健康・ヘルスケア
2020.6.17

新型コロナウイルスの第二波に備えて、ストレスや不安を溜めない生活のコツを知りたい!【女医に訊く#112】

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仕事や人間関係などで日々感じるストレス。上手に発散できていますか。友人に愚痴を聞いてもらう、お酒を飲む、スイーツを食べまくる、ショッピングを楽しむなど、方法は人それぞれだと思いますが、今回はストレスや不安を溜めずに生活するコツを精神科医の織戸宜子先生に教えてもらいました

ぐっすり眠ることでストレスに強くなれる?

私たちはストレスを解消することばかりに目を向けがちですが、実は心の健康に大きな影響を及ぼすのが生活リズムです。仕事が忙しいなどの理由で食事や睡眠の時間が不規則になるとストレスを感じやすくなるので、規則正しい生活を心がけ、特に睡眠をしっかりとることが大切、と織戸先生。

 「睡眠の目的は、体と脳を休息させること。睡眠中は、眠りの浅いレム睡眠と眠りの深いノンレム睡眠を繰り返していて、レム睡眠は体を休ませ、ノンレム睡眠は脳を休ませる働きがあります。睡眠がしっかりとれないと心身に疲労が溜まり、ストレスにも弱くなります。必要な睡眠時間には個人差がありますが、十分な睡眠がとれないと、うつ病や糖尿病、心疾患などさまざまな病気を引き起こす原因にもなるので注意しましょう」(織戸先生)

 生活リズムを整え、夜ぐっすり眠るためには、朝の過ごし方が重要。人間の体内時計は約25時間周期になっているので、毎朝、太陽を浴びてリセットすることがポイントです。

 「光を浴びてから1416時間後にメラトニンという眠りを促すホルモンが分泌されるので、朝に太陽を浴びることが良質の睡眠につながります。また、朝食をしっかり食べることや運動することも体内リセットに役立ちます。リモートワークなどで出かける機会が減ると、運動不足になりがちなので、運動も取り入れて欲しいですね。体を動かすと呼吸によって緊張が和らぎメンタルにも良い影響を与えます」(織戸先生)

ステイホーム中でも、誰かと繋がることがストレスを緩和

緊急事態宣言が解除され、徐々に以前の生活が戻りつつありますが、第二波が来た時には再び厳しい自粛生活を余儀なくされる可能性も。一度経験しているとはいえ、「ステイホーム」は長く続くとやはり相当なストレスに。「そんな時に大切なのは、人と繋がること」と、織戸先生は言います。

 「まだ感染への不安もあるので、『もしも自分がうつしてしまうと困るから人に会うのは避けよう』と辛い思いをされている人もいると思います。外出自粛中は、不安や漠然とした怒りを感じてしまうものなので、『みんなもそう思ってる。そう思うのが普通』だと認識しましょう。そんな時こそ、電話やSNSなどで離れて暮らす家族や友人と繋がることが必要です」(織戸先生)

 最近は、ZoomLINEなどのアプリを使ったオンライン飲み会も流行っていますが、やはり顔を見ながら話をした方が良いのでしょうか。

 「使い慣れていなかったり、顔が映るとなると準備が面倒など、負担に感じる人は使う必要はありません。電話でも手紙でもよく、誰かと『繋がっている』ということが重要なんです。特に女性は誰かに話を聞いてもらうことがストレスを溜めないポイントなので、社会的距離はとるけど、心の距離はとらないようにしましょう」(織戸先生)

ずっと一緒にいる家族がストレスに…ケンカをしないコツは?

一方で、長い自粛生活の中で多く聞かれた悩みが、「家族とずっと一緒にいると喧嘩になる」というもの。自分の仕事に加え、家事負担や育児の分担でケンカが増えた、などという声もあります。

 「外出自粛中は、普段不在の家族が一緒にいることもストレスになります。料理、洗濯、片付け、買い物などの家事は、どちらか一方の負担が大きくなるとストレスになるので、家族で交代して行うなど助け合うことが大事です。どうしてもできない場合は、『ありがとう』とねぎらいあうことが大切。また煮詰まったら、散歩には一人で出かけるなど、一人時間を作ることもいいですね。そして、心の中でため込みすぎずに小出しに自分の意見を相手に伝えましょう」(織戸先生)

とはいえ、家族とのやりとりでケンカになってしまうという声も。

 「相手に頼む時に、『あなた、ゴミ捨てくらいしてよ』『あなたはいつもゴミ捨てもしてくれないわね』などといったらケンカになります。これは「あなた」が主語になる『Youメッセージ』といって、相手は責められた気持ちになってしまうからです。ですので、『ゴミを捨ててきてくれたら嬉しいわ』というように、『Iメッセージ(私はこう思う)』で伝えることがポイントです。最初は慣れないかもしれませんが、相手にどうしても意見したい時や言いにくいことを伝える時には有効です。『Iメッセージ』で意見を言うと、口論にならないことが多いですよ」(織戸先生)

メイクをすることもストレス解消に繋がるの?

新型コロナウイルスの感染が本当に収束するまでにはまだ時間がかかり、感染者数の増減や治療薬やワクチンに関することだけでなく、日々さまざまなニュースが流れてきます。

「新型コロナウイルスの流行という今までとは全く違った環境でニュースを見ていると、心が落ち込みがちです。中には不安を煽るフェイクニュースもあるので、情報は必要最低限だけ取り入れることがいいと思います」(織戸先生)

 不安やストレスを感じた時は、楽しいことをして気分を変えましょう。楽しいことをするのが好きな人は、不安やストレスを乗り越えやすい、と織戸先生も話します。

「女性は、メイクをすることで気分が上がる人も多いですね。外出自粛をしていても、メイクが好きな人はメイクをしたり、スキンケアに力を入れてみたりするだけでも良い気分転換になると思いますよ」(織戸先生)

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精神科医
織戸 宜子先生
精神科専門医、精神保健指定医。兵庫医大卒業後、神戸大学病院にて研修。内科診療を行いつつ、パルモア病院・神戸海星病院にて女性心療内科外来を立ち上げ、女性のメンタルヘルスに長年携わる。その後、東京慈恵会医大、総武病院を経て、2018年5月より代々木の森診療所で女性メンタルヘルス専門外来を担当。■代々木の森診療所

文/青山貴子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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