健康・ヘルスケア
2018.11.21

女医に訊く#38|インフルエンザとかぜの違いって?

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気温も湿度も急激に下がる冬は、かぜやインフルエンザなどの感染症にも要注意! この時季、猛威をふるうインフルエンザウイルスと感染対策について、日本感染症学会専門医の源河いくみ先生に聞きました。

インフルエンザは高熱や関節痛などの全身症状が強く出る

インフルエンザは毎年世界中で流行がみられる感染症のひとつ。日本では11月末から12月にかけて流行が始まり、1月末から2月上旬にピークを迎えます。そもそも、かぜとインフルエンザはどう違うのでしょう?

実は、かぜは、鼻からのどの急性の感染症でその病原体は、アデノウイルス、RSウイルスなど何百種類もありますが、症状は鼻水やとのどの痛みがメインで咳やたんもでることもあります。発症の仕方は緩やかで、37~38℃くらいの熱が出ることもあれば、出ないこともあります。

「一方、インフルエンザはインフルエンザウイルスによる感染症。急激な38℃以上の高熱、頭痛、倦怠感、悪寒、関節痛などの全身症状が強く出るのが特徴で、咳が強くなる人も多くみられます。自然にも治りますが、状態により抗インフルエンザ薬で治療をします」と教えてくれたのは、日本感染症学会専門医の源河いくみ先生。

「インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型があり、A型とB型は冬に流行します。A型もB型も症状は同じですが、B型がヒトしか感染しないのに対して、A型はヒトだけでなく、鳥や豚など、いろいろな宿主をもち、いろいろな型に変異するため、2009年のように新型ウイルスが出現してパンデミックを起こすこともあるのです」(源河先生)

インフルエンザの感染経路は飛沫感染と接触感染

「冬の二大感染症といえば、インフルエンザとノロウイルス。特にインフルエンザは、子どもはもちろん、集団生活をしている人や公共の交通機関を利用している人もかかりやすいですから、しっかり対策をする必要があります」と源河先生。

「インフルエンザの主な感染経路は、咳やくしゃみ、会話時に発生する飛沫による感染です。くしゃみをすると、飛沫は1〜2mくらい飛ぶと言われていますから注意が必要ですね」(源河先生)

また、感染した人が咳を手で押さえたあとや鼻水を手で拭ったあとに、ドアノブなどに触れると、その触れた場所にウイルスを含んだ飛沫が付着することがあります。そこに別の人が手で触れ、さらにその手で鼻や口に触れることにより、ウイルスが体内に入ってしまう接触感染もあります。

インフルエンザかもと思ったら48時間以内に受診して

38°C以上の高熱が急に出て、咳やのどの痛み、だるさや関節痛を伴う場合は、インフルエンザに感染している可能性があります。早めに、近くにある内科を受診しましょう。

「タミフルなどの抗インフルエンザ薬は、ウイルスが鼻の粘膜などから侵入して増殖するのを阻害する薬ですから、発症48時間以内に服用しないと効果は期待できません。会社の人や家族にうつす危険を防ぐためにも、早めに受診しましょう」(源河先生)

なお、インフルエンザが疑われる患者のために、待機場所を用意している施設もあります。病院へ行くときは、できれば事前に症状を電話で伝えて。周りの人にうつさないよう、マスクを着用して行きましょう。

教えてくれたのは・・・

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日本感染症学会専門医
源河いくみ先生
東京ミッドタウンクリニック トラベル外来医師。医学博士。日本内科学会総合内科専門医。日本感染症学会日本感染症学会専門医。国際旅行医学学会認定医。日本大学医学部卒業後、国立国際医療研究センターでの感染症科・渡航者外来勤務を経て2007年より現職。渡航前後の健康診断から予防接種、予防薬の処方などの渡航者の健康管理をサポートしている。
■東京ミッドタウンクリニック www.tokyomidtown-mc.jp/

文/清瀧流美 撮影/フカヤマノリユキ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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