お悩み別ケア
2023.6.11

プラセンタの具体的な効果は? 【美容成分大全】

プラセンタとは、主として動物の胎盤から有効成分を抽出したものです。その美容効果は長年業界から注目され、馬プラセンタやマリンプラセンタなどこれまでにもプラセンタを活用したたくさんの化粧品が発売されてきました。そのメリットは保湿と美白の両方が期待でき、潤いたっぷりのハリ肌とホワイトニングが同時に叶う、まさに嬉しいことだらけの成分。そんなプラセンタ配合のおすすめスキンケア化粧品、ドリンクサプリをご紹介。

プロフィール

プラセンタは、ビタミン・ミネラル・アミノ酸などさまざまな栄養素を豊富に含んでおり、それらが総合的に肌へ働きかけていると考えられています。保湿だけではなく、シミやシワ、肌荒れ予防など幅広い効果が期待でき、エイジングケアにも役立ちます。

プラセンタは紀元前の古くから若さを保つために愛用されていたといわれています。以前は医薬品でしたが、医薬部外品へと分類が変更され、美容分野でも広く使われるようになりました。

成分による「違い」

  • ヒト、哺乳類(豚や馬など)、魚、植物由来の種類がある
  • 魚、植物由来のものは正確にはプラセンタ(胎盤)エキスではない
  • 医薬部外品の「美白」有効成分として認められているのは、ブタプラセンタエキスのみ

プラセンタは由来の違いによる種類があります。ヒトやブタ・ウマなどの哺乳動物由来のものは胎盤そのものから抽出されるエキスのため、細胞を活性化する成長因子や、ビタミン・ミネラル・アミノ酸などが豊富に含まれています。以前はヒトの胎盤を使用していましたが、やがてウシの胎盤を使用したプラセンタエキスも使われるようになりました。

しかし、化粧品において、ヒト由来のプラセンタエキスは倫理上の問題で、2000年にはウシ由来のプラセンタエキスは狂牛病(BSE)の問題から使用されなくなり、現在では、ブタやウマ由来のものを中心として使用されています。

近年、動物由来原料を好まない人のニーズから4つ足動物に由来しないプラセンタエキスの疑似成分が開発されました。これらは魚の卵巣膜や植物の胎座など、動物の胎盤と似た働きをする部分から抽出されています。

ビタミンなどの栄養素が動物由来のものと同様に豊富に含まれますが、動物と同じ成長因子は含まれていません。「海洋プラセンタ」(魚由来)や「植物プラセンタ」などがあります。

ヒトプラセンタエキス(ヒト由来プラセンタエキス)

ヒトの胎盤から抽出されるエキスです。原料としての胎盤はヒトの正常な分娩後に採取されます。EGF(上皮成長因子)やFGF(線維芽細胞増殖因子)などによる細胞増殖や修復が期待できますが、医薬品として扱われており、化粧品には配合されません。

ブタプラセンタエキス(豚由来プラセンタエキス)

豚の胎盤から抽出されるエキスです。豚は1度に10頭程度を出産する多胎動物なので、他の動物と比べて大量の胎盤を取ることができるため、最も一般的に使用されています。シミやシワ、肌荒れに対する効果が期待でき、プラセンタの中で唯一、医薬部外品の「美白」有効成分として認められています。

加水分解ウマプラセンタ/サイタイエキス(馬由来プラセンタエキス)

馬の胎盤および臍帯から抽出されるエキスです。ほかの動物由来のものよりも多くのアミノ酸が含まれているといわれています。ほとんどがサラブレッドの胎盤から抽出されるため、稀少価値があり、非常に高価なものが多いです。医薬部外品への配合が認められていないため、化粧品への配合に限られます。

加水分解サケ卵巣膜エキス(海洋プラセンタ)

魚類には胎盤は存在しませんが、鮭の魚卵を包んでいる“卵巣膜”を胎盤に見立ててプラセンタエキスの疑似成分として、「海洋プラセンタ」とよんでいます。胎盤ではないため成長因子は含まれていませんが、卵を育てるためのアミノ酸やコラーゲン、ヒアルロン酸が豊富であるとされていて、抗アレルギー効果や美白効果、毛穴の黒ずみ改善効果などが期待できます。医薬部外品への配合が認められていないため、化粧品への配合に限られます。

メロン胎座エキス(植物プラセンタ)

メロンの花の“胎座”だけを利用して抽出したエキスです。胎座は種子の生育に不可欠で、哺乳類の“胎盤”に似た働きをする部分です。アミノ酸などの栄養素が豊富に含まれており、シワ・たるみやシミを防ぎます。海洋プラセンタと同様に、成長因子は含まれません。医薬部外品への配合が認められていないため、化粧品への配合に限られます。
植物プラセンタとしては、メロンを含め13種類のエキスが2023年1月現在、表示名称に登録されています。

美容賢者からの「ひとこと」

日本化粧品検定協会代表理事

小西 さやか


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「プラセンタ注射」は医療行為!

ヒトプラセンタエキスを使った「プラセンタ注射」は医療行為であり、医師による判断のもと行われます。更年期障害・乳汁分泌不全・肝機能障害の治療を目的とした場合は保険適用となりますが、美肌・美容・アンチエイジングを目的とした場合は保険適用されず、自由診療となります。

プラセンタ注射を受けると、献血ができなくなるということは覚えておきたい点です。感染症に対し安全性が確立されていないことから、注意が必要です。

 

<引用元>
鈴木一成, 化粧品成分用語事典2012, 中央書院, 2012, p.169-171
小西さやか, 知れば知るほどキレイになれる!美容成分キャラ図鑑, 西東社, 2019, p.62-65
大正製薬ホールディングス株式会社 Webサイト (美肌インナーケアコラム)

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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