たるみを引き起こす「原因」と「パーツ別改善ケア法」

年齢とともに気になってくるたるみ…マスク生活も相まって気になり出している人も多いのでは?たるみの仕組みから引き起こす原因をチェック!フェースライン、頬、目元、ボディのパーツ別たるみ対策ケアをたっぷりとご紹介します。
「たるみ」とは?
Point
たるみとは…年齢とともに肌の土台が弱くなり肌の重みを支えられなくなってしまう現象のこと- 表皮:肌の最も外側にある層。厚みはたったの0.2mm程度。4層に分かれていて、いちばん外側が角層となる。乾燥してゴワついたりキメが乱れたりすると、光を乱反射して肌に影ができ、たるみ感を強調してしまう。
- 真皮:コラーゲンやエラスチンなど、肌のハリや弾力をつかさどる線維組織が存在する層。厚さ約2mm。若いうちはふっくらしているが、加齢と共に組織が変性して、つぶれたクッションのようにぺしゃんこに。
- 皮下組織:いわゆる脂肪層。厚みは部位にもよるが、上の2層と比べると比較的厚い。近年、この層が質の良い幹細胞を盛んに生み出したり、肌を支える土台となったりと、たるみ予防に欠かせない存在であることが明らかに。
- 筋肉:顔面には、表情を動かすための筋肉やかむための筋肉、さらにあご周りには、舌を動かしたり唾を飲んだりあごを動かす筋肉など、計60種以上の筋肉が存在する。動かさないと柔軟性が失われ加齢する。
- 骨:顔においては、頭蓋骨。肌や筋肉の土台となる。骨も、加齢によって徐々にやせ、形が変わる。特に、目の周りの空洞は年々大きくなっていく傾向にあるため、まぶたのたるみを目立たせる要因となる。
【1】肌の下で、ハリと弾力を支える「地下杭」が存在する
今まで、肌においてたるみと深く関わる部分は「真皮」だといわれてきました。真皮には、コラーゲンやヒアルロン酸など肌のボリュームを維持したり、エラスチンなど弾力を形作る組織がふんだんに存在。それらの加齢変化をいかに食い止めるかが、エイジングケアのメインアプローチだったのです。けれど近年、 真皮よりもさらに奥の皮下組織に、肌のハリや弾力に大きく影響する「RC」(皮膚支持帯)という構造が存在する ことが明らかになりました。
「肌を高層マンションに例えると、『RC』は地下杭のような存在です。頬やあご周りの 皮下組織は、一般的に真皮よりも厚いです。厚みのある組織の中に地下杭となる線維を張り巡らせて、肌のハリを土台から支えている のです」(原田さん)
また、皮下組織には、再生医療や美容の観点でも注目されている幹細胞も存在していて、近年、皮下組織の役割が改めて重要視されています。
【2】骨も筋肉も加齢で変化する。でも、筋肉は復活させることができる
加齢に伴って肌がハリを失ったり、ボリュームロスすることはよく知られていますが、実はその奥の 筋肉や骨も、加齢によって変化し、たるみの要因となります 。顔の土台となる頭蓋骨は、眼球を入れる部分が穴のようにあいています。加齢すると骨がやせて穴が広がったようになり、支えを失った目元の肌はたるみやすくなるのです。残念ながら骨の変形はスキンケアでは対処法がなく、美容医療の領域となります。
「一方で、 筋肉はいくつになっても鍛えることが可能です。特に口元の筋肉をよく動かすと、若返りホルモンを含む唾液が盛んに分泌されたり、血流が良くなったりと、+αの効果 が得られます」(石井さん)
今秋は、筋肉をターゲットにしたコスメもいくつか登場。
【3】筋肉の中でも、たるみ予防に深く関わるのは「口もと筋」と「筋肉同士のつなぎ目」
顔は、約32種類の表情筋で構成されていますが、その7割が口元に存在しています。
「中でも、 口の周りをドーナツのように囲む『口輪筋』は、あらゆる表情筋とつながっているので、口元のこの筋肉を鍛えることで顔全体にハリを出すことができる のです。また、 舌を動かす『舌骨筋』というインナーマッスルも、二重あご防止にとても効果的な筋肉 です」(石井さん)
また、筋肉と筋肉のつなぎ目は、コリや疲労がたまりやすい部分。特に頬と口元、頬と目元のつなぎ目は、コリをほぐすと即効で肌のハリ復活を実感しやすいパーツです。筋肉をほぐすマッサージやエクササイズも紹介しているので、ぜひ実践してください。
【4】筋肉の中でも、たるみ予防に深く関わるのは「口もと筋」と「筋肉同士のつなぎ目」
肌のメカニズムがより詳細に解明された今、コスメも劇的な進化を遂げています。例えば“真皮の中でも、特にくずれやすい上層のクッション構造を立て直す” “表情筋のつながりにアプローチ” “皮下組織を強くする” “脂肪幹細胞の活性化”…など、 皮膚の各層をターゲットにしたテクノロジーが続々と! さらに、 たるみケアコスメには、塗った瞬間、肌にピンとしたハリを出す形状記憶効果も。使わない手はありません。
たるみが起きる「原因」
【原因1】姿勢が悪い
「姿勢が悪いと首などが圧迫され、唾液量が減少。さらに、舌が下がって下あごの前歯の裏側に舌先がつく状態が続くことで、あごや口元周りのたるみを招くことに」(石井先生・以下「」内同)
座り姿勢も要注意
【原因2】滑舌が悪くなった
「滑舌が悪くなるのも、口輪筋が衰えているサイン。口呼吸も口の中を乾燥させ、滑舌を悪くします」
【原因3】口元の運動不足
「人との会話が減ったり、表情が乏しくなることで、顔のたるみに関係する大頬骨筋が衰えます」
【原因4】無意識な舌下がり
「本来、舌先は上前歯の裏辺りにあるのがベストポジション。舌先が無意識に喉側にいることで、あご周りのたるみにつながります」
「顔のたるみ」を防ぐ4つの対策
【1】「フェースライン」のモタつきを解消

サロン・ド・スウィン オーナー &エステティシャン
田中由佳さん
東京・三宿に隠れ家サロン『サロン・ド・スウィン』を運営。肌・体・魂に響くトリートメントが大人気。たるみに効果を発揮する“指プレスケア”は、簡単で速効性があると評判。
【How to】
(1)カギ手でフェースラインのこりをグリグリほぐしていく
親指と人さし指であごを挟み、内→外へツイストするように軽くねじってほぐす。あご部分が柔らかくなったら、耳下まで、ねじりつまみながらほぐしていく。ゆっくりと、心地よい力加減で行うのが◎。
Point
この状態がカギ手\あごからスタート/
\ひねりながら/
\耳に向かってグリグリグリグリ/
(2)最後に右から左にカギ手でもみながらフェースラインを整える
両手でカギ手を作り、右耳下部分を親指と人さし指で挟み、左耳下までフェースラインを整えるようにツイストしながらつまみます。つまみ流すように、軽いタッチで行うとスッキリ感もアップ。
\グリグリ/
\クイクイクイクイと一方向でOK!/
【2】コリをほぐして「頬下部」のモタつきを撃退
- マスクがズレるのを無意識に避け、口の動きも縮小。
- そうすると頬の脂肪を支える筋肉が落ち、モタつきだすのが頬下部です。
- 頬の筋力不足は肌のハリや弾力を奪い、人によってはそげて老けて見えることも…。
- 法令線にも影響を及ぼし、口角も下に引っ張られるので、頬のこりを取りながら鍛える顔トレで改善するのが◎。
【How to】
(1)指を1本ずつずらしながら皮膚表面のこわばりをほぐしていく
耳横に親指、こめかみに人さし指を置いて固定し、中指を頬骨の下に置く。指の腹で軽く押して3秒キープ。中指を離して、指1本上に移動させて同じように押して3秒キープ。同様にこめかみの高さまで上に移動させながら押しほぐして、下にたるむのをセーブ。
指1本ずつずらす
(2)口の開け閉じをゆっくり行って頬の下側のこりを取っていく
親指を耳下、人さし指をこめかみ、中指を目尻下に置く。指で顔を固定してから、ゆっくりと口を開けて、ゆっくりと口を閉じます。このゆっくりの動きを3回繰り返す。口の開け閉じはこりをほぐすと同時にむくみを取り、首の下側を緩める効果も。
ゆっくり開ける
ゆっくり閉じる
【3】首のこりが影響する「頬上部」をほぐす
- 頬上部の耳横に位置する耳下腺は、首のこりが影響する部分。
- スマホやPC作業が多い人は、首が前に出てこりやすいので気をつけて。
- 首がこるとリンパが詰まりやすく、老廃物がたまって、むくみを誘発します。
- 触って肌が張っていたら、こっている可能性が大。
- さらに肌の弾力も低下しやすい部分なので、しっかりむくみケアを行いましょう!
【How to】
(1)鼻の周りを人さし指でグッと押さえて、ゆがみを戻していく
小鼻横に人さし指を置き、指がグッと入るポイントを探す。見つけたら軽く圧をかけてゆっくりと3秒キープ。こりがアッという間にほぐれ、鼻通りも良好に。
\グッ!グッ!/
\グッと入るポイントがある!/
(2)指をスライドしながら優しく頬のこりをほぐしていく
耳のつけ根に親指を固定してから、人さし指を小鼻横に置き、少しずつ指をずらしながらこめかみ部分に流していく。頬上部はむくみが顕著な部分なので、内から外に押しながら、ゆっくりとほぐすのが◎。
\グッ!/
\グッ!/
\グッ!/
【4】たるみ解消「トレーニング」
【ぴよぴよぷーエクササイズ】
「顔下半分のモタつき対策に行いたい、口の周りの筋肉(口輪筋)を鍛えるエクササイズ。筋肉の収縮を繰り返すことで、口周りのメリハリがアップ。むくみを解消し、たるみをセーブ」(石井先生・以下「」内同)
(1)唇をすぼませて「ぴよぴよ」と口を開閉する
頬肉を口の内側に吸い込み、唇を鳥のようにすぼめる。そのまま「ぴよぴよ」と、唇を上下に開けたり閉じたりを10回行う。
(2)「ぷー」と風船のように膨らませる
大きく深呼吸をし、唇をすぼめたまま両頬を「ぷー」と膨らませます。思いきり膨らませて、口輪筋をほぐして。
【下唇ふーエクササイズ】
「下あごのたるみ解消には、首とあごの筋肉を鍛えることが大切。ふーエクササイズはマスク生活で緩みやすい、顔面下から首に心地よい刺激を与えます。深呼吸をすれば、リラックス効果も」
(1)背筋を伸ばして顔をゆっくり上に向ける
胸を張って、背筋を伸ばして、姿勢を整えます。その状態で顔をゆっくり上に向け、首を伸ばした状態にします。
(2)下唇を上に突き上げて「ふー」と息を吐く
上を向いた状態で深呼吸をし、下唇を上に向かって引き上げる。「ふー」と5秒かけて息を吐く。5秒を3回行う。
「目元のたるみ」を防ぐ2つの対策
【1】「むくみ」を流すだけでOK

サロン・ド・スウィン オーナー &エステティシャン
田中由佳さん
東京・三宿に隠れ家サロン『サロン・ド・スウィン』を運営。肌・体・魂に響くトリートメントが大人気。たるみに効果を発揮する“指プレスケア”は、簡単で速効性があると評判。
- 皮膚が薄い目元は、乾燥しやすく、老化が現れやすい部分。
- 特に上下のまぶたはむくみやすいため、放置すると皮膚のたるみを招くことに。
- むくみは毎日ケアすることが大切なので、アイクリームを塗布する際に取り入れるのがベスト。
- マスクが覆いかぶさるアイホールの下ゾーンまでケアすれば、上下のまぶたの緩みが解消されて、目元のハリが復活。瞳もウルっと輝きますよ♪
【How to】
(1)親指を置いて固定してから目の下を薬指で流していく
耳のつけ根の上部分に親指を置き固定。さらに薬指を鼻のつけ根に置き、こめかみまで滑らせる。中央部分は皮膚が薄くて柔らかいため、より優しいタッチで滑らせて。同じように涙袋の下も行う。
\親指を置いたまま薬指を置く/
\圧をかけすぎないように/
Point
親指で押さえるのがポイント(2)2本指でまぶたの上を流せば、瞳がウルっ&パッチリに!
中指と薬指を眉頭下に置き、まぶたの上を目尻に向かって優しく指を滑らす。こめかみで指を止めてから放すと、むくみが払拭。圧をかけると目がウルっとしないので、指の腹で軽く流すのがコツ!
\2本指で!/
\優しく伸ばす/
ちなみに…爪の長い人は手を置くだけでOK
【2】「眼窩マッサージ」でたるみを解消

トータルビューティアドバイザー
水井 真理子さん
肌を見るだけで、その人の生活習慣を見抜く程の経験値で、カウンセリングや美容アドバイスを展開。美容誌や講演など幅広く活躍中。
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「まぶたのたるみは、上下ともに乾燥して柔軟性が失われ、さらに筋肉の衰えも原因。マッサージとツボ押しで老廃物を排出しましょう」(髙瀬先生)
「眉毛にある眼精疲労のツボを刺激!」(水井さん)
【How to】
- 眉毛にある3つのツボ(攅竹・魚腰・糸竹空)は、目周りの血流やリンパの流れを促し老廃物を流してくれます。
- 親指と人さし指で挟みながら刺激してみて。
\水井流! 眉を挟んで眼窩を指圧/
【How to】
- 目周りの眼窩を指の腹でちょっとイタ気持ちいいくらいの強さで垂直にプッシュ。
- さらに、生え際から頭頂に向かって、指の腹で小刻みにマッサージするのも有効です。
\高瀬流! 上下まぶたを囲む眼窩をじっくりツボ押し/
「体のたるみ」を防ぐ2つのボディメイク
【1】「首」のこりリセットストレッチでたるみ顔を軽減

エイジングデザイナー
村木宏衣さん
エステ・整体院・美容医療クリニックでの勤務を経て確立した、「村木式整筋」メソッドが大人気。最新著書は『10秒で疲れがとれる 奇跡の目元ほぐし』(主婦の友社)
「首のこりを感じたら、前傾姿勢になると固くなる、首の前側にある“胸骨舌骨筋”をほぐすストレッチを。リンパの流れが良好になり、フェースラインのたるみや顔の血色、目の疲れまでもを軽減してくれるはず!」(村木さん)
【STEP1】首に手を置く
利き手側の首に手を添え、首の前の中央から1cm程外側にある、鎖骨の上のくぼみに親指を当てる。残りの4本指は首の後ろに持っていき、そっと添えるように手を当てる。
FRONT
\親指は中央から1cm外のくぼみに/
BACK
\親指以外は首の後ろに添えて/
【STEP2】あごを上げ、こりを見つけたら首を振る
STEP1の状態のまま、あごを上げて、筋肉の引っかかりを感じた部分で止めて、首を縦と横に10秒ずつ小さく振る。終わったらあご上げを再開して、引っかかりを感じた部分はその都度首を振る。
各所10秒ずつ
【STEP3】親指をずらしながらこりをほぐす
親指を上にずらしながら、首の横振りと縦振りを各10秒ずつ行う。親指に力を入れすぎず、首はSTEP2同様に小さく振ることが大切。利き手側が終わったら、逆の手に替え、STEP1→3の工程を行う。
\このラインをほぐす!/
【2】老けにくい簡単「エクササイズ」
【ながらエクササイズ】
猫背は老けた印象を与える上、放置すると、背中のハミ肉、下腹ポッコリ、垂れ尻と老化の負のスパイラルに…!
「ふとした瞬間に肛門を締める動作をクセづけて!骨盤が正しい位置に戻り、ボディラインが整います」(久嬢さん・以下「」内同)
- テレビを観ながら:お尻の筋肉を真ん中に引き締めるように、左右から締めて。ペンをお尻に挟んでコア締めしてもOK。
- 歯磨きをしながら:足は肩幅に開いてまっすぐ立つ。肛筋を引き上げる意識で、フラフープを回すように腰を動かして。
【お尻のたるみ解消エクササイズ】お尻は加齢が進行すると元に戻りにくいパーツ。
「仕事中も肛門の引き締めを意識すると、下半身の血流が巡り、代謝がアップ!クッションでお尻をホールドして、骨盤の後傾をガードしても◎」
足を組むときは左右入れ替えて
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
同社フロンティアリサーチセンター研究員。肌の基礎研究を行う。皮下組織とたるみの関連について長年研究。