ピル服用で女性のQOL(生活の質)が上がる!?30代、知っておきたい「ピル」のこと
日本でピルの服用が承認されてから20年程。昨年10月には、政府がアフターピルの薬局での販売の検討を始めると発表、話題に。妊娠を避けるだけでなく、婦人科系のトラブル改善に服用する人も増え、『美的』読者の中にも、助けられている人、今後使いたいと希望する人のほか、本当に大丈夫?と不安な人、よくわからずに使っている人も…。そんなあなたのために、ピルの「事実」と「今」を詳しく紹介します。
30代、知っておきたい「ピル」のこと
ピルの服用で女性のQOL(クオリティオブライフ)が上がる!?
「ピル」とは 経口避妊薬 のこと。ただし、美的クラブでアンケート調査を行なったところ、ピルを避妊目的で服用したことのある人は1割にも及びません。もちろん年齢的なこともあるけれど、多くは 月経困難症や生理不順、PMSなどの不調を改善するため。 避妊薬の副効用として得られる部分です。
「特に日本はお国柄、
女性が主導権を握る避妊に対して、ネガティブなイメージ
をもつ風潮が強いですね。
実際、婦人科でも、避妊目的のピルは自費扱いで、保険を適用できません。ところが、
月経困難症の治療を目的として使用されるピルは保険適用
になります。そういった背景もあって、生理にまつわる悩みやトラブルのある方には、ピルの処方をおすすめするケースが増えています。また、入試などの大切なイベントと
生理日をズラすため
にピルを飲みたい、と自ら希望して来院する若い世代も。そんな風に、
ピルで自分の体をマネジメントできる
ことを理解してうまく活用するのは、とても良いことだと思います」と、女性のホルモン治療に詳しい吉形玲美先生は話します。
また、最近話題の 「アフターピル」 についても、「すぐに妊娠を望まない女性が、 自分の体や人生を守るひとつの手段 として、常に身近にあってほしいものです」と、アフターピルの早期薬局販売開始を願う産婦人科医、遠見才希子先生。
避妊であれ、月経トラブルの改善であれ、どうやら ピルが女性のQOL(生活の質)向上 のために果たす役割は大きそう!
美的クラブのアンケート調査でピル服用経験者がなんと6割も!
(n=99)
【ピルの服用経験がある人】
「温泉旅行の予定があって、ピルで生理を早めました」(主婦・35歳)
「生理が重かったので、22歳からずっと飲んでいます」(自営業・35歳)
「月経困難症と診断されて服用。生理痛が軽くなった」(モデル・31歳)
【ピルの服用経験がない人】
「毎日欠かさず飲み続けるのが大変そう!」(メーカー・36歳)
「使ってみたいけど、高いし、病院に行くのも面倒」(主婦・35歳)
「避妊、太る…ネガティブなイメージ」(ヨガインストラクター・32歳)
ピルに関するアンケートに99名(平均年齢33.3歳)が回答(’20年12月実施)。約6割がピルを服用した経験あり。さすが『美的』の読者は自身の体の管理能力が高め!?
ピル服用経験者に質問。ピルを飲んだ(飲んでいる)目的は?
月経困難症や生理不順、PMSなどで婦人科を受診し、その治療薬としてピルを処方されるケースが多い。一方、生理日の移動や避妊など、自ら積極的にピルを利用する人も。

産婦人科医
遠見才希子先生
えんみさきこ/聖マリアンナ医科大学卒。大学時代から全国の中・高校生を対象に性教育の講演を行う。現在、「湘南藤沢徳洲会病院」などで産婦人科診療を行うほか、筑波大学大学院社会精神保健学博士課程に在籍。
『美的』2020年3月号掲載
イラスト/沼田光太郎 構成/つつみゆかり
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
よしかたれみ/医学博士。
東京女子医科大学医学部卒。同大学非常勤講師。浜松町ハマサイトクリニックなどで診療のほか、多くの施設で予防医療研究にも従事。揺らぎやすい女性の体のホルモンマネージメントを得意とする。