ボディケア
2018.10.17

女医に訊く#33|歯並びが悪くて…大人になっても歯列矯正できますか?

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歯並びに自信がありますか? 写真の中の自分の歯並びが気になって「子どものうちに矯正をしておけばよかった……」と後悔したことはないでしょうか? 最近、大人になってから矯正治療をする女性が増えています。見た目を良くするだけでなく、虫歯や歯周病予防など、さまざまなメリットがある歯列矯正について、歯科医の内藤聡美先生にうかがいました。

歯列矯正1:セラミック矯正は期間が短く、歯の色・形・大きさが変えられる

歯列矯正とは、歯並びを改善する治療のことで、矯正歯科を行っている歯科医院で受けることができます。矯正方法としては、ワイヤー矯正・マウスピース矯正・セラミック矯正などがあり、どれもメリット・デメリットがあります。

「当院ではセラミック矯正を行う患者さんが圧倒的に多いですね。最大の利点は、期間が短く終われる、歯の色・形・大きさが変えられる、後戻り(再び歯並びが乱れること)しないということ。前歯6本だけなど、気になる歯だけを部分的に矯正できるのもセラミックの利点です」と語るのは、南青山矯正歯科クリニックの内藤聡美先生。

セラミック矯正とは、自分の歯を適度に削り、その削った歯を土台としてセラミック製の歯を被せ、歯並び・歯の色・歯の形を同時に改善する治療のこと。治療期間中、矯正装置や器具をつける必要がなく、仮歯を装着できるため、周囲に気づかれにくくいのも特徴です。

「費用は材質と本数で変わるため、本数によってはワイヤー矯正やマウスピース矯正より安く済むこともあります。ただ、矯正する本数が増えれば増えるほどデザインの自由がきくので、きれいに仕上がりますよ」(内藤先生)

歯列矯正2:人気は強度と透明感を兼ね備えたジルコニアセラミック

歯列矯正に使用されるセラミックにはいくつかの材質がありますが、一般的に「オールセラミック」または「ジルコニアセラミック」がよく利用されます。「オールセラミック」は最もポピュラーなセラミック。100%陶材が使われることが多く、透明感が高いため、より自然な歯に見せることができます。

一方、「ジルコニアセラミック」は人工ダイヤモンドとしても有名なジルコニア製。金属に勝る強度と透明感の両方を兼ね備えており、土台の歯の色の影響も受けません。

「当院でいちばん多く施術しているのは、ジルコニアセラミックを使った歯列矯正です。ジルコニアの種類や色が増え、デザインの幅が広がったのも、普及した理由かもしれないですね。オールセラミックはジルコニアセラミックより価格が低いものの、強度が弱く、ゆくゆく欠けてしまうリスクが増えます。それを承知の上でなるべく価格を抑えたい方はオールセラミックを、安定して使えるものをという方はジルコニアセラミックを選ばれます」(内藤先生)

歯列矯正3:ワイヤー矯正は時間をかけてしっかり改善したい人に

ワイヤー矯正は歯にブラケットと呼ばれる四角い小さな装置をつけ、その間にワイヤーを通し、ゆっくりと歯を並べ動かします。矯正期間が最低でも2年からと長いため、他と比べると高額。治療期間中は月に一回の通院が必要なうえ、すべての治療が終了しても、後戻りのリスクがあるため保定期間が別途必要です。

「ブラケットとワイヤーには、銀色の金属タイプのほか、透明の目立ちにくいタイプもあります。また、歯の表側ではなく、裏側に装置を着ける方法もあります。ただし、表側で2年かかる症例だとすると、裏側では3年はかかってしまう。期間が長くなれば費用も嵩みますし、噛み合わせによってはできない場合もあります」と内藤先生。

表側でも裏側でも、矯正期間中は装置と歯の間に食べたものがいっぱい挟まるうえ、歯も磨きにくくなります。虫歯や口内炎になりやすいので注意しましょう。

歯列矯正4:矯正治療中だとバレたくない人にはマウスピース矯正

マウスピース矯正は、マウスピース型のトレーを一定期間装着することで、歯並びをゆっくり治していく矯正治療です。トレーは透明で目立ちにくいため、矯正治療をしていると知られたくない方にはおすすめ。歯磨きや食事中など自分で取り外しができるので、口の中を常に清潔に保てます。

「マウスピースは1日20時間以上の装着が義務付けられています。基本的には食事するとき以外はつけるというイメージ。ワイヤー矯正と違って自分で取り外せてしまうため、患者さん自身の意志の強さが求められます」と内藤先生。

マウスピース矯正では歯を動かすために、段階的にトレーを交換していく必要があります。矯正の期間は個人差が大きく、最短4週間〜長くて3年程度かかることも。まずは、レントゲン撮影や歯型の模型作成などの精密検査を行い、それらの資料をもとに、適応の可否、治療期間、通院頻度、通院回数、費用、仕上がり、矯正以外に必要な治療の有無が決まります。

「歯列矯正は、患者さん自身が何を優先されるかで治療の選択肢は変わってきます。期間を優先させたいのであればセラミック矯正になりますし、歯を削りたくない、神経を取りたくないという意志が強いのであれば、ワイヤー矯正かマウスピース矯正になってくるでしょう」(内藤先生)

ただし、歯並びや歯周病、アレルギーの有無などによって、適応できない治療もあります。歯並びが気になったら、まずは矯正歯科医に相談してみるといいでしょう。

教えてくれたのは・・・

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歯科医
内藤聡美先生
南青山矯正歯科クリニック副院長。日本審美歯科学会所属。日本大学歯学部卒業後、亀田総合病院歯科センター勤務を経て、2016年から現職。得意な治療は、ケンライン(デジタルで仮想的に歯を動かしそれを実践していくマウスピース矯正)、セラミック矯正、歯肉整形(ガミースマイル)
■南青山矯正歯科クリニック https://ortho-dontic.net/

文/清瀧流美 撮影/フカヤマノリユキ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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