口内炎はどうしてできるの?放っておいても平気?【女医に訊く#123】
頬の内側、舌、歯ぐきなどにできる小さな白い円形の腫れ。たかが口内炎と侮ってはいませんか? 実は、口内炎には怖い病気が隠れていることも…。口腔外科専門医の梯裕恵先生に教えていただきました。
口腔内に傷やできものが…どうしたらいい?
食べ物や飲み物がしみたり、歯磨き中に痛みを感じたり、会話しづらくなるなど、口腔内に不快な症状が現れたことはありませんか?
「傷やできものとして考えられるのは、歯周病やむし歯によるもの、口内炎、水ぶくれ(水疱)などです」と語るのは、口腔外科専門医の梯裕恵先生。
「まずは歯科医院を受診し、歯が原因であれば適切な治療を受けてください。合っていない義歯やかぶせ物、虫歯で歯がとがっていたりして傷ができる場合もあります」(梯先生)
口内炎はどうしてできるの?
口内炎とは口腔内の粘膜に起こる炎症のこと。直径1〜10mmくらいの小さな白い円形の腫れが頬の内側、舌、歯ぐきなどにでき、赤く腫れて潰瘍を引き起こすこともあります。
口内炎にはアフタ性、潰瘍性、カタル性、ウイルス性、カンジダ性、アレルギー性などの種類があります。アフタ性口内炎とは、誤って口の中を噛んでしまったときや、粘膜が傷ついたり、疲れやストレスによってできたりするもの。食べ物や飲み物などがしみて激しい痛みを感じますが、1~2週間で自然に治ります。
「アフタ性口内炎は特にはっきりした原因がわからず、体調不良時に再発する人もいます。痛みや不快感が気になるときは、患部を刺激からカバーするパッチタイプの治療薬を貼るか、ステロイド剤の軟膏をぬりましょう」(梯先生)
口内炎が2週間経っても治らない。放っておいても平気?
「一般的に口内炎は治るまで放置されがちですが、なかには全身疾患やベーチェット病のような難病が隠れている場合や、ヘルペスウイルス(単純疱疹ウイルス、水痘–帯状疱疹ウイルス)、コクサッキーウイルスなどのウイルス感染の場合もあります。後遺症が残る場合もあるので、早めの受診をおすすめします」と梯先生。
ベーチェット病とは、口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍、外陰部潰瘍、皮膚症状、眼症状の4つの症状を主症状とする慢性の全身性炎症性疾患のこと。それぞれの症状が消失と再発を繰り返すほか、副症状として消化器症状、神経症状、血管炎症状などが出現する場合があります。
「治りにくい口内炎などは癌の可能性もあります。心配な症状がある場合や2週間以上続くような場合は、口腔外科専門医を受診してください」(梯先生)
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歯学博士。日本口腔外科学会口腔外科専門医。専門は骨吸収抑制薬関連顎骨壊死、顎関節症。福岡県出身、九州大学卒業。大学病院での口腔外科外来、病棟診療のほか、学生や研修医の指導も行う。女性ならではの視点での診療を心がけている。趣味はワイン、海外旅行、エアロビクス、スペイン語。