妊娠中はシミが濃くなる…?妊娠するとシミが濃くなったり増えたりするのはなぜ?【女医に訊く#58】
前回、妊娠すると肝斑ができたり乳首やわきの下が黒ずんだりする原因ついてお話ししました。これらの肝斑や体の黒ずみは、自然に薄くなるのでしょうか? 妊娠中も治療できるのでしょうか? 今回も皮膚科専門医の慶田朋子先生に教えていただきました。
妊娠したら肝斑ができた! 妊娠中にフォトフェイシャルやレーザー治療できる?
一般的に肝斑の治療には、光治療(フォトフェイシャル照射)やピコレーザートーニング照射(低出力レーザー照射)の照射を行います。ただし、老人性色素斑治療などで用いるレーザーの高出力治療は、肝斑へは禁忌もしくは要注意とされています。通常のシミと違い、肝斑はメラニンを作るメラノサイトがちょっとした刺激で活性化しやすい状態になっているため、誤った治療を行うとむしろ悪化する可能性があるのです。
また、肝斑はピコレーザートーニング照射1回で完治するものではありません。トラネキサム酸やビタミンC(のみ薬やぬり薬)、ケミカルピーリング、医療機関専用の美白剤外用などを組み合わせ、よい状態を保ちながら長くつき合っていくことが必要になります。
「ピコレーザーのトーニングなど、妊娠中でも行える治療はありますが、妊娠中はメラニン活性が高くなっている状態ですから、レーザーを強く照射すると、かえって肝斑が悪化するということもあります」(慶田先生)
肝斑などの治療は、出産が終わってからでも十分間に合います。慶田先生のおすすめは、フォトフェイシャルM22照射とピコレーザーを使ってのピコトーニング。ただし、ピコレーザーはまだ新しい機械なので、さじ加減を誤ると、肝斑が悪化する可能性もあります。治療を受ける場合は、皮膚科専門医に質問したほういいでしょう。
妊娠中や授乳中のシミとりは…肝斑の治療薬を飲める?
「肝斑にはトラネキサム酸がよく効きますね。トラネキサム酸は赤ちゃんも飲めるものなのですが、肝斑くらいで敢えて飲むかという問題もありますので、うちのクリニックでは、妊娠中や授乳中は、美白剤の外用とビタミンCを内服してもらい、日焼け止め対策を徹底していただきます」(慶田先生)
ほかにも、イオン導入やプラズマ照射による導入など、局所だけにトラネキサム酸やトランサミンを浸透させる方法もおすすめ。トラネキサム酸の内服薬は、離乳食が始まっておっぱいの間隔が空いてきたら、授乳直後に飲むようにするといいでしょう。
「例えば、寝る前におっぱいをあげて夜中はミルクにしている方の場合、授乳直後に薬を飲めば、次の授乳にはほとんど影響がなくなりますから、赤ちゃんも飲めるけど敢えて飲ませたくないという薬を出す場合は、そのように指示しています。1日1回だけでも飲むと、ぐんぐん良くなるのでおすすめですよ」(慶田先生)
ただし、どうしても心配な方は、授乳中はビタミンCとビタミンEだけにして、美白剤の外用と軽くフォトフェイシャルを当てる程度でも効果はあるとのこと。気になる方は皮膚科専門医に相談してみましょう。
妊娠性肝斑や濃くなった体の黒ずみは消える?
妊娠中に濃くなった乳輪の黒ずみやわきの下の黒ずみは、出産後、ある程度は自然に薄くなります。ただし、そのスピードは人それぞれ。薄くなるまでに1年かかる人もいれば、ある程度残ってしまう人もいると慶田先生は言います。
「私自身、二人目を妊娠したときに、わきの下がさざ波状に黒くなって、気持ち悪いと思ってしまって。レーザー脱毛済みでしたので、もう毛はなかったんですけれど、ジェントルレーズ照射をしたら、さざ波の形に薄くかさぶたになってペロンと取れて、一発で薄くなりました。地道に美白剤を塗るようなケアがスキップできるので、忙しい方は1回レーザー施術を受けてしまうのも、時短になっていいと思います」(慶田先生)
先生によると、レーザー照射は顔だけではなく、鼠径部やVライン、大陰唇などにも可能とのこと。なかでも、ピコレーザーのピコトーニングとピコフラクショナルを同時に受けると、より美白が高まるそう。
「黒ずみの程度にもよりますから、自然に薄くなりそうであれば美白剤だけご案内しますし、濃い場合はレーザー照射をおすすめすることあります。黒ずみを薄くする手立てはいろいろありますから、気になる方は、ぜひご相談ください」(慶田先生)
■銀座ケイスキンクリニック
文/清瀧流美 撮影/黒石あみ
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