マスクつけると強調されてしまう目の下のクマを消す方法とは?【女医に訊く#155】
マスクをしていると、強調されて目立ってしまうのが目周り。特に、目の下の茶グマ、青グマ、たるみグマ、凹みグマが気になってしまう方も多いのではないでしょうか? クマの種類とセルフケアでは改善しづらい際に受ける美容皮膚科における治療法について、皮膚科専門医の慶田朋子先生に教えていただきました。
茶グマのケアにはピコレーザーがおすすめ
「目の下にできるクマには、いくつかのパターンがありますが、いちばん簡単に、比較的お安めの値段でケアできるのは茶グマです」と話すのは、皮膚科専門医の慶田朋子先生。
茶グマは、メイクを落としてもパンダ目のままみたいに残る目の下のくすみ。皮膚の代謝の低下によるメラニンの沈着や角層の重層化が原因でできるほか、遺伝による体質やアレルギーなどによる皮膚基礎疾患、こすりすぎや皮膚炎(アトピー性皮膚炎や花粉皮膚炎、湿疹など)による炎症後色素沈着でも生じます。
「茶グマのケアには、当院ではピコレーザーによるピコトーニング照射とピコフラクショナル照射のセットをおすすめしています。熱ダメージを最小限に抑えながら、衝撃波でメラニン色素を微粒子サイズまで細かく砕くから、一度の施術でも肌色が明るくなりますし、コラーゲンも少し増えるのでハリも出ますよ」(慶田先生)
コラーゲン線維を厚くして青グマを改善
青グマは、冷えや疲れで血流がうっ滞し、青っぽく見えるクマ。特に、皮膚が薄く、色白な人は目立ちやすくなります。
「青グマは下まぶたのコラーゲン線維を厚くするような治療で改善することができます。おすすめは、PRP(多血小板血漿)注入療法。ご自身の血液から専用の自己型注入剤を作り、血小板と白血球の放出する成長因子によって、老化症状を改善させる新しい美容再生治療です」(慶田先生)
PRP(多血小板血漿)とは、血液中の血小板を高濃度に濃縮させた液体のこと。傷ついた組織を修復させる作用があり、コラーゲン密度が高まり徐々にハリが出るのでナチュラルな仕上がりになるそう。
「ただし最近、このPRPに成長因子を混ぜるクリニックがあり、トラブルが相次いでいます。当院にも毎週平均2人ほど成長因子添加PRPの修正希望患者さんが相談にいらっしゃいます。PRPに成長因子を混ぜると、肌が膨張して凸凹したり不自然に凝ったりしてしまうのですが、ヒアルロン酸製剤と違って溶かすことができず、手術で除去することも難しいため、再建外科医の間でも、いちばんやっかいな美容トラブルのひとつといわれているのです」(慶田先生)
PRP注入療法を受けるときは日本皮膚科学会認定の形成外科専門医、または日本皮膚科学会認定の皮膚科専門医のもとで、成長因子が混ぜられていないか事前にしっかり確認し受けましょう。ホームページに記載されていないことも多いのでご注意ください。
たるみグマは照射系治療で引き締めて
目の下の皮膚の伸びやたるみ、細かいシワによる陰影が気になったことはありませんか? 実はこれ、加齢変化で生じた目の下のコラーゲン線維の劣化が原因のたるみグマ(黒クマ)。眼窩内脂肪が突出することで生じる目の下の目袋も、たるみグマの仲間です。
「たるみグマは、たるんだ皮膚を引き締める照射系治療で改善することができます」と慶田先生。
「美的世代でしたら、針刺激による創傷治癒効果と高周波(RF)の熱効果を融合させたリフトアップ治療器『スカーレットS』を2〜3回照射するか、超音波を用いて緩んだ皮膚を強力に引き締める『ソノクイーン(アイシャドウ・スマイルHIFU)』を2回ほど照射するだけでも、満足できると思います」(慶田先生)
凹みグマはヒアルロン酸でボリュームアップ
「加齢変化で生じた目の下の陥没が目立つ凹みグマの治療は、ヒアルロン酸注入で、凹んだ部分をボリュームアップするのがいちばんです」と慶田先生。
目周りの皮膚がたるんだ加齢肌では、皮膚を引き締める照射系治療を組み合わせないと、たるみが目立ってしまったり、新しいシワが増えたりすることがあるようですが、美的世代ならヒアルロン酸の注入だけで、クマっぽく見える影も凹みも消え、肌色も明るくなるそう!
「目の下のクマは、いくつかの原因が重なって生じていることが多く、複数の治療法を組み合わせ、時間をかけての治療が必要となる場合も少なくありません。気になる方は、美容医療の経験が豊富な日本皮膚科学会認定の皮膚科専門医または、日本皮膚科学会認定の形成外科専門医に相談してみてください」
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
銀座ケイスキンクリニック院長。医学博士。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。日本レーザー医学会認定レーザー専門医。東京女子医科大学医学部医学科卒業後、東京女子医科大学病院、聖母会聖母病院などを経て、2006年、有楽町西武ケイスキンクリニック開設。2011年、西武有楽町店閉店に伴い、銀座ケイスキンクリニックとしてリニューアルオープン。最新マシンと高い注射注入技術で叶える、切らないリバースエイジングに好評を博している。著書に『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館)など。