お悩み別ケア
2022.10.28

【トラネキサム酸】美白、肌あれに効果が認められた有効成分

コンテンツ提供:日本化粧品検定協会

概要

成分名 トラネキサム酸
成分の働き メラニン生成指令阻止、抗炎症
医薬部外品としての効能効果 美白、肌あれ防止
表示名称 【医薬部外品】トラネキサム酸
主な配合アイテム 【医薬部外品】スキンケア・UVケア

由来・歴史

主な原料の由来

合成

歴史

傷などで出血したときに血管の傷をふさぐ働きをするフィブリンは、「プラスミン」という酵素の働きで分解されます。トラネキサム酸は、プラスミンの働きを阻害する「抗プラスミン」作用をもち、止血を行います。

医薬分野において、1946 年にプラスミンの働きが明らかになり、その働きを阻害する物質の研究が進み、ε(イプシロン)-アミノカプロン酸に続き、1954年にトラネキサム酸が岡本彰祐・歌子を中心とする日本の研究者により発見されました。その後1963年に作用が究明、1965年に内服薬「トランサミン」として第一三共製薬から発売されました。

抗プラスミン作用による止血効果により、皮膚の毛細血管から血液成分が浸透するのを抑えて炎症を鎮める効果もあり、医薬品として湿疹やのどの痛み、口内炎などの幅広い領域で治療に用いられています。

医薬部外品では1995年に肌あれ防止の有効成分として、さらに2002年には美白の有効成分として承認され、2009年にはトラネキサム酸の誘導体であるトラネキサム酸セチル塩酸塩(愛称TXC)も、美白の有効成分として承認されました。

その他の成分情報

必須アミノ酸の1つであるリジンを基に、人工的に合成されたアミノ酸の1種です。

古くから医薬品として利用されてきましたが、1979年にトラネキサム酸の内服薬が肝斑に有用であると発表された後、次々と肝斑に対する有用性が報告され、現在でもトラネキサム酸の内服薬は肝斑の治療に用いられ、美容皮膚科における自由診療でも使用されています。

効能効果・はたらき

「化粧品」に配合したときの働き

  • メラニン生成指令阻止
  • 抗炎症・肌あれ防止

美白と肌あれに効果が認められた有効成分です。トラネキサム酸は医薬品成分であることから、化粧品への配合はできず、承認を受けた医薬部外品にのみ配合することができます。

●メラニン生成指令阻止
紫外線を浴びると活性酸素が発生し、その活性酸素がメラニンをつくるよう指令を出すさまざまな情報伝達物質を増加させます。トラネキサム酸はこの情報伝達物質の1つであるプロスタグランジンをブロックして、メラニンの過剰な生成を抑える働きがあり、メラニン生成指令を阻止します。

●抗炎症・肌あれ防止
肌あれを誘発するプラスミンというタンパク分解酵素の生成を抑え、バリア機能を維持・改善することで肌あれを防ぐ働きもあります。さらにトラネキサム酸は、微弱な炎症状態を鎮める抗炎症作用もあり、肌あれ改善の有効成分として認められています。

「医薬品」としての効能効果

医薬品として、「湿疹、扁桃炎、咽喉頭炎時の炎症を抑える」、「シミ・そばかすの緩和」の効果があります。他にものどや口内炎や、肝斑対策を目的とした治療薬の有効成分としても使用されています。これらは薬局で購入することができますが、使用上の注意に従い正しく使用することが大切です。

「食品、サプリメント」に配合したときの働き

食品・サプリメントとしては利用されていません。

注意点

医薬品として摂取する際の副作用は少ないといわれていますが、血液を固まりやすくする作用があるため、心筋梗塞・脳梗塞・血栓性生脈炎などの病気の方は注意が必要です。市販の薬局・ドラッグストアで購入できる内服薬も、これらの疾患がある人は医師に相談が必要です。

豆知識

日本化粧品検定協会代表理事:小西 さやか

「トラネキサム酸は、化粧品会社により呼び名が異なる場合があります。資生堂では美白有効成分として“m-トラネキサム酸”、肌あれ防止の有効成分として“トラネキサム酸”と呼び、ロート製薬では“ホワイトトラネキサム酸”と呼んでいますが、すべて同じトラネキサム酸です」

小西さやかさんの記事一覧

 

<引用元>
公益社団法人日本薬学会, ファルマシア, 44(5), p.437-442 (2008)
日本化粧品技術者会, 化粧品事典, 丸善株式会社, p.623
宇山侊男他, 化粧品成分ガイド 第7版, フレグランスジャーナル社, 2020, p.131,162
小西さやか, 知れば知るほどキレイになれる!美容成分キャラ図鑑, 西東社, 2019, p.68-69
ニプロ株式会社:トラネキサム酸注1g NP, 医薬品インタビューフォーム
第一三共ヘルスケア株式会社 Webサイト (トラネキサム酸について)

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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