自律神経をコントロールして、「肩こり」「冷え性」「便秘」の三大不調を改善!
美の大敵の三大不調といえば、肩こり、冷え性、便秘ですが、これに悩まされる人は、20代半ばから増えていきます。仕事や予定に追われて、これらの不調を放置してしまうと、吹き出物や乾燥などの肌トラブルがおこりやすくなります。また、疲れやすくなったり、イライラしがちになったり、集中力が低下するなどの悪影響も考えられます。
これらのお悩みを、まるごと解決するには、自律神経のバランスを整えることが最短距離。そこで、『自律神経が整う時間コントロール術』(小学館刊)https://www.shogakukan.co.jp/books/09310845などの著書がある、順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生に、お話を伺いました。
「まず、自律神経とは、生命活動の根幹を支える、呼吸や血流、臓器や期間などの働きを無意識のうちに整えているもので、“交感神経”と“副交感神経”があります。これが1日のうちに交互に働いているのです。これはどちらが優位であればいいと言うことではなく、両者がバランスの良い状態で維持されていることが理想です」
自律神経のバランスが崩れると、美の三大不調以外にも、体には、さまざまな不調が現れてきます。
「不眠、食欲減退、倦怠感、やる気がなくなる、うつっぽくなるなどさまざまな変調が起こってきます。時間に追われている私たちはこういう変化を見落としがち。これらは、自律神経のバランスが乱れることが大きな原因なので、これを整えることで、これらの不調は改善していきます。その方法を解説します」
【その1】朝1杯の水を飲むだけで1日が劇的に好調になる
朝起きて、コップ1杯の水を飲むだけで、1日が快調に過ごせると、小林先生は語ります。
「この理由は2つあって、1つ目は睡眠中に失われた水分を補うという意味があります。人間の体の60%は水でできており、この水は生命維持のために、重要な働きをしますが、加齢とともに体内の水分量は減少の一途。これを補うためにも、朝の水分補給を意識的に行ってください。
もうひとつの理由は、腸の動きを促すためです。コップ1杯の水を飲むと、胃に飲んだ分の水だけの重さが加わり、胃の下にある大腸の上部を刺激します。これを“胃結腸反射”というのですが、これにより、腸が動きやすくなり、便秘の改善に効果的です」
【その2】朝食はゆっくり時間をかけて食べる
自律神経のバランスを整えるためには、朝食をきちんと食べることが大切。
「時間がない、食欲がないという人は、バナナ1本でよいのです。ゆっくりと時間をかけてよく噛んで食べるとさらにいいですよ。これにより、気持ちが落ち着いてきますし、よく噛むことで唾液が分泌されるからです。この時間を設けることで、1日の自律神経の状態が安定し、その効果は昼過ぎまで続きます」
【その3】朝、通勤時間中にスマホを見ない
自律神経のバランスを整えるためには、朝の通勤時間にスマホを見ないことが重要。
「通勤時間にメールやSNSをチェックしたくなる気持ちもわかりますが、朝の通勤時間はなるべく見ないようにした方がベター。というのも、スマホやタブレットは発光するので、交感神経が刺激され、イライラしてしまいがち。時間を区切らずにスマホ作業を行ったり、複数のことを同時に行うと、自律神経は乱れてしまいます。スマホでネガティブなニュースを見聞きしても交感神経が優位になってしまい、自律神経が乱れ高ぶった状態になってしまいます」
朝コップ1杯の水を飲む、朝食をゆっくり食べる、朝の通勤でスマホを見ないという3つを実行するだけで、美の大敵の三大不調である、肩こり、冷え性、便秘が改善し、健康的になっていきます。
「朝の時間を落ち着いて過ごすことで、心身共に健康になれます。体の調子をよくするだけでなく、人生が豊かで幸せに変化していくはずですよ」
小林/弘幸
1960年、埼玉県生まれ。順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。順天堂大学大学院医学研究科(小児外科)博士課程修了。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導をする。著書に『怒らなければすべて健康 自律神経の乱れが人生をおかしくする』 (祥伝社黄金文庫)ほか多数。
イラスト/アライヨウコ 取材・文/前川亜紀
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