健康・ヘルスケア
2022.1.5

年末年始は感染性腸炎に要注意!?防ぐにはどうしたらいいの?【女医に訊く#180】

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下痢や腹痛、嘔吐、発熱、血便などの症状で困ったことはありませんか? 国立感染症研究所の感染症発生動向調査によると、感染性胃腸炎の定点(全国の指定された医療機関)当たり報告数は、2021年10月25日以降増加が続いています。今回は、感染性腸炎について、日本消化器病学会消化器病専門医の山本真矢先生に教えていただきました。

感染性腸炎とは?

感染性腸炎とは、細菌やウイルスが腸の粘膜に感染して起こる疾患群の総称。主な症状は下痢、発熱、腹痛、嘔吐、血便で、重症の場合は入院が必要になることもあります。

「感染性腸炎というと、ノロウイルスのように周囲の人に移す可能性が高い重篤な病気という印象をお持ちかもしれませんが、ほとんどが軽い症状のいわばおなかの風邪です」と話すのは、日本消化器病学会消化器病専門医の山本真矢先生。

「大抵は3〜4日でよくなりますが、脱水が起こると腎臓がダメージを受けてしまいます。お小水が出なくなるくらい下痢が続いている場合や、水も飲めないような場合は、早めに受診しましょう」(山本先生)

感染性腸炎になる原因は?

「感染性胃腸炎の主な病原体には、細菌とウイルスがあり、どちらも手などを介して口から入り込んで感染します」と山本先生。

感染性腸炎のうち、カンピロバクター菌、サルモネラ菌、病原性大腸菌など細菌によるものは「細菌性腸炎」と呼ばれ、一般的には夏場に多発するといわれています。一方、ノロウイルスやロタウイルスなどウイルスによるものは「ウイルス性腸炎」と呼ばれ、冬から春先にかけて患者が増加します。

「ところが近年、細菌性腸炎も年中見かけるようになりました。特に最近は、食肉(特に鶏肉)から感染するカンピロバクター菌とサルモネラ菌、さまざまな食品から感染する黄色ブドウ球菌、魚介類から感染する腸炎ビブリオによる腸炎が目立ちますね」(山本先生)

感染性腸炎の治療法は?

感染性腸炎は多くの場合、自然に治りますが、乳幼児や高齢者、基礎疾患がある方は下痢等による脱水症状が生じることもあるので注意が必要です。細菌性を疑う場合は抗生剤にて治療を行いますが、ウイルス性の場合は特効薬がないため、点滴で水分を補う対症療法が行われます。

「自力で水分を摂れるようなら、カフェインの強いお茶は避け、常温のイオン水やスポーツドリンクを少量ずつ飲むのがいいでしょう。水分を摂れないときは点滴による補液を行うことで症状が楽になることもあります。ご飯も無理に食べようとせず、おなかを休めましょう」(山本先生)

感染性腸炎を防ぐには?

細菌は熱や乾燥に弱いのが特徴です。生肉や魚介類を調理したままのまな板で、野菜などは切らないで。食肉や卵、魚介類などを取り扱った手指や調理器具は、そのつど必ず洗浄消毒し、よく乾かしてから使いましょう。調理前に魚介類を流水でよく洗うことや、加熱不充分な食肉やその臓器を食べるのを避けることも有効です。

一方、冬に発生のピークを迎えるノロウイルスは、感染力がとても強く、どの年齢層にも感染が拡大するうえ、アルコール消毒では消滅しません。感染が疑われる人の便やおう吐物の処理をする場合は、処理する人自身への感染を防ぐため、使い捨て手袋・マスク・エプロンを着用し、ノロウイルスに効果がある次亜塩素酸ナトリウムで消毒して。生鮮食品(野菜、果物など)は充分に洗浄し、カキなどの二枚貝は中心部まで充分に加熱してから食べましょう。

「ノロウイルスは忘年会シーズンがから流行が始まって、そこから家庭や帰省先に感染が広がります。調理や食事の前には、石けんと流水で充分に手を洗いましょう」(山本先生)

日本消化器病学会消化器病専門医

山本真矢先生

かえで内科・消化器内視鏡クリニック院長。日本内科学会認定内科医。日本消化器病学会消化器病専門医。日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医。厚生労働省認定難病指定医。帝京大学医学部医学科卒業後、総合病院などの消化器内科・内視鏡専門医として約2万件の内視鏡検査・治療の経験を積み、2021年12月より現職。女性スタッフをそろえ、土日祝日の診察・検査も可能にするなど、女性が気軽に安心して通えるクリニックづくりをめざしている。

文/清瀧流美 撮影/フカヤマノリユキ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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