お悩み別ケア
2022.10.29

【ルシノール解説】もみの木の成分がヒントになった美白有効成分

コンテンツ提供:日本化粧品検定協会

概要

成分名 ルシノール
成分の働き チロシナーゼ活性阻害
医薬部外品としての効能効果 美白
表示名称 【医薬部外品】4-n-ブチルレゾルシン
主な配合アイテム 【医薬部外品】スキンケア

由来・歴史

主な原料の由来

合成

歴史

1995年にポーラ化成工業がシベリアモミの木に含まれる成分に強い美白作用があることを発見し、この物質を基に新しい美白成分の研究を進めました。その後、美白に対して強いこだわりを持つポーラと、医療用途の開発としてメラノーマなど皮膚疾患への適用を目的に委託研究をしていたクラレとの間で共同開発が行なわれました。

元となる成分の化学構造を少しずつ改良した結果、美白効果が高く、安全性も高い成分「ルシノール」ができあがり、1998年に医薬部外品の美白成分として承認されました。

効能効果・はたらき

「化粧品」に配合したときの働き

  • チロシナーゼ活性阻害

紫外線などの刺激を受けると、シミのもととなるメラニンがつくられます。「メラニンをつくれ」という情報がメラノサイトに伝わり、メラノサイト内でアミノ酸の一種であるチロシンはチロシナーゼという酵素の働きによりドーパ、ドーパキノンへと変化します。ドーパキノンはさらに、TRP-1とTRP-2とよばれる2つの酵素により、最終的にメラニンに変化します。

ルシノールは、これらの酵素の中でチロシナーゼとTRP-1の作用を阻害する働きがあります。チロシンとチロシナーゼは鍵と鍵穴の関係にあるのですが、ルシノールはチロシナーゼにぴったり合う鍵を持っていて、チロシンより先にチロシナーゼと合体することでメラニンをつくらせなくします。また、ルシノールはTRP-1に直接作用し活性を抑えることで、メラニンの産生を抑制します。

この働き以外に、過剰なメラニン産生を抑制する効果があることから、紫外線による色素沈着や肝斑などさまざまなヒト色素沈着抑制効果が期待されます。

「医薬品」としての効能効果

医薬品としては配合されていません。

「食品、サプリメント」に配合したときの働き

食品・サプリメントとしては利用されていません。

注意点

特にありません。

豆知識

日本化粧品検定協会代表理事:小西 さやか

「ポーラが行った実験では、チロシナーゼ活性阻害効果はコウジ酸の5.6倍、アルブチンの380倍(B16マウスメラノーマ細胞由来チロシナーゼに対する既存の美白成分との比較より)との報告があります」

小西さやかさんの記事一覧

 

<引用元>
J. Soc. Cosmet. Chem. Japan, 35 (1), 42-49 (2001)
日光ケミカルズ株式会社他, 新化粧品ハンドブック, 2006, p.535
鈴木一成, 化粧品成分用語事典, 中央書院, 2008, p.316
ポーラ化成工業株式会社 Webサイト (基盤研究)
株式会社ポーラ 公式オンラインストア(商品開発秘話)
化粧品成分ジャーナル Webサイト (化粧品成分オンライン)

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

この記事をシェアする

facebook Pinterest twitter

関連記事を読む

あなたにおすすめの記事