健康・ヘルスケア
2022.6.1

「どうしよう?」が止まらない…不安障害ってどんな病気?【女医に訊く#199】

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職場のことや学校のこと、家族・友人・恋人のこと、新型コロナウイルスのことなどが気になり、日常生活に影響が出るほど、不安になったり心配になったりしてはいませんか? 不安障害について、精神科専門医の松島幸恵先生に教えていただきました。

不安障害ってどんな病気?

発作が起きたらどうしよう、人前で失敗したらどうしよう、戸締まりを忘れていたらどうしよう、新型コロナウイルスに罹ったらどうしよう…など、心配や不安になることは、誰にでもあること。

でも、その気持が抑えられなくなって、強い苦痛を感じたり日常生活に支障が出ていたりしたら、不安障害(不安症)かもしれません。不安障害には下記のような病気があります。

◎パニック障害

突然理由もなく激しい不安に襲われて、心臓がドキドキする、めまいがしてふらふらする、呼吸が苦しくなるといった状態となる「パニック発作」がくり返される。

◎社交不安障害

人に注目されることや人前で恥ずかしい思いをすることが怖くなって、人と話すことや人が多くいる場所に強い苦痛を感じる。

強迫性障害

つまらないことだとわかっていてもある行為をやめられず、くり返し同じことをしていないと不安でたまらなくなる。

◎全般性不安障害

学校のことや家族・友人のこと、生活上のいろいろなことが気になり、極度に不安や心配になる状態が半年以上続く。

どうして不安でたまらなくなるの?

「例えば、シマウマが群れで水を飲みに行って、ある日群れの一頭がライオンに食べられてしまったとしても、次の日『食べられるかもしれないから水飲みに行くのやめようよ』とは言わないですよね? でも、人間は『あそこは危険なのでやめましょう』となる。このように、人間は先のことを考えて対処できる能力を持っています」と話すのは、精神科専門医の松島幸恵先生。

「これは人間の脳、特に大脳皮質が発達しているため。脳には、進化的には古い脳である大脳辺縁系と、新しい脳である大脳皮質があります。大脳辺縁系にある扁桃体は、危機がおきると反応して【戦うか逃げるか】を判断します。一方で大脳皮質の前頭前野は、予測したり理性的な判断をして、扁桃体の興奮を抑えたりしています」(松島先生)

ところが、前頭前野はストレスを受けると、その力が弱まることも。すると、扁桃体からの信号が過剰になり、地震が起きたらどうしよう、失敗したらどうしよう…など、どうしようが連鎖して(反芻)、不安でたまらなくなってしまうのです。

適応障害やうつ病と不安障害はどう違う?

「この時季、多くみられるのが適応障害。転勤や異動、引越し、就職、就学など、生活環境の変化があったときに、3月~4月は意気込んで頑張れるけれども、5月頃になると疲れてきたり、理想との違いを感じたりして、発症してしまうのです」と松島先生。

ただし、適応障害は原因がはっきりしているため、会社を休む、部署を替えてもらうなど、原因を取り除けば症状が楽になることも多いそう。

「一方、うつ病は原因がはっきりしてないことが多く、症状の持続期間が長いのが特徴。2週間以上ほとんど毎日悲しいとか、2週間以上ほとんど毎日意欲がないとか、2週間以上ほとんど毎日朝の方が具合が悪いなど、辛い症状が2週間以上続くというのが診断基準です。心の風邪というよりは、心の骨折といえるでしょう」(松島先生)

では、不安症とうつ病はどう違うのでしょう?

「不安とうつは裏返し。不安症の方はこんなことが起きたらどうしようと先のことばかり考えていますし、うつ病の方はあんなことしなければよかったと過ぎたことばかり考えています。将来のことばかり考えているから不安になり、過去のことばかり考えてるからうつになるのです」(松島先生)

不安は心に備わっているアラームの機能を持ちます。つまり、危険な状況で不安になるのは、当然のことなのです。ですが、不安があまりにも辛くて日常生活に支障をきたしていたとしたら、不安障害かもしれません。不安で楽しめない、パニック発作が頻発するなどの症状がある場合は、気軽に精神科や心療内科で相談してみてください

精神科専門医

松島幸恵先生

文/清瀧流美 撮影/フカヤマノリユキ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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