温かいものを飲んでも体は温まらないってホント?真相を医師に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日々の生活で生まれる美容の疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は“冷え性”について。温かいものを飲んでも体は温まらないって…ホント? 西洋・東洋医学の両観点から冷え性を診察する、御苑アンジェリカクリニックの神藤慧玲先生にお話を伺いました。
Q:温かいものを飲んでも体は温まらないってホント?
飲み物は冷たいものではなく温かいものを、という考え方は冷え性対策の基本。ところが、体がポカポカ温かくなるのはわずかな時間だけ。その後すぐに冷えを感じてしまうのは、実は体の芯までは温まってないから? 温かい飲み物は意味がないの? さっそく、この疑問を神藤先生にぶつけてみました。果たしてその答えは?
A:ウソ
「胃腸にはたくさんの毛細血管が張り巡らされており、1本1本は細くても全ての血管を広げると何リットル分もの血液を入れられるほどの容量に。それらの血管は飲食時に一気にぶわっと広がり、消化管へ水分や血液が届くよう働きかけます。当然、温かい物を口にすれば瞬時に胃腸から全身が温まります。その後は胃腸の消化活動が続くことで体内のエネルギー循環が活発になり、ポカポカした状態が持続するはずなのです。
では、温かい物をいくら口にしても体が温まらない&持続しないのは何故なのか? それは原因が複合的に絡んだ極度の冷え性であるか、胃腸の働きが悪くなっているのかもしれません。胃腸の血流が悪い人は毛細血管がギュッと収縮した状態が続いてしまうため、全身に血液が行き渡らず温まりにくくなるのです。入浴時、湯船に浸かってもすぐに冷えてしまう人にも同様の可能性が考えられますね」(神藤先生・以下「」内同)
胃腸が弱っている時は食事内容に要注意!
「気温が低い日は体が温まる物を食べたい、という機会が増えてきますよね。中には辛い物が食べたくなる人もいらっしゃると思いますが、元から胃腸の働きが良くない自覚があったり、時期的に弱っている人は要注意。豆板醤や赤唐辛子、カレースパイスなどのピリッと刺激の強いタイプは、胃に入った時や消化時に大きな負担となります。そこからお腹を下したり体調を崩すことにもつながりかねないので、胃に優しい食事を摂っていただきたいですね。
しかし、体温を上げるために辛い物を食べるのが有効なのも確かです。どうしても香辛料系を口にしたいなら、生姜やシナモンのように体内からゆっくりじっくり温める食材を含む物をオススメします」
体を冷やしてしまう温かい飲み物って?
「温かいのに体を冷やしてしまう?と不思議に思うかもしれませんが、どんなに温かい飲み物でも、カフェインを含んでいると後から体が冷えることも。カフェインは血管を収縮して体を冷やすだけでなく、利尿作用により水分が排出されると体温が下がります。冷えを気にするならば、カフェインが多いとされているコーヒー、玉露、緑茶をたくさん飲むことは控えましょう」
文/井上ハナエ
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千葉大学医学部を卒後後、千葉県内・東京都内の大学病院をはじめ北里研究所病院東洋医学研修や慶愛クリニックにて臨床経験を積み、2017年新宿御苑前に「御苑アンジェリカクリニック」を開院。西洋医学と東洋医学の知見を生かして婦人科系、冷え、妊活外来、鍼灸治療など、あらゆる角度から最適な治療を提案。■御苑アンジェリカクリニック