健康・ヘルスケア
2020.5.27

新型コロナウイルスはどうなる? 感染症を予防するワクチンや治療について知りたい!【女医に訊く#109】

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世界各地で新型コロナウイルスの感染が広がる中、ワクチンや治療薬の開発が進められています。感染症の拡大防止になくてはならないワクチンや治療薬ですが、その仕組みについて、公衆衛生専門医の伊藤明子先生に教えていただきました。

インフルエンザワクチンを接種しても感染するのはなぜ?

感染症の予防や重症化を防ぐために重要なワクチン。MR(麻しん風しん混合)ワクチンやB型肝炎ワクチン、BCGワクチン、日本脳炎ワクチンなど、多くは子供の頃に予防接種を受けることで病気予防を行なっています。

 「ワクチンは、病原体の病原性を弱毒化、あるいは無毒化したものを体に投与することで、発症することなくその病原体に対する抗体を作り、感染症に対する抵抗力を高めるものです」と伊藤先生。

 ワクチンを接種したら基本的にはかからない感染症が多いのに、インフルエンザは毎年接種しても感染することもあります。それでも予防接種を受けた方がいいのでしょうか。

 「インフルエンザのワクチンの元となる株は、その前の冬の流行状況などをもとに予測して選ばれますが、その時から半年以上経ったウイルスは、すでに変異しているものもあるので完全に一致しないことがあります。そのため、インフルエンザは予防接種を受けても感染することがあります。しかし、インフルエンザは、日本だけでも毎冬数百人から数千人が命を落とす感染症。予防接種を受けておくことで重症化や死亡を防ぐことができるんですよ」(伊藤先生)

 新型コロナウイルスのワクチンも開発が急がれてはいますが、「早くても来年になるでしょう」と伊藤先生は言います。

感染症には抗生剤が効くものと効かないものがあるの?

感染症にかかってしまった場合になくてはならないのが治療薬ですが、感染症の治療はどのような薬が使われるのでしょうか。感染症がおきている場所や原因となっている病原体などによって治療薬は異なりますが、細菌による感染症に使われるのが抗生剤です。

 「しかし、抗生剤は細菌に対して効く薬であって、ウイルスが原因の感染症には効きません。インフルエンザやB型肝炎、HIVなどウイルスによる感染症の中には、抗ウイルス薬が効くものもありますが、ウイルスが原因の風邪などは基本的に自分自身の免疫で自然に治癒するのを待つしかありません」(伊藤先生)

 現在、気になるのが新型コロナウイルスの治療薬。通常、ひとつの薬を開発するには、いくつもの段階があり、ものによっては10年以上かかるそうですが、新型コロナウイルスの治療薬は出来るだけ短縮してできるように進められていると言います。そんな中で、エボラ出血熱の治療薬「レムデシビル」は国内で初めて新型コロナウイルス治療薬として承認されました。

 「抗インフルエンザ薬『アビガン』や関節リウマチ薬『アクテムラ』なども治験が進んでいますので、そう遠くない将来に結果が出るでしょう」(伊藤先生)。

風邪の時に服用する薬はどんなもの?

私たちの身近な感染症の代表といえば風邪ですが、風邪症状の時に医師が処方する薬や市販の風邪薬は、風邪症状を緩和するためのものでウイルスを退治することはできません。

 「私たちが咳、鼻水、喉の痛み、熱、倦怠感、下痢、腹痛、頭痛、関節痛といったいわゆる風邪症状を起こす原因の9割がウイルスで、1割が細菌です。そのため、ほとんどの風邪症状に抗生剤は効きません。ウイルスが原因の風邪の時に抗生剤を飲んでしまうと腸内細菌にダメージを与えてしまうので、医師は風邪の時には抗生剤を処方しないのです。薬には必ず副作用があることを知っておくことも大事です」(伊藤先生)

薬を服用する時は、決められた量や回数を守ることが大切です。特に医師の診断によって抗生剤が処方された時は、症状が良くなったからと自己判断で薬を中断してしまうと、原因の細菌が残っていて再発する可能性もあるので注意しましょう。

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公衆衛生専門医
伊藤 明子先生
公衆衛生専門医、小児科医。東京大学医学部附属病院小児科医。東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学/健康医療政策学教室客員研究員。赤坂ファミリークリニック院長、NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。有限会社アクエリアス代表取締役社長(同時通訳・国際会議運営)、同時通訳者でもあり、医学系学会での会議通訳、米国大統領をはじめ多々の国賓の通訳に従事。近著に「医師がすすめる抗酸化ごま生活」(アスコム)。2児の母。■赤坂ファミリークリニック

文/青山貴子

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