美的GRAND
健康・ヘルスケア
2021.5.20

ツライ更年期は昭和まで!令和は「OC」と「HRT」でラクに乗り越えよう【美的GRAND】

ツライ、苦しい…更年期は昭和まで!令和からはもっとラクに更年期を過ごせます。専門家の対馬先生に年代別の生理や更年期のトラブルについてお話を伺いました。

ツライ苦しい更年期は昭和。「OC」&「HRT」で令和はラクに乗り越えよう!

子供の頃からの運命共同体であり心と体の守り神、それが女性ホルモン。年齢を経た今、医学の力を借りて新たな『お守り』を手に入れよう!

更年期のスタート、閉経、そしてアフター更年期。私たちの体にはどんなことが起こっているのでしょう。産婦人科医の対馬ルリ子先生にうかがいました。
「女性の体は、初経の10歳前後のときから閉経まで、実に40年近く、女性ホルモンに守られています。目には見えないけれど、女性にとっての守り神。それが50歳前後の閉経を挟んだ更年期に一気に減り、閉経後ほとんどゼロに近い状態になってしまいます。ありがたい守り神がいなくなってしまうのね。だから、急激に減ってしまう女性ホルモンをほんの少しだけ補う治療、HRT=ホルモン補充療法が意味をもちます。ここからは自分で体と心を守っていかなければいけないんです」

更年期の不調でメジャーなのは、ホットフラッシュや滝汗ですが、手のしびれなどを訴える人も多いようです。

「もう本当にありとあらゆる不調があるの。ホットフラッシュや多汗や倦怠感は定番。頭痛や耳鳴り、動悸や息切れ、不眠。さらに、手足のしびれ、四十肩、五十肩、手指のこわばり。でもね、まさか女性ホルモンの減少のせいだと思わずに、疲れが取れないから内科、手がしびれるから整形外科と、さまよってしまう人も多いんです。それで、治まればいいけれど、原因が女性ホルモンの減少なら、難しいですよね。婦人科でホルモン治療したら、変形した手指が治った例もあるんですよ」

それらの症状で婦人科に行く発想がない人がほとんどかもしれません。頭痛や肩こりやドライアイでも、美的GRAND世代(40代〜)ならまずは婦人科に行ってもいいのでしょうか。

「もちろん、いいんですよ。更年期の治療や女性のヘルスケアに力を入れている専門医がいる婦人科がいいですね。日本では何かがあったときにしか婦人科に行かない。でも、フランス人女性は15歳からかかりつけの婦人科をもつんですよ。早く日本でも誰もが婦人科のかかりつけ医をもつようになってほしいものです」

その態勢がとれていれば、体調に異変を感じたとき、そしてまさかの緊急事態まで、慌ててネットの口コミをあさらなくて済むのかもしれません。

「女性は40代になったら、現在の体の状態とリスクに応じた検診を受けてください。今のところ不調を感じていないという人もです。検査を受けないということは、例えるなら車検も通していないような自動車に乗り続けるようなもの。動いているから大丈夫と思っても、見えないところで金属疲労を起こしているかもしれない。それが大きな病気となって現れることもあるんですから。女性は閉経前後からさまざまな病気のリスクが上がってきます。婦人科系もそうだし、生活習慣病などもそう。自分が元々もっている遺伝的に弱い部分や体質の弱い部分に病気は現れやすいです。命に関わる大病をしないためにも、定期的に必要な検査を受けて、自分のデータを集めるといいですよ。自分を守ってあげられるのは自分なんですから」

「閉経」後に気をつけたい病気

○乳がん
○子宮体がん
○卵巣がん
○骨粗しょう症
○認知症
○アルツハイマー
○脂質異常症
○動脈硬化
○変形性関節炎

女性の一生を女性ホルモンで見る

What’s?そもそもホルモンて何?

命を健康に保つため全身のさまざまな場所で作られる物質です。ごくわずかな量で強い働きを表す特徴があり、現在100種類以上見つかっています。女性ホルモンは脳からの指令によって、主に卵巣で作られます。

【8歳~20歳】思春期:初経

初経の前後10年間。女性ホルモンが爆上がりするため、体も心も大きく変化。胸の膨らみを気にして猫背とか、ニキビ爆発とか、今となってはいい思い出?

【30~40代】生理トラブルには OC

だいたい30代後半から40代前半が対象。月経困難症や月経前症候群など月経にかかわる不調の改善に。

What’s? OC (オーシー)

OC(Oral Contraceptives)とは低用量ピルのこと。乱れがちなホルモンの状態を安定させるため、女性ホルモンを補う治療法。女性ホルモンの中でもエストロゲンと黄体ホルモンの2種を混合している。OCは避妊の目的でも使うけれど、女性の体と心のコントロールに欠かせない存在。更年期のトラブルにも使われる。欧米では当たり前の治療法だが、日本ではなかなか普及が進まない現実がある。飲み薬のみ。検査などは自費診療で1~2万円かかるが、薬は保険が適用されれば2,500円が相場。

生理だからツラいのは当たり前ではありません。不調や心配な症状があるときは我慢せずに気軽に婦人科に相談して。

【45歳~55歳】更年期:閉経

閉経前後の10年間のこと。女性ホルモンが激減することで、あらゆる不調が現れる。この時期のトラブルはHRTで良くなるケースが多数です。

「更年期」のトラブルには HRT 50歳前後の閉経の前後10年間に。更年期にかかわる不調の改善に。閉経前後に起こりうる病気の治療に。

What’s? HRT (エイチアールティ)

HRT(Hormone Replacement Therapy)とはホルモン補充療法のこと。急激な減少によって不足したエストロゲンを必要最低限だけ補充。OCよりもはるかに少ない量のホルモンを補う。ただし、喫煙者や乳がんの手術経験者など、受けられない場合も。飲み薬のほか、貼り薬、塗り薬、膣剤がある。検査などは自費診療で数万円かかるが、薬は保険が適用されれば数千円が相場。既にトライしている人も多いが、まだまだ情報が行き届いていないのが現状。HRTに理解があり推奨している婦人科に相談を。

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「更年期だからホットフラッシュも滝汗も仕方なし」ではありません。婦人科に相談すれば、意外と簡単に解決するかも。

\「更年期」の不調いろいろ/
□だるさ
□疲れやすい
□倦怠感
□イライラ
□うつうつ
□眠れない
□ホットフラッシュ
□多汗
□動悸
□息苦しさ
□手足のこわばり
□関節痛
□皮膚の乾燥
□かゆみ
□頻尿
□尿もれ
□ドライマウス
□膣の乾燥
□膣炎

 

更年期が終われば体調も落ち着いてついに「上がる」っていいよ状態に!

 

対馬ルリ子先生

 

『美的GRAND』2021年春月号掲載
撮影/金野圭介(静物) 構成/木更容子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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