“ゴースト血管”って知ってる? 細胞への血流は自律神経が関係していた!
血管の99%を占める毛細血管。加齢や生活習慣の乱れによって段々と劣化してしまうんです! 血管力が劣化すると血液の循環が細部にまでいかず、血液が流れない血管が…それを“ゴースト血管”と呼びます。“ゴースト血管”についてハーバード大学・ソルボンヌ大学 医学部客員教授の根来秀行先生に伺いました。
毛細血管は加齢や生活習慣の乱れによって劣化・減少する
毛細血管がゴースト化すると、末梢の細胞まで酸素も栄養も届かない
「毛細血管は加齢と共に劣化して、その数も40代後半くらいからぐんと少なくなるとされています。ただし、30代でも普段の食事や生活習慣が乱れていれば、毛細血管の劣化・減少リスクは大です。毛細血管は、とにかく超極細の血管などで、傷がついたり、内壁に汚れがたまったりするだけで、血管の弾力性が失われます。症状が進むと、血管内が狭くなって詰まり、菅はあるのに血液が流れていないゴースト血管に。ゴースト血管の先にある細胞には当然、酸素や栄養が届かず、老廃物も回収されません。物資が届かずゴミも回収されない、まさに“ゴーストタウン化”です。免疫細胞やホルモンの移動もできず、さまざまな不調を招くことになります」(根来先生)
毛細血管から各細胞への血流は、自律神経にコントロールされる
自律神経の司令で、 動脈の筋肉が毛細血管を開け閉めする
交感神経が優位になると、細動脈と毛細血管の間にある「前毛細血管括約筋」が収縮して毛細血管が閉じ、血液は体の中心に集中。一方、副交感神経が優位になると「前毛細血管括約筋」は緩み、毛細血管へと血液が流れ込みます。この両方の流れが日中と夕方〜夜間でメリハリ良く現れることが大切です。
副交換神経が優位だと、末梢細胞への血流がUP。体の修復・再生が盛んに
「一口に血流といっても実は2パターンあって、体の中枢への流れと末梢への流れで分けられます。体の中枢、例えば筋肉や脳の細胞、神経系など、日中使う部分への血液は日中の活動時、つまり交感神経が優位になっているときにUP。一方、体の修復・再生に関わる末梢の細胞への血流は、夕方から夜にかけて、副交感神経が優位になっているときにUPします」(根来先生)
教えてくれたのは…
ハーバード大学・ソルボンヌ大学医学部客員教授 根来秀行先生
ねごろひでゆき/医師、医学博士。東京大学大学院医学系研究科内科学専攻博士過程修了。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など。最先端の臨床・研究・医学教育の分野で国際的に活躍。著書も多数で、近著に『超呼吸法』(KADOKAWA)。
『美的』12月号掲載
イラスト/小迎裕美子、 きくちりえ(Softdesign) 構成/つつみゆかり
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。