菌との上手な付き合い方、菌を意識したスキンケアのコツ…菌にまつわるあれこれQ&A
菌にまつわるあれこれを株式会社KINS代表の下川 穣さんが教えてくれました。
Q.菌と上手に付き合うには?
A.生物として本来あるべき生き方をすると、菌ともうまく行く
元々人間の体には菌のバランスを調整する機能が備わっていますが、それは
「健康であれば」
という前提あってのこと。日の出と共に起きて日没と共に寝て、空腹になったら食べ、体を動かして…極端な話でいうと、
本能に忠実であった原始時代の方が菌と上手に付き合えていた
といえます。現代人のストレス、睡眠不足、偏った食事や糖質・脂質のとりすぎ、スマホの長時間利用、etc.はすべて菌のバランスをくずす生活習慣。スキンケアなら、洗いすぎや界面活性剤の多用もNGです。抗生物質の乱用も常在菌バランスをくずす行為といえます。
Q.菌が喜ぶ食生活のポイントは?
A.良い菌のエサとなるものをたくさん食べること
腸は「第二の脳」と呼ばれる程、重要な臓器。全身の免疫をつかさどり、もちろん
肌コンディションも腸に大きく影響されます
。そのため、何を食べるのかはとても重要。
玄米や雑穀
といった難消化性の食物繊維や、
納豆、ぬか漬けといった発酵食品、青魚に含まれる良質なオイル「オメガ3脂肪酸」、バナナ、玉ねぎなどに含まれる良質なオリゴ糖
は、良い菌が喜ぶ食べ物。善玉菌は好物のエサを食べて、それを体にとって良いものに作り変えるので、菌が喜ぶ食事をすることが腸内環境を整えることにつながります。
Q.最先端の菌研究やコスメ事情って?
A.優れた菌を見つけ出す段階から、普通の菌を鍛えて強化するフェーズへ
表皮ブドウ球菌のうち、「ポリアミン」というエイジングケア成分を生成できるのはごく一部のエリートだけ。そこでこのエリートを探し出すための研究がなされていましたが、近年では、
普通の表皮ブドウ球菌から、エリート菌へと進化させる段階に進みつつあり
ます。ちなみに、一口に“菌に着目したコスメ”といっても、優れた菌そのものを配合したもの、優れた菌を増やすエサを入れたもの、エリート菌候補が育ちやすいpHに調整したもの、外部で発酵させた成分と菌を丸ごと配合したものなど、アプローチはさまざま。
Q.菌を意識したスキンケアのコツって?
A.菌目線でいうと、コスメの種類はできるだけ絞ったシンプルケアがうれしい
界面活性剤や防腐剤の使いすぎは、菌を殺し、肌のラメラ構造をくずす
原因に。そのため1日に何度も洗顔をすることや、メーカーごとに使用している界面活性剤や防腐剤が異なるため、1度のスキンケアで何種類ものコスメを塗り重ねるのは、菌からするとかなりの負担に。
美肌菌が喜ぶpH弱酸性
のアイテムを選んだり、コスメを必要以上に何種類も組み合わせず、シンプルケアでしっかり保湿できるものを選んで。
『美的』2023年7月号掲載
イラスト/いしやま暁子 構成/村花杏子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
腔内・腸内フローラに精通する歯科医師。遺伝子や菌を専門としたクリニックの理事長を務め、東京大学との共同研究に携わる。その後、「菌ケア」の第一人者として、トータルケアブランドKINSをスタート。