健康・ヘルスケア
2019.10.9

若い世代に急増する「スマホ老眼」って?【女医に訊く#78】

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スマホやパソコンを1日何時間使っていますか?「手元が見にくい」「夕方になると物が見づらい」などといった症状に悩んではいませんか?若い世代に増えている「スマホ老眼」について、眼科医の井上佐智子先生にお話をうかがいました。

スマホの使い過ぎで老眼になる!?

今年8月、慶應義塾大学医学部眼科学教室の坪田一男教授らの研究チームが、東京都内の小中学生1,416人を対象にした調査で、小学生の76.5%、中学生の94.9%が近視であるとわかったという研究結果を発表しました。

近視は、遠方のものを見るときに焦点を網膜上に合わせることができず、手前で焦点が結ばれることにより、物がぼやけ、明瞭に見えない眼の状態を指します。近視の低年齢化が進む原因の一つに、スマートフォンやゲーム機などの普及があげられています。

「大人でも近視が進行する方はいらっしゃいます。そればかりか、もともと視力に問題がなかった人が“スマホ老眼”になってしまうこともあるんですよ」と話すのは、眼科医の井上佐智子先生。

一般的に老眼の症状を自覚するのは45歳がピークといわれますが、先生によると、最近は20~30代の若い層が、「夕方になると見えづらい」「なんかピント合わない」といった老眼と同様の症状で眼科を訪れるケースが急増しているとのこと。これらの症状は、スマートフォンを長時間使用する層に多く見られることから、「スマホ老眼」と呼ばれているそうです。

一般的な老眼とスマホ老眼は、どう違うの?

目の中には「水晶体」というカメラのレンズに相当する組織があり、遠くのものや近くのものにピントを合わせる働きをしています。近くのものを見るときには、水晶体を吊り下げている「毛様体筋」という筋肉が緊張(収縮)して水晶体を膨らませ、近くのものにピントを合わせることができます。

一般的な老眼は、加齢によってこの水晶体が硬くなり、毛様体筋が収縮しても水晶体の厚さを変えることができなくなるため、近くのものが見えにくくなります。一方、スマホ老眼は、至近距離でスマートフォンなどを見続けることにより毛様体筋に大きな負担がかかり、ピント調節が上手くできなくなってしまうのです。

「目を使い過ぎると、毛様体筋や視神経が疲れてピントが合わなくなります。スマホ老眼で訪れる患者さんの多くは、8時間以上スマホやパソコンなどのデジタルデバイスを見続けている方が多いですね」(井上先生)

ブルーライトは目にどんな影響を与えるの?

「スマホ老眼の原因は、近くを見続けることによるものだけではありません。パソコンやスマートフォンなどのLEDディスプレイから発せられるブルーライトも、眼や身体に大きな負担をかけるといわれており、その影響でピント調節が上手くできなくなってしまうのです」(井上先生)

ブルーライトとは、網膜に到達する光のなかで、強いエネルギーをもつ青色光のこと。角膜や水晶体で吸収されずに網膜まで到達してしまううえ、瞳孔を縮めようとして目の筋肉が酷使されることから、眼の疲れや肩・首の凝りなどに影響を及ぼすことも。また、波長が短いために散乱しやすく、ピントが合わせにくくなります。

「スマホ老眼を防ぐには、こまめに休憩を取って目を休めることが大切です。ブルーライトカット機能の付いたメガネや保護フィルムなども活用するといいでしょう」(井上先生)。

 

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眼科医
井上佐智子先生
羽根木の森アイクリニック 院長。慶應義塾大学医学部眼科学教室非常勤助教。日本眼科学会専門医。日本抗加齢医学会専門医。藤田保健衛生大学医学部卒業後、 慶應義塾大学病院など複数の臨床病院勤務を経て、2014年、東京・世田谷区にサロンのような癒し空間を演出した羽根木の森アイクリニックを開業。眼科を専門としつつもエイジング外来に力を入れている。■羽根木の森アイクリニック

文/清瀧流美 撮影/田中麻以(小学館)

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