健康・ヘルスケア
2018.5.23

女医に訊く#14|白髪ケアに大切な「食事」や「睡眠」おすすめの「ヘアカラー」とは?

前回は「白髪は元に戻せない。だから予防が大切」というお話しをお届けしました。白髪予防のために必要なこととは? そして白髪になってしまった時のお手入れ法は? 日常生活で実践できる白髪対策を、浜中聡子先生にお伺いします。

白髪には目立ちやすい場所がある!?まずは分け目を変えてみて

「特定の部分にかたまっている、全体にパラパラとまばらに生えるなど、白髪の生え方は人それぞれですが、“他者から見た時に目立ちやすいエリア”が存在します。まずは額の生え際“フロント”です。鏡を見た時も目につきやすいため、気にする方がとても多いと言えます」(浜中先生)

このフロント部分は、“女性ホルモン”の影響を受けやすいエリア。女性ホルモンが減少すると、抜け毛が増えたり毛が細くなることで地肌が透け、白髪も目立ちやすくなるそうです。

「トップの“つむじの周囲”と“分け目”も目立ちやすいエリアです。フロントと同じく地肌が透けやすく、そこに白髪が重なるとますます老化印象を際立ててしまいます。対策としては、まず“分け目を変えてみる”のが一つの方法です」(浜中先生)

分け目を変えるほかに、白髪が集中する場所を小さなシニヨンでまとめるなど“ヘアアレンジ”で目立ちにくくする方法も。カラーリングより気軽にトライできますし、髪型や印象を変えるチャンスと前向きに考えて。ぜひアレンジを楽しんでみましょう。

白髪対策には「タンパク質」をしっかりとろう

白髪に限らず、健やかな髪を育むためには、やはり“食生活”が重要です。髪の細胞は、私たちが毎日“食べたもの”から出来ているからです。

「当たり前のことですが、本来は肉も野菜も炭水化物も“バランス良く摂取する”のが理想です。髪はタンパク質で構成されていますから、特にタンパク質の摂取は意識的に行いたいですね」と、浜中先生。タンパク質であれば、肉でも魚でも構わないそうですが、「植物性のタンパク質は、動物性のタンパク質より吸収率が低いため、髪の材料を植物性タンパク質だけで補おうとすると、ある程度の量を摂取しないといけません。毎日納豆や豆腐を食べているから大丈夫、というわけではないということです」(浜中先生)

動物性タンパク質は、赤身の牛肉や鶏肉など高タンパク低脂肪のものを意識して選んで。「最初に野菜を食べ、次にタンパク質を食べ、最後に炭水化物を食べて、腹八分目くらいで食事を終える。この方法だと脂肪の吸収がゆるやかになりますし、髪の素材としての栄養素は十分整います」(浜中先生)

睡眠時間は最低5~6時間「太陽のリズムで生活」を

食事と同じくらい大切なのが“睡眠”です。髪はもちろん、あらゆる細胞の修復と再生が行われるのは、睡眠中の時間帯。睡眠が不足すると、髪の成長に影響するホルモンのリズムも乱れやすくなります。

「体にとって最適な睡眠時間は人それぞれですが、毎日最低5~6時間は確保したいところです。同じ6時間でも、夜中の3時から朝の9時までよりは、夜の12時から朝の6時まで寝るほうがいい。本来人の体は“太陽の動きに添って活動・休息する”ようにできているからです。太陽の動きに剃って生活したほうが、ホルモンも含めた体内のリズムが整います」(浜中先生)

「きちんと食べて、しっかり寝る」…この2つが大切なのは、きっと誰もが分かっているはず。しかし忙しい現代の女性たちは、なかなか実践出来ないのも事実です。

「ストイックに目標を決めて実践できる人は、ごくわずかです。毎日規則正しい生活を目指すことが、かえってストレスになっては逆効果。大切なのは、いかに無理なく続けられる習慣にするか、そのためにはトライ&エラーが必要です」(浜中先生)

例えば、会食で普段より沢山食べてしまった翌日はカロリーを控えめにする。仕事が忙しくて睡眠時間が足りなかったら、仕事が落ち着いたところで、なるべく早めに帰宅し寝るようにする…など、長期的な視点で、無理なく続けられるよう、自分なりの生活スタイルを探ってみましょう。

「白髪は染めるしかない」だから美容院での相談が大切

残念ながら、現時点では白髪を黒い髪に戻す方法は存在しません。カモフラージュの方法としては、“カラーリング”が確実な手段。実は浜中先生にも、毛染めに関する相談が多いそうです。

「カラーリングは、薬剤による頭皮や髪へのダメージが避けられません。一方で負担が少ないカラーリング剤は、一般的に色もちがよくない。白髪が増えると定期的に染める必要がありますから、ダメージと仕上がりのバランスが重要です」(浜中先生)

そこで大切なのが“美容師さんとのコミュニケーション”。髪全体を見て、どこに白髪が目立つのか、頭皮のコンディションはどうか、そしてどんな方法で染めるのがベストか、プロの客観的な意見は頼もしい存在です。

「美容師さんの中には、髪全体を黒く染めず“メッシュ状”に染めて、白髪を他の部分と自然になじませる方法をとることもあるようです」と、浜中先生。髪全体を黒に染めると、見た目が不自然だったり、根元に生えてきた白髪が目立ちやすい場合も。

「その方の髪や肌に合わせて、色のトーンをうまく調整してもらうと良いです。ただし、患者さんの髪を見ていると、やはり薬剤のダメージが最も髪と頭皮に負担をかけています。仕上がりの美しさと色もち、そして髪と頭皮へのダメージ回避、全部を叶えるのは難しいけれど、ご自身で納得できる着地点をどこで見つけるか。そのためには、やはり美容師さんとのコミュニケーションが必要だと思います」(浜中先生)

ヘアバンドや帽子など「白髪ならではのお洒落」を楽しむ

髪を染める以外には、“小物”を上手に使って白髪をカモフラージュする方法もあります。ヘアバンドやターバンで伸びてきた根元を隠したり、ヘアアクセサリーで“視線を外す”というテクニックも。

「帽子や部分的なウイッグを使う患者さんもいます。いずれも通気性が良く、頭皮に負担をかけない素材であれば良いと思います。カラーリングのダメージを気にすることなく、ファッションの一部として楽しめるのもいいですね」(浜中先生)

“白髪を隠す”のではなく、“小物を使って新しいスタイルに挑戦する”と発想を転換すると、前向きにお洒落を楽しみながら、白髪と上手につきあっていけそうです。

次回は同じく髪の悩みで多い、“抜け毛・薄毛”について、浜中先生にお話しを伺います。

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抗加齢医学専門医
浜中聡子先生
ウィメンズヘルスクリニック東京 院長。脇坂ウィメンズヘルスクリニック大阪 顧問医師、国際アンチエイジング医学会専門医。米国抗加齢医学会専門医。女性頭髪専門外来において、多くの女性の髪悩みに向き合う。ていねいな診察ののち、内服薬、外用薬、サプリメントによる治療、点滴等、その方に最適な治療法を提案している。
■ウィメンズヘルスクリニック東京 https://www.womenshealth-tokyo.com

文/宇野ナミコ 撮影/横田紋子(小学館)

 

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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