いぼ痔ってどこにできるの? どうしてできるの? 症状や治療法は?【女医に訊く#135】
排便時に出血したり、長時間いきんだあとに肛門周辺が腫れ上がったりしたことはありませんか? 痔のなかでもっとも多く、男女ともに患者の半分以上を占める痔核(いぼ痔)について、女性大腸肛門病専門医のさきがけとして知られる山口トキコ先生にうかがいました。
いぼ痔ってどこにできるの?
肛門の出口近くには、血管が網目状に広がり弾力性に富んだ「クッション」と呼ばれる部位があり、肛門をピタリと閉じる役割を担っています。痔核(いぼ痔)は、このクッション部分が大きく腫れ、いぼのような丸みを帯びてしまった状態。直腸側のクッションが大きくなった内痔核と、肛門部分のクッションが大きくなった外痔核があります。
「外痔核は大きく腫れて痛みを伴いますが、直腸側のクッションが腫れても痛みを感じませんので、内痔核はできていても気づかない人が多いですね」と話すのは、女性大腸肛門病専門医の山口トキコ先生。
「みなさん小さい内痔核はあるのですが、ただあるだけだったら痛みはないため、それすらわからない。症状が出て初めて『何だこれは!』となるのです」(山口先生)
いぼ痔の症状と治療方法とは?
内痔核の症状は、痛みはないが排便したときに血が出る、便が残っている感じがする、肛門からいぼ痔が外へ出ているなど。脱出したいぼ痔は、程度が軽い場合は自然に戻りますが、程度が重くなると、指で押し込まないと戻らなくなったり、出たままの状態となったりします。
「いぼ痔の治療には、食生活や排便習慣を見直してもらうほか、痛み、腫れ、出血を抑える座薬や軟膏を使います」と山口先生。
それでも出血がひどい場合や脱出によって日常生活に支障をきたす場合は、外来処置や手術を行うこともあります。いぼ痔にならない、あるいは悪化させないために、正しい生活習慣を身につけましょう。
冷え・アルコール・辛い食べ物は痔を悪化させる!?
いぼ痔の原因は、いきみのくり返し、便秘、激しい下痢、重い荷物の運搬などにより、肛門に負担がかかることといわれています。日頃から繊維質の多い食品を食べるなど、バランスいい食事をして便秘を予防しましょう。
「また、体の冷え、アルコール、辛い食べ物は、痔を悪化させる要因になります」と山口先生。
過度な飲酒や香辛料の摂取は、肛門を刺激したり、うっ血させたりして血栓性外痔核の要因になるほか、痔を悪化させることも。腫れ方によっては痛くて座れなくなることもありますから、注意が必要です。
「若い方はシャワーだけで済ます方が多いと思いますが、冷えを防ぐためにも、いきみ過ぎでうっ血した肛門の血行をよくするためにも、お風呂で全身を温めるのはいいですね。切れ痔も血流が悪いところに傷ができやすいといわれていますから、お風呂で温まって血流がよくなれば、痔の予防になると思います」
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
マリーゴールドクリニック 院長。医学博士。1988年、東京女子医科大学卒業。1992年、同大大学院修了。東京女子医科大学付属病院一般外科で研修後、社会保険中央総合病院・大腸肛門病センター勤務を経て、2000年2月、マリーゴールドクリニックを開業。日本大腸肛門病学会専門医・指導医・評議員。日本臨床肛門病学会技能指導医・評議員。日本外科学会専門医。