新型コロナウイルスへの警戒は継続中!ストレスや不安を感じやすいのはどんなタイプ?【女医に訊く#111】
私たちは、まったくストレスを受けずに生活することはできませんが、同じ体験をしてもストレスを感じやすい人とそうでない人がいます。そこで、ストレスや不安を感じやすいのはどんなタイプの人なのか、精神科医の織戸宜子先生に教えてもらいました。
ストレスを感じやすいのはどんなタイプ?
「仕事でミスをして、なかなか立ち直れない」、「気の進まない飲み会に参加するのがツライ」、最近なら、「新型コロナウイルスに感染したらどうしよう」など、ストレスを感じる局面はたくさんあります。しかし、同じ体験をしても心に大きな負担となる人と、そうでない人がいます。
「新型コロナウイルスの影響で普段より手洗いをする機会が増えていますが、手洗いひとつにしてもストレスの感じ方は人によって異なります。中には感染への不安から生活に支障が出るほど何度も手洗いや消毒をしないと気が済まない人もいます。それは相当なストレスですよね。特に次の4つはストレスを感じやすいタイプと言えます」(織戸先生)
◎几帳面・完璧主義で頑張りすぎるタイプ
「このタイプは、責任感が強く過剰に頑張りすぎてしまいます。仕事ができるので、次々に仕事を任されオーバーワークになりがちで、オン/オフの切り替えが難しくなってしまう人も多いですね」(織戸先生)
◎挫折に弱く精神的に未熟なタイプ
「親など保護者が過干渉であることが多いのがこのタイプ。子供の頃から周囲が先回りして困難を回避してくれるので、困難に打ち勝つ力が弱くなってしまいます。挫折や失敗がなかった自己愛型と考えられます」(織戸先生)
◎人を頼らず自己解決をのぞむタイプ
「もともと男性に多いのですが、最近は女性にも増えています。自分の体力や気力なら必ずやりこなせると思って、他人に相談もしないので、どんどんオーバーワークになってしまうタイプです」(織戸先生)
◎周囲に気を遣いすぎる過剰適応タイプ
「デリケートで、くよくよ考えるのが特徴です。相手に合わせすぎたり、周りを過剰に心配してなかなか心が休まりません」(織戸先生)
自分の性格を急に変えることはできませんが、自分がストレスを感じやすいタイプかどうかを知っておくだけでも、早めのストレスケアやうつ症状の予防に役立ちます。
ストレスの溜まりすぎに自分で気づく症状とは?
新型コロナウイルスの第二波や、リモートワークでの仕事など、慣れない状況下でストレスや不安をうまく発散できない人も多いはず。自分で次のような変化を感じたら、それはストレスが溜まりすぎているサインかもしれません。
□悲しい・憂うつな気分
□興味が沸かない・好きなことが楽しめなくなった
□疲れやすい
□気力・意欲の低下・集中力の低下を自覚(おっくう)
□睡眠障害:寝つきが悪く朝早く目覚める・過眠
□食欲がなくなる
□人に会いたくなくなる
□朝の方が夕方より体調・気分が悪い
□心配事が頭から抜けず、考えが堂々めぐりする
□失敗や悲しみからなかなか立ち直れない
□自分を責め、自分は価値がないと思う
「こうした症状が2週間以上続くと、うつ病の可能性もあります。真面目で頑張る人ほど、体の声を聞くのが難しいのですが、いつもと違う心身のサインに早めに気づくことはとても大切です。ストレスを感じた時は仕事や生活を少しペースダウンして、積極的に休憩や睡眠をとりましょう。自分だけで抱え込まず、家族や周囲にも相談したり、環境を調節して自分に自信を持つようにすることも必要です」(織戸先生)
憂うつな感情は、自分を変えるチャンス
ちょっとしたきっかけで落ち込んだり、辛い気持ちになることは誰にでもあることで、多くの場合は「どうにかなる」「仕方がない」などと気持ちを切り替えることができるもの。しかし、過剰なストレスをきっかけにうつ症状になってしまうことも珍しくありません。
「日本人の6~7人に1人は生涯に一度は、うつ症状になると言われています。性格や気質、環境に加え、女性は女性ホルモンの影響などが複雑に絡み合って起こるため、誰でもなる可能性があります。しかし、憂うつな感情は悪いことばかりではなく、自分を見直すチャンスです。心身の不調は『頑張らないで。無理しないで』という自分自身からのメッセージ。そのサインに気づかないと、嫌なことをずっと頑張り続けてしまうかもしれません。しかし、サインに気づけば、自分や状況を変えていくことができるんですよ」(織戸先生)
文/青山貴子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。