健康・ヘルスケア
2020.10.7

朝起きられない、疲れやすい、立ちくらみを起こす…これって低血圧のせい?【女医に訊く#128】

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朝目覚めてから、すぐに動けますか? 朝なかなか起きられない人や、疲れやすさやだるさ、立ちくらみ、めまい、冷えなどが気になる人は、血圧が低い可能性があります。低血圧の症状について、血液専門医の濱木珠恵先生に教えていただきました。

20歳以上の国民の2人に1人は高血圧!?

喫煙と並んで日本人の生活習慣病死亡に最も大きく影響するのが高血圧。厚生労働省が行った平成30年国民健康・栄養調査によると、高血圧自体は過去数十年で大きく減ったものの、今なお20歳以上の国民の2人に1人は高血圧だそう。では、美的世代の女性はどうなのでしょう?

「高血圧の原因は様々ですが、20代〜30代の女性では、エストロゲンが脂質を調整して動脈硬化を防いでいるし、動脈を拡張する効果もあるので、血圧は比較的上がりにくい。血圧で困ることがあるとしたら、低血圧の方がありえると思います」と語るのは、血液専門医の濱木珠恵先生。

美的世代で血圧が高い場合は、何らかの病気が隠れている二次性の高血圧の可能性もあるとのこと。気になる人は、病院で調べてもらいましょう。

生理中以外もクラクラするし、疲れやすい…ひょっとして低血圧?

血圧とは動脈の中を血液が流れるときに、血液が血管壁を押す圧力のこと。現在、WHOでは世界共通の基準として、収縮期血圧100mmHg)以下、拡張期血圧60mmHg)以下を低血圧としています。

「低血圧の人は体質的な場合が多く、痩せ型、疲労を感じやすい、冷え性などの虚弱体質な方が多いとされています。血圧が上がりにくいせいか、普段から身体のスイッチが入りにくい感じというとイメージしやすいかもしれません。
逆に、生理の時にだけクラクラするというのは、月経痛の刺激など反射による低血圧と考えられます」と濱木先生。

低血圧の主な症状は、立ちくらみ、めまいが多く、朝起きられない、だるいなど。冷え性になりやすい人や疲れやすい人も多くみられます。

「慢性的に血圧が低くても、本人が不便や苦痛を感じていなければ、特に病気ではありません。症状がひどい場合は、生活を整えたり運動をして筋肉を鍛えたりするなどの工夫や、血圧をあげる薬や漢方薬を使う方法がありますから、病院で相談した方がいいでしょう」(濱木先生)

低血圧だと立ちくらみを起こしやすいのはどうして?

「心臓は血液をいちばん遠い足の先まで送って、また戻さないといけません。血液が血管壁を押す力が弱いということは、ホースの中の水の勢いが弱いようなもの。これでは、下がったものが重力に引っ張られてしまい、上がってくるのがきつくなってしまいます」と濱木先生。

例えば、座った姿勢から立ち上がると、床から心臓までの高さは急に高くなります。このとき、足先まで落とした血液を上に戻すには、末梢の血管を締めてパッと血圧を上げて血液の勢いを強くする必要があります。

「低血圧の人はこの反応に少し時間がかかることも。そのため、頭に行く血が一瞬遅れ、立ちくらみを起こしてしまうのです」(濱木先生)

起立性低血圧とは? どんなことに注意すればいい?

学生時代、朝礼などで倒れる人を見かけたことはありませんか? いわゆる立ちくらみや脳貧血などと言われる症状ですが、主な原因は起立性低血圧と考えられます。思春期は自律神経が乱れやすく、血圧が下がってしまうことが原因で起こります。

「立っているときは、頭の高さまで血液を押し上げるために血圧を維持しておかないといけないのが、立っているうちに、血圧が下がってしまう。その結果、頭に血液が行かなくなって、酸欠でクラクラして倒れてしまうのです」(濱木先生)

普段は低血圧の症状がない人でも、睡眠不足や疲労が重なった時などには起立性低貧血の症状が出てしまう人がいます。思春期に症状が出ていた人や、普段から低血圧の症状がある方は、大人になってからも症状が出ることもあります。規則正しい生活や、普段から身体が血圧や脈拍の変化に対応できるように運動習慣をつけるようにしましょう。また、起立性低貧血起こしやすい動作、例えばを座ったり寝たりしている状態から立ち上がるときや、立ちっぱなしでいるなどは、ゆっくり姿勢を変えたり、足首やふくらはぎを動かすなどして身体を刺激するなどの工夫をしてみてもいいでしょう。

血液専門医

濱木珠恵先生

文/清瀧流美

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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