健康・ヘルスケア
2023.11.17

【子宮内膜症】辛い月経痛や過多月経…30代がなりやすい子宮周りの病気を専門家が解説

30代の『美的』世代にも多い子宮周りの病気のひとつ、「子宮内膜症」。原因から予防法、治療法まで専門家の先生が解説してくれました。

クレアージュ東京 レディースドック クリニック 婦人科顧問

大島乃里子先生

【子宮内膜症】\過多月経やつらい月経痛があったら疑ってみて/30代がなりやすい子宮内膜症や子宮筋腫には女性ホルモンが関与

毎月月経を重ねる度、子宮にダメージが蓄積

30代になると、子宮を取り巻く婦人科系のトラブルに悩む女性が増えてきます。中でも 子宮内膜症と子宮筋腫 は、この世代の2大婦人科系疾患。

「いずれも詳しい原因は明らかではありませんが、 女性ホルモンが少なからず影響している ことはわかっています」と、レディースドックの顧問を務める産婦人科医の大島乃里子先生。

「女性の体は、卵巣から周期的に 女性ホルモンが分泌 されて、排卵して、妊娠しなければ 子宮内膜が剥がれ、月経が来て …の繰り返し。初潮を迎えて既に20年程たつ30代は、途中で妊娠・出産を経験しない限り、それを休みなく続けていることになります。実際、子宮筋腫や子宮内膜症は、 月経が来る度に増殖・増大 します。初産の平均年齢が30歳を越える現代女性の間で、このふたつの疾患が多いのは当然かもしれません。いずれも命に関わる病気ではないけれど、増殖・増大が続けば、月経痛や過多月経、貧血などが悪化したり、不妊になる可能性も!」

 

月経の出血が子宮の外で起こり、激しく痛む!

「女性の体は、排卵された卵子が受精をしないと、子宮内膜が剥がれ落ちて経血として体外へ排出される仕組み。子宮内膜症は、その内膜組織が子宮以外の部位に発生し、発育する病気です。月経の度に子宮の外のあちこちで出血が起こっているイメージ。代表的な症状は過多月経や月経痛など月経困難症です」(大島先生)

 

放っておくと不妊の一因に!

「子宮内膜症が悪化すると、その場で炎症や癒着を引き起こして、ひどい月経痛や下腹部痛、腰痛、さらには不妊の原因にも。実際、不妊女性の約30%は子宮内膜症を合併しているとされています」(大島先生)

 

子宮内膜症は子宮以外の部位に飛ぶ


卵巣チョコレート嚢胞
子宮内膜が卵巣に発生。月経時に排泄されなかった古い血液がチョコレートのような状態になって溜まり、嚢胞(袋)を形成。

子宮内膜症
子宮内膜症ができやすいのは腹膜、卵巣、子宮と直腸の間(ダグラス窩)、卵管などほとんどが骨盤内。ごくまれに肺や腸にできることも。

子宮内膜症の治療法は…

【薬物療法】

低用量ピル
低用量ピルの服用で過多月経や重い月経痛を緩和する。エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の合剤のLEPは保険適用で、処方されることが多い。排卵を抑えるので子宮内膜が厚くならず、子宮の収縮も弱まる。エストロゲンの量や血栓のできやすさなど体質が考慮されるものの、痛み物質そのものができにくくなるので、月経痛も軽くなる。改善が見られない場合は、別の薬剤や手術を検討。

黄体ホルモン剤
低用量ピルで改善が見られない場合、黄体ホルモン療法を用いる。子宮内膜組織の増殖を抑え患部を小さくし、痛み物質そのものを減らすので、月経痛も緩和。長期的な治療になることも。

ミレーナ

子宮内に黄体ホルモンがついた器具を入れる。挿入すると持続的にホルモンを放出し、最長5年間使用可能。子宮の内膜を薄くして、月経量や月経痛なども減らすことができる。

 

【手術療法】

子宮内膜症は放置すると、卵巣が癒着したり、嚢胞が大きくなって破裂する危険も。まれにがん化のリスクもあるので、経過を見つつ癒着剥離患部摘出などの手術を検討。ただし子宮内膜症は再発しやすいのが難点。妊娠希望の場合、手術の時期を医師と相談して。

 

『美的』2023年12月号掲載
イラスト/ito aya 構成/つつみゆかり、長島理子、有田智子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

この記事をシェアする

facebook Pinterest twitter

関連記事を読む

あなたにおすすめの記事