健康・ヘルスケア
2020.3.16

睡眠時間が短くても質のよい眠りができていればイイってホント?【美容の常識ウソ?ホント?】

A:ウソ!

「睡眠は質も大切ですが時間もとても大切です。「私はショートスリーパーです」、という人がいますが、その多くが短時間の昼寝を取っていたり、ちょっとした隙間時間に上手に寝れている方が多いと思います。最近特別な遺伝子をもっている方は短時間睡眠でも大丈夫という研究結果※1がありますが、まだまだ研究は必要のようです。通常は短時間睡眠では日中のパフォーマンスが落ちますし、体だけでなく精神的にも良いとは思えません。」(石川泰弘氏・以下「」内同)

※1:A Rare Mutation of β1-Adrenergic Receptor Affects Sleep/Wake Behaviors August 28, 2019 Neuron

理想の睡眠時間は?

「個人差はありますが、成人女性の場合7時間程度は寝たほうがいいですね。高齢者は生理的変化や、加齢により体内時計も前倒しになる傾向があります。日中の活動が若い時よりも少なくなる結果、睡眠時間も短くなっていく傾向がありますのであまり時間にこだわらなくても良いと思います。

女性が気にされる肌や髪のゴールデンタイムですが、よく22時から26時といわれていますよね。でも、時間はあまり関係ないんですよ。これは、もともと眠りにつき最初の3時間くらいの深い眠りであるノンレム睡眠に成長ホルモンが分泌されることから言われていた時間帯です。今はライフスタイルが変化しており、必ずしもこの時間とは言い切れないでしょう。ただ、やはり夜になると体は眠りを意識するようにできているので、健康と美容のためには、仕事で夜勤や残業などなければ23時くらいには眠りにつくように心がけましょう」

小刻みな睡眠でも、トータル7時間寝ればいい?

では、ショートスリーパーの人は小刻みな睡眠で、トータル1日に7時間眠れば問題ないのでしょうか?

「そうとも限らないんですよ。最近しっかり長めの睡眠を取りましょう、と言われている理由に“脳”と眠りの関係があります。

入眠直後の3時間ほどの深い眠りであるノンレム睡眠で成長ホルモンが分泌されて、栄養の吸収や細胞の修復によって疲労回復を行います。後半の浅い眠りであるレム睡眠では筋肉が動かない反面脳は活動をして、その日に得た大脳の莫大な情報の整理をしたりします。このためレム睡眠は記憶の引き出しに深い関係があるといわれているのです。情報整理や集中力、感情の制御力が落ちていると感じる人は、レム睡眠が上手く取れていないのかもしれません。

一方、昼寝は効果的に利用すると良いと思います。日中に眠気を感じるのは、その日やそれまでの数日間の睡眠時間が足りていないということです。その場合は、昼寝をして眠気を抑えるといいでしょう。ただし、深い眠りに入ってしまう前の、長くても20分くらいで起きましょう。昼寝の直前にコーヒーなどのカフェイン飲料を飲むと、目覚め後に効果を発揮しスッキリして動き出しやすいです」

質のよい眠りの判断基準は、あくまで自分の主観

「質のよい眠りとは深い眠りのことですが、客観的には脳波を測定しなければわかりません。普段は測定などできませんので、目覚めたときに本人自身の睡眠に対する満足度が低ければ、それは質のよい睡眠が取れてないと言えるでしょう。日常生活の中では主観的要素が大きいと思います。熟睡感や寝心地、目覚め感などに満足できているか? まずはそれを自問自答し、寝る時間や睡眠時間、眠る時の環境などを見直してみてはいかがでしょう」

%e7%9f%b3%e5%b7%9d

大塚製薬株式会社
石川泰弘

ニュートラシューティカルズ事業部 ソーシャルヘルス・リレーション部ディレクター。睡眠改善インストラクター、温泉入浴指導員、順天堂大学博士課程後期終了(博士:スポーツ健康科学)。様々なメディアへの露出や睡眠や入浴による健康・美容の講演を行うなどマルチに活動している。

大塚製薬
賢者の快眠

文/野邑みえ(all the way)

 

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

この記事をシェアする

facebook Pinterest twitter

関連記事を読む

あなたにおすすめの記事