片頭痛は男性より女性のほうがなりやすいってホント?真相を医師に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日々の生活で生まれる美容の疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は片頭痛について。片頭痛に悩むのは女性の方が多いって…ホント? 東京頭痛クリニックの丹羽潔先生にお話を伺いました。
Q:片頭痛は男性より女性のほうがなりやすいってホント?
国内患者数が1000万人以上にもなる片頭痛。その割合は女性が圧倒的に多く、30代女性においては5人に1人が片頭痛持ちとも言われているのだそう。それは一体なぜなのでしょう? さっそく、この疑問を丹羽先生にぶつけてみました。
A:ホント
「世界的に見ても、片頭痛は圧倒的に女性が多いです。その理由には生理周期が大きく関係しています。片頭痛は女性ホルモン(とくに卵胞ホルモン)が大きく変動するとき、つまりエストロゲンが大幅に減少する排卵時期、月経時期に発作が起きやすくなります。そしてエストロゲンが減ると、血管収縮をコントロールしたり痛みを抑えるセロトニンの分泌も減少します。これにより痛みが悪化することもあるのです」(丹羽先生・以下「」内同)
片頭痛と婦人科系疾患の関係
「実は低用量ピルの副作用で頭痛が起こることがあるのも、これと同じ現象なのです。月経周期が整って定期的に生理が来るということは、女性ホルモンがきっちり変動してしているということ。これ自体はよいことなんですが、ピルによってメリハリがつきすぎると片頭痛につながることが。そのため片頭痛がある人は、婦人科系疾患の治療についても、なるべくピルではなく漢方薬で行うと良いのかもしれませんね。
ちなみに、鎮痛剤を服用しすぎることによる薬物乱用頭痛の多くも女性が占めています。とくに生理痛でお腹が痛くて鎮痛剤を飲むという人は注意してください。お腹の強い痛みで気づかないだけで、実は同時に片頭痛も起きているパターンもあるのです。
鎮痛剤を服用して耐えなくてはいけないほどの生理痛があるならば、市販薬で自己対処するのではなく婦人科などで専門の治療を受けることをおすすめします。同様に片頭痛も、痛みがひどく日常生活に支障が出る人は専門医に相談してくださいね。」
妊娠・出産、閉経後は片頭痛がなくなる?
「女性の片頭痛患者の中でも30代に多い理由としては、ライフスタイルが大きく変化する年齢でもあるからではないでしょうか。30代の女性は仕事で重要なポジションを任されるだけでなく、結婚後に出産して母親になるなど、男性に比べて変化が目まぐるしい。10〜20代で発症した人でも、30〜40代で痛みのピークを迎えることが多いのです。
女性が片頭痛から解放されるとしたら、それはエストロゲンが変動しなくなるとき。閉経後はもちろん、生理がこない妊娠中や出産直後も片頭痛が起きなくなります。
ただ、閉経前の更年期はエストロゲンの変動が不安定なため、元々片頭痛持ちである人は痛みが悪化することも。産後の場合、生理再開とともに片頭痛が再発する可能性も大いにあります」
60歳以降の頭痛は病気の疑いも…
「60歳を超えると痛みに対して脳の過敏性が低下し始め、頭痛を感じにくくなります。高齢になると片頭痛の発作が起きることはほとんどないので、その年代で突然に頭痛が起きる場合は脳出血や脳卒中などの二次性頭痛が疑われます」
文/井上ハナエ
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東京頭痛クリニック理事長。東海大学医学部を卒業後、ドイツ、アメリカへ留学。大学病院で頭痛や脳卒中を中心に脳神経内科診療・研究に携わり、2005年に日本で開業医としての道を歩み始める。自身も片頭痛や群発頭痛といった頭痛症状と戦いながら頭痛外来の開設を果たし、国内外より好評を受けて2015年に「東京頭痛クリニック」を開院。頭痛のエキスパートとして講演会やメディア出演も多数。著書に『めまいを治す63のワザ+α』(保険同人社)、『神経救急・集中治療ハンドブック 第2版』(医学書院)などがある。
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