健康・ヘルスケア
2022.10.26

冷え性の人は便秘や不妊になりやすい?自律神経のバランスをコントロールするには?【女医に訊く#217】

前回、月経前症候群(PMS)や月経不順、便秘、肩こり、頭痛、腰痛、むくみなども、“冷え”の一症状みたいなものであるとご紹介しました。なぜ、冷えがあるとそのような症状が出てしまうのでしょう?医学博士で内科専門医の伊東エミナ先生に教えていただきました。

自律神経が乱れると体が冷える?

「冷えの症状のキーワードのひとつは自律神経です。冷えの原因のひとつに血行不良がありますが、血管は自律神経のバランスによって開いたり収縮したりします。現代人の多くは、この自律神経のバランスが乱れやすいため、血流が悪くなってしまうのです」と話すのは、医学博士・内科専門医の伊東エミナ先生。

自律神経には交感神経と副交感神経があり、頑張っているときや緊張しているときは交感神経が優位になり、リラックスしているときや寝るときは副交感神経が優位になります。

「ところが、今はみなさん寝る直前までスマホをいじっていますし、仕事が忙しかったり、コロナ禍で大変だったり、いろいろなストレスがあるじゃないですか。そのため交感神経が優位になり過ぎて副交感神経が劣勢になる、という状況が続き、血管が収縮して血流が悪くなってしまうのです」(以下「」内、伊東先生)

血流が悪くなると冷え性のほかにも、肩こり、頭痛、腰痛、むくみなどを引き起こすことがあります。冷え性になる人の多くにこれらの症状がみられるのは、このためだといえるでしょう。

冷え性の人は便秘や不妊、生理痛になりやすい?

「実は、腸の動きも交感神経と副交感神経によって支配されています。自律神経がアンバランスの状態になると、腸の動きが悪くなったり、悪玉菌が増えたり、消化が悪くなったりして、便秘や下痢になりやすくなるのです」と伊東先生。

伊東先生によると、自律神経は女性ホルモンの分泌や排卵のリズムにも影響しているそう。

「女性ホルモンの分泌や排卵のリズムが狂うと、PMSや月経不順だけでなく、無排卵性月経(月経様の出血はあるにも関わらず排卵がされていない状態)、不妊症、生理痛などを引き起こすこともあります。冷え性になる人の多くも自律神経のバランスが乱れていますから、冷え性は便秘や不妊、生理痛につながるといわれるのです」

また、生理痛やPMSは自律神経の乱れのほか、血液の酸化なども原因であると考えられています。

呼吸法で自律神経をコントロールしよう!

冷えだけではなく、便秘や不妊、生理痛にもつながる自律神経の乱れ。ストレスの多い現代人が自律神経のバランスをコントロールするには、どうしたらいいのでしょう?

「誰にでもできるのは呼吸法です。例えば、心配事がある、ストレスがある、あるいは仕事で切羽詰まっているなど、交感神経と副交感神経がアンバランスになって血流も悪くなっているときに、深呼吸をして自律神経を整えてあげると、不安感やイライラがちょっとマイルドになってくるんです。冷え性がある場合も、呼吸法を行なうと違ってくることもありますよ」

呼吸法のやり方はさまざま。代表的なもののひとつは以下のとおりですが、4拍で吸って4拍で止めて4拍で吐くなど、拍数は自分のやりやすいように変えてもいいそう。へその下の丹田のあたりを意識しながら、1)〜4)までを1サイクルとして、3〜5サイクル繰り返してみましょう。

1)楽な姿勢をとり、口から息を吐ききる
2) 鼻から息を吸う(4拍カウント)
3)息を止める(7拍カウント)
4) 口から細く息を吐き切る(8拍カウント)

医学博士・内科専門医

伊東エミナ先生

文/清瀧流美

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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