方法を専門医が解説
皮膚に棲みついて増殖する菌のひとつ、白癬菌(はくせんきん)。その原因や予防法、治療のポイントを東邦大学医療センター 大森病院 皮膚科 臨床教授の関東裕美先生が教えてくれました!
角質層に侵入して感染。かゆみが広がる水虫に!【白癬菌】
高温多湿の中、白癬菌にバイ菌がつくとかゆみに!
「カビによる皮膚トラブルで、代表的なのは水虫。白癬菌が引き起こします。白癬菌は頭皮や手にも感染しますが、靴やストッキングを履いている時間が長い美的世代は、足の水虫が圧倒的です。ただ、白癬菌は穏やかな菌なので、それだけだと皮膚に大したトラブルは起こしません。そこに汗や細菌の影響でかゆみが出たり、炎症を起こして赤くなったり、腫れたりするのです。また、白癬菌が角質層に侵入してもすぐには感染せず、高温・多湿の状態が30分以上続くことで増殖を始めます」(関東先生・以下同)
第3指と4指、4指と5指の間にできやすい!
水虫が最もできやすいのは足の指の間。それも指同士の隙間が少ない第3~4指、第4~5指の間からでき始めることが多い。また、かかとにできると、厚くなった角質の表面がザラザラして、皮がむけてくる。
爪まで入るとなかなか治らない!
「皮膚に棲みついた白癬菌が爪の中まで侵入すると爪水虫に。症状は、爪が濁る、肥厚する、ボロボロになるなど。爪水虫専用の外用薬や内服薬での根気強い治療が必要です」
足水虫の最大の原因は靴のムレ!
「6月に靴を履いているときの指の間の平均温度は35℃、平均湿度は97.9%と、白癬菌の増殖には格好の場。靴やストッキングの履きっ放しを避け、通気を心掛けましょう」
予防するには…
(1)殺菌効果のある洗浄剤を使って、丁寧に洗う
「水虫の予防は、まず洗うこと!普段、全身に低刺激性のソープを使っている人も、梅雨から夏は、手足だけでも殺菌成分を含む洗浄剤にして、指と指の間まで丁寧に洗いましょう」
殺菌&消炎成分配合。優しくすっきり洗える
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Wの有効成分で殺菌・消臭。すべすべの足に!
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(2)5本指の靴下をはく
「水虫の予防には5本指の靴下がおすすめ。指同士が直接接触しないのでムレません。綿やシルクなど、通気性や汗の吸収性が高い素材を選ぶのもポイントです」
治療のポイント
(1)水虫と決めつけず、皮膚科を受診して
「足のかゆみ=水虫と決めつけて、市販薬でセルフケアをする人は多いけれど、湿疹など類似の皮膚病の可能性もあります。湿疹に水虫の薬を塗り続けると、逆に皮膚がかぶれる場合も。まずは皮膚科で菌の確定診断を」
(2)治ったように見えても薬の塗布は3か月以上継続を
「かゆみなどの自覚症状が消えると、水虫が完治したと思って薬をやめてしまいがち。奥に白癬菌が潜んでいる可能性があるので、再発を繰り返さないためにも、3か月は継続しましょう」
『美的』2021年7月号掲載
イラスト/白ふくろう舎 構成/つつみゆかり、有田智子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
かんとうひろみ/東邦大学医学部卒。米国シンシナティ大学皮膚科学教室、東邦大学医学部皮膚科准教授などを経て、2012年から現職。専門は接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎など。