お悩み別ケア
2023.6.10

AHA(フルーツ酸)は具体的にどんな効果が? 使い方の注意点【美容成分大全】

AHA(α-ヒドロキシ酸)は主にピーリング効果を期待して化粧品に配合されている酸成分。果物にも含まれているため、「フルーツ酸」ともよばれます。いくつかの成分があり、成分によって分子の大きさや刺激、肌への効果が異なります。日本化粧品検定協会が美容成分をくわしく解説する【美容成分大全】。成分を正しく理解して、コスメ選びの参考に!

プロフィール

化粧品で使われる「ピーリング成分」であるAHAは、酸によって角質をやわらかくし、余分な角質をはがれやすい状態にします。余分な角質をはがし毛穴の詰まりを解消することで、ニキビができにくい健やかな肌に導きます。

ピーリングとは、Peel(皮をむく)という言葉の通り、肌の表面にある余分な角質をはがす(除去する)こと。古い余分な角質が取り除かれることによって毛穴の詰まりが改善するため、ニキビの予防や、毛穴の目立ちやくすみ、肌のごわつきの改善につながります。

成分による「違い」

AHAに属する成分は主に6つあり、“由来”や“分子の大きさ” が異なります。基本的に分子の大きさが小さいほど皮膚へ浸透しやすく、皮膚の深いところで作用するため高い効果が期待できますが、そのぶん刺激が強くなる傾向があります。

  • 分子が小さいほど高い効果が期待できるが、刺激も強い傾向
  • グリコール酸には使用制限がある

グリコール酸

角層細胞の結合を弱めることで、余分な角質を取り除きやすくします。効果が高く、医療機関でのピーリング施術にもよく使われます。ただし、配合率が3.6%を超えると“劇物”扱いとなり刺激が強くなるため、国内の化粧品として販売されることはほとんどありません。ただし、医療機関で行われるケミカルピーリングでは、高濃度で使用されます。

乳酸

角層の浅い部分に働きかけます。乳酸の分子はグリコール酸の次に大きいため、作用がマイルドです。

リンゴ酸

ピーリングを訴求する化粧品に多く使用される成分です。分子量は乳酸の次に大きく、よりマイルドなピーリング作用で、石けんや化粧水などに配合されます。

酒石酸

リンゴ酸に次いで分子が大きく、ピーリング作用より収れん(引き締め)作用が強いので、肌を引き締めるスキンケアに向いています。

クエン酸

柑橘系の酸味成分です。AHAの仲間の中で最も分子が大きく、酸性のためピーリング作用はありますが、効果は非常に穏やかです。ピーリング作用を期待して配合されるよりも、pH調整剤、キレート剤として配合されることが多い成分です。

使い方のポイント(美容賢者のひとこと)

日本化粧品検定協会代表理事

小西 さやか


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事前に確認してから使用しましょう!

AHAは酸性の成分のため、敏感肌の人や肌のバリア機能が低下している人は刺激を感じる可能性があります。

心配な方は、上腕の内側など紫外線が当たらない場所であらかじめパッチテストを行い、肌に刺激が起きないかなどを確認してから使用しましょう。

分子の小さいAHAで刺激を感じた場合は、分子の大きいAHAを使用してみるのも良いかもしれません。

海外製品にはご注意を!

高濃度(3.6%以上)のグリコール酸を配合したものは“劇物”に指定されるため、日本で化粧品として販売されることはほぼありません。しかし、海外の規制は異なるため、高配合の製品もあります。海外製品を個人で輸入する場合、注意が必要です。

化粧品によるピーリングとケミカルピーリングは意味が違う!

古い角質を取り除くという意味で“ピーリング”という言葉がよく使われます。

しかし、化粧品によるピーリングは主に肌表面の、本来自然にはがれ落ちるはずの古い角質に働きかけ、はがれやすくすることが目的。

一方、“ケミカルピーリング”は作用の強い薬剤で皮膚を化学やけどのような状態にして、傷を早く治そうとする皮膚の再生により、ニキビや小ジワなどの改善を目的に行われる医療行為です。医師の診断や指示に従って施術を受けましょう。

 

<引用元>
日本皮膚科学会ケミカルピーリングガイドライン, p.349
宇山侊男他, 化粧品成分ガイド 第7版, フレグランスジャーナル社, 2020, p.108,119,133,206,215
小西さやか, 知れば知るほどキレイになれる!美容成分キャラ図鑑, 西東社, 2019, p.142-145

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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