健康・ヘルスケア
2022.7.31

歯周ポケットの奥深くは歯ブラシではみがけないってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】

日常生活で生まれる美容や女性のライフスタイルの疑問を医師や専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は「オーラルケア」について。歯周ポケットの奥深くはハブラシではみがけていないってホント? サンスターで研究員をしている岡澤さんと藤永さんにお話を伺いました。

Q:歯周ポケットの奥深くはハブラシではみがけないってホント?

「ブラッシングのときはハブラシで歯と歯茎の境目もみがくように」とよく言われますが、ハブラシでは歯周ポケットの奥深くはみがけないというウワサが。これは本当なのでしょうか。サンスター岡澤さん、藤永さんに聞いてみました。

A:ホント

「歯周ポケットの奥深くまでハブラシの毛先を届かせるのは難しいです」(岡澤悠衣さん・以下「」内同)

歯周ポケットとは

「歯と歯茎の境目の溝のことを歯肉溝と言います。健康な歯茎だと歯肉溝の深さは12mm程度です。この範囲だと、ある程度はハブラシの毛先を届かせることができます。

歯と歯茎の境目はみがくのが難しいため、プラークが溜まりやすいです。溜まったプラーク中の細菌が原因となって歯茎に炎症が起きることで歯肉溝が深くなり、4mm以上になると歯周ポケットと呼ばれる状態になります。歯周ポケットが深くなると、中で歯周病菌などが繁殖しやすくなります。このような深いポケットになると歯ブラシの毛先を届かせることは困難です」

Point

歯周ポケットとは、炎症によって歯茎の歯肉溝が深くなり、4mm以上になった状態のこと。

 歯周ポケットの汚れはどうする?

「繰り返しになりますが、歯と歯茎の境目など、見えている範囲はハブラシでみがくことができますが、歯周ポケットの深部までは歯ブラシの毛は入り込みにくくみがくことは難しいです。そのため、定期的に歯科医院でのクリーニングを受けていただくのがおすすめです。

歯周ポケットが深くならないように普段からのブラッシングで歯と歯茎の境目を意識してみがくことが大切です。また、歯周ポケットと同様にハブラシでみがくのが難しい歯と歯の間は歯間清掃具を使ってみがきましょう。また、液体ハミガキや洗口液といった液体製剤もご使用いただくと、よりていねいなケアができます」

液体ハミガキや洗口液を使うだけでオーラルケアはOK?

「液体ハミガキや洗口液は液体ですので、ハブラシで届かないお口のすみずみまで薬液を行き渡らせることができます。液体ハミガキであれば、お口に含んでよく行き渡らせた後にしっかりとハブラシでブラッシングしていただくことで、プラークを除去し、お口の中を清潔にすることが出来ます。しかし、一般的な歯みがきペーストと比較すると清掃剤(研磨剤)が配合されていないため、歯の表面に着色汚れ(ステイン)が蓄積しやすいです。清掃剤入りの歯みがきペーストと上手く使い分けしましょう。

洗口液であれば、お口に含んでよく行き渡らせた後、吐き出すことにより、お口の中を洗い流すことが出来ます。ブラッシングができないときや時間がない時にも手軽にご使用いただける製品です。ただし洗口液さえ使えば、ハブラシでのプラーク除去が不要というわけではありません。まずは、丁寧なブラッシング、歯間ブラシでの歯垢除去や歯科医院でのクリーニングで歯面をクリーンに保ちつつ、液体製剤も使っていただく、というのが一番効果的です」(藤永匠平さん)

前歯の正しいみがき方は?

「前歯の表側は歯と歯茎の境目にハブラシを当てて、横方向に小刻みに動かします。表側はわりとみがきやすいのですが、裏側は横方向だと歯と歯茎の境目に当ててみがくことができません。そのため、縦にハブラシを入れ、角を使って歯と歯茎の境目や歯と歯の間をみがくようにしましょう。表側と同じように、ブラシは小刻みに動かします。

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ハブラシを当てる角度は垂直に当てる場合と、斜め45度くらいに当てる場合があります。ご自身に合ったみがき方を知りたい場合は、歯科医院で指導してもらうことができます。

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歯と歯茎の境目が歯周病のはじまりになるので、しっかりプラークを除去することが大事です。歯と歯茎の境目をみがいているつもりでもブラシが届いていない人もいますので、みがいている位置が確認できるよう、鏡を見ながらみがくのがおすすめです」(岡澤悠衣さん・以下「」内同)

歯間ブラシとデンタルフロスの違いって何?

「どちらも歯と歯の間(歯間)をみがくものですが、歯間ブラシは主に歯の根本側の隙間などに、デンタルフロスは歯間ブラシが入らないような狭いところや歯の面がくっついているようなところに使用します。

歯間の幅は年齢や歯の状態によって個人差があり、若い人はフロスしか通らないという人もいるので、フロスから使用するのがおすすめです。だんだんと歯間の幅が広がってきたと感じる人や、歯茎が下がってきたと感じる人はフロスよりも歯間ブラシを使用したほうが良いかと思います。

歯間ブラシは細いものから太いものまで、サイズが幅広くあるので、歯間の幅によって使い分けるのも良いと思います。ご自身に合うものや歯間の幅にあったサイズを使用していただくのが大事なので、初めて使う場合やサイズがわからない場合は歯科医院で相談してみてください」

歯間ブラシやデンタルフロスはブラッシングのたびにするべき?

「プラークを除去するというのは口腔清掃の基本になるので、毎回行うのが理想です。しかし、外出していたり、時間の問題などもあり、毎回というのは難しいと思うので、11回行うようにしましょう。私は夜寝る前派ですが、11回、ご自身のタイミングで行っていただければOKです」

妊娠中はお口のトラブルが増える!

「つわりなどでオーラルケアができなくなる人もいますし、食べ物の好みが変わったり、だらだら間食が増えてしまったり、ホルモンバランスの変化で唾液の量や質が変わることもあります。それらの影響もあり、妊娠中は歯周病や虫歯のリスクが高まると言われています。

妊娠中の人はもちろん、妊娠希望の人も歯科検診を受けて、お口の状態を把握して、セルフケアも心がけることが大事です」

歯みがき剤の量はたっぷりのほうがいい?

「必ず〇g使ってくださいという容量の決まりはないので、お好みの量を使っていただいて大丈夫です。ただ、フッ素が配合された歯みがき剤などは、ある程度の量を使用していただかないと十分効果が発揮されないため、推奨量を設定しています。ここでは、一般的な歯みがき剤のフッ素濃度である5001500ppmの場合の使用量をお伝えします。年齢によってもおすすめの使用量は違いますので、年齢に合った使用量を心がけましょう」(藤永匠平さん・以下「」内同)

【フッ素配合歯磨き剤のおすすめ使用量】

3〜5歳…5mm以下

6〜14歳…1cm程度

15歳以上…1〜2cm

6歳未満のお子様へはフッ素濃度1000ppmを超える歯磨き剤は使用させないでください。(1000ppmを超える歯磨き剤にはフッ素濃度が表示されています)

すすぎはしっかりしたほうがいい?

「現在、市販されている多くの歯みがき剤はフッ素配合です。フッ素配合の歯みがき剤を使用する場合、フッ素をお口の中に留めることが効果を得るために大切です。すすぎは少量の水で行い、気持ち悪くない程度の少ないすすぎ回数にしましょう」

半年に1回は歯科医院でクリーニングや検診を

「歯周ポケット内の清掃や歯石の除去など、しっかりとしたオーラルケアは自力では難しいため、半年に1回は歯科医院でクリーニングや検診を受けるようにしましょう」

サンスター
研究開発統括部
オーラルケアイノベーション研究開発部 研究員

岡澤悠衣

サンスター
研究開発統括部
オーラルケアイノベーション研究開発部 研究員

藤永匠平

文/土屋美緒

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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